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工場建設の国内回帰が増加?!その理由とメリットデメリット

最近、「自動車や家電メーカーなどが相次いで国外から国内に工場の拠点を移している」というニュースが聞こえてくるようになりました。経済産業省が毎年公表する「ものづくり白書」では、ここ数年「過去1年間で海外生産の製品や部材を国内生産に戻したケースがある企業」を聞いています。2018年版では14.3%と前回調査に比べて2.5%増加しました。

この国内回帰の動きはここ数年10%前後で推移しており、一定程度の動きが継続しています。
これらの国内回帰を果たした工場ですが「中国・香港」から戻ってきた企業がが62.2%となり、「世界の工場」としての立場を確立する中国から国内へ戻ってきているケースが多いようです。一昔前までは製造拠点を海外(主に中国)に置くことで、人件費の高い日本国内で生産するよりもコストを抑えられ、収益を上げられるという考えが主流でした。では、なぜ現在の工場建築のトレンドは海外進出から“国内回帰”にシフトしつつあるのでしょうか。

国内回帰が増加している主な原因は2つあげられるようです。1つ目は、「円安の長期化」です。円安により、海外の生産コスト(人件費・材料費など)が高騰します。人件費削減のために生産拠点を移したにもかかわらず、それでは本末転倒です。自動車や家電メーカーは国内生産が有利と考え、それに関係する部品などのメーカーもそれに追随している状況だと思われます。

もう1つの原因としては、「技術力の差」があげられるようです。日本の技術者はクオリティーが高く、1人あたりの人件費は海外に比べて高くつきますが、高品質による精度の高いモノづくりが見込まれ、結局人件費がトータルコストでは変わらなくなってきているようです。それに加えて工場の自動化による生産効率の向上により、国内生産における人件費の削減につながっているのも大きな理由といえます。
とはいえ円高になれば、その理由だけでも、また海外拠点へ移すという企業も少なくはありません。
今回は増加傾向にある工場建設の国内回帰について、メリットとデメリットを調べてみました。

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工場国内建設のメリット

経済産業省の「工場立地動向調査」で、海外立地も検討した企業が、最終的に国内建設を選んだ理由としてあげられたのが主に以下の点です。

a)良質な労働力
b)関連企業への近接性
c)原材料等の入手の便
d)政情・治安の安定
e)知的財産権の保護への配慮

a)は特に日本ならではのメリットだと言えます。言い換えれば国際的に評価が高い日本人の勤勉さや学習意欲、向上心がものづくりにふさわしいということになるでしょう。

また、b)、c)はリードタイムの短縮になります。リードタイムとは発注から納品までに要する時間のことです。買い手にとっては、発注から納品までにかかる時間が短いほど、購入する可能性が高くなります。関連企業と近接であれば材料入手などの時間を短縮することができるので、競合他社に対して優位に立つことが可能になります。

海外生産を推進していたけれど、再び日本ベースへと方向転換したとあるグローバルな建機メーカーには「素材から個々の部品まで、日本ほどあらゆる良質なものがそろう国は世界中にない」と語る企業もあるようです。

d)、c)は、新興国での工場生産に伴うリスクの裏返しと言えそうです。例えば昨今ではアジア諸国での天災被害も多く、災害に備えたBCPは海外立地においても重視すべきポイントになり、コストも増加します。また、新興国においてはさまざまな法制度が未整備のため、操業開始後に思わぬトラブルが起こるリスクも少なくありません。

研究開発とマザー工場併設できることも国内建設の大きなメリット

マザー工場とは独自の技術やノウハウを構築し、各地の工場に広めるという司令塔の役目を果たす工場のことです。近年、そのマザー工場に研究開発(R&D)機能を備えた生産拠点が増えています。一般財団法人日本立地センターの調べによると、2009~2015年の間、工場内に研究開発機能が付設された件数は全国で1,356件。これは単体で研究開発拠点をつくるよりも多い数字です。

工場併設型では、量産するための研究も兼ねているので、試作品をすぐに工場で作れることが重要だと捉えられています。「基礎・応用研究の施設を工場敷地内あるいはその付近に構築すれば、研究から開発、生産までワンストップで管理できるので利便性が高い」と考えている企業が多いから研究開発機能を備えた工場が増えているのでしょう。また、企業規模によっては、併設型にすることによって工場を国内だけにすることも多いようです。

近年では工場誘致に取り組む地方自治体が特に研究開発機能のあるマザー工場を歓迎する傾向があるようです。海外移転の可能性のある工場では、自治体が街づくりの方針転換を余儀なくされることがありますが、移転の可能性が低いマザー工場なら海外移転の可能性も低いのでその心配もありません。そのため、研究開発が併設されたマザー工場へは手厚い補助を行なっている自治体も多くあります。

また、デメリットとしてあげられる人材不足にも関係することですが、生産拠点としてだけでなく事業推進の拠点にもなりうる研究開発併設型マザー工場では当然ながら人材育成への注力も欠かせません。市場の中で優位性を保つためには、技術力を磨くのはもちろん、開発スピードも上げていく必要があるため、そのような工場では基盤技術の評価に若手社員を参加させたり、新しい人材を生み出すべく抜本的な開発フローの改革を図ったりするのも大事な仕事のひとつになります。

最大のデメリットは人材不足

文字通り、人材不足が深刻なデメリットです。厚生労働省の労働経済動向調査でも、09年では、人が足りている企業が不足している企業よりも多かったが、その後、11年から人が不足している企業の方が多くなり、18年にはその差が49ポイントになっている。

このことが、工場の国内回帰を足踏み状態にしているようです。また、この状況を放置しておくと、近い将来に人事上の大きなリスクを抱えることになる可能性は高くりそうです。現時点でも人材不足のために、忙しさのあまり後輩を指導できず後継者が育たなかったり、高齢の労働者への配慮で課題が増えたりすることが予想されます。

それに加えて、日本社会の大きな課題でもある少子化問題もこれから大きく影響していきます。仕事の数は増えても、若者の数が増えなければ人手不足は解消されません。また、大手企業へ就職したい安定志向の強い若者も依然多く、中小企業では人材の確保がしづらくなっています。いずれにせよ、現在より状況が悪化することが見込まれます。

そんな、人手不足への対応策としては、現在は過半数の企業があげるのが、「定年延長などによるベテラン人材の活用」などの人材活用の取り組み。また、今後最も力を入れていきたい取り組みとしては「ITの活用などによる効率化」や「ロボットなどの導入による省力化」です。従来は、機械化や自動化の導入は人手削減のイメージがありましたが、労働者人口が縮小する現在では、「人と機械の共存」がテーマとなります。機械化や自動化が労働者の削減に直結するとは限らず、両者が一体となって生産性を高め、若い世代に技術が伝承される環境を作ることが重要な課題といえます。この点をクリアしてこそ、本当の国内回帰がはじまるといえるでしょう。

そのほかのデメリット

◯国内用地の不足感
企業の設備投資意向の高い地域には、用地が不足し、条件不利地には、分譲中の用地がまだ残されているというミスマッチが起きていることです。立地環境が良い地域では、企業立地の受け皿としての産業用地が不足してきています。日本立地センターが発行している産業用地ガイドでも、12年度版には、全国で901の団地が掲載され、1万5014ヘクタールの用地が分譲されていたが、17年度版では、648の団地、1万1670ヘクタールと大きく減少しており、どの都道府県でも、産業用地の不足感が出てきている状況です。

産業用地を開発するには、開発計画の策定、各種法制の調整、用地確保、造成と数年を要するため、用地の不足感はしばらくの間解消されないことが予想されます。以前のように都道府県が主体となって用地開発をすることは少なく、現在は市町村が主体となって、あるいは民間事業者を活用した開発を模索した動きが見られるようになっています。どの自治体にとっても、企業誘致は、産業振興施策の中心となっていますが、販売する商品がなくなるという事態に陥っているケースも見られます。

◯リードタイム削減にならない場合も
メリットの方に国内回帰がリードタイムの削減になるということを書きましたが、大型製品については削減にならない場合も多々あります。というのも、大型製品については「地産地消」の方が効率が良く、国際政治的な問題からも安全性が高いためです。あえて国内に工場を戻し「日本からの輸出」の形の必然性がないともいえます。

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まとめ

安価な労働力を求めて、大手を中心に海外に工場拠点を求める時代は終わりを迎えようとしています。技術力や生産力の差が顧客満足に直結するだけに、国内に大規模な工場設備を建設するほうが収益アップの可能性も高まるのではないでしょうか?

とすると、国内の工場を本当に活性化させていくためには、やはり、労働力不足への対応が必須となります。この人手不足への対応の1つが、ロボットやIoTを活用したスマートファクトリー化への動きだと見られています。逆に言うと、現在のスマートファクトリー化の動きが日本国内で加速すれば、国内で作っても競争力を確保でき、さらに国内回帰の比率が増えることもあり得るでしょう。

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