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3つの施工不良から考える建物の安全性

今年に入って最初に伝えられた建築のニュースは、レオパレス21のアパート施工不良による「転居要請」のニュースです。
ある日突然、「建物に不備あるから転居してください」と通知されたら・・・。すぐには状況が把握できず不安になるのでは?

今回は、このニュースの概要とともに、どんな施工不良がありどういう状態なのか、そして転居要請とはどのようなものか、詳しく説明いたします。

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目次

施工不良に関する情報について

最初に、施工不良に関する情報を振り返っておきましょう。

事態が公になったのは、2019年2月8日の会社側からの会見です。
レオパレス21の物件(アパート)にて、施工不良が見つかりました。対処となる物件は、33都道府県にあり現在1,324棟あると言われています。

レオパレス21のホームページを見ると、賃貸アパートといっても様々なタイプがあり、27タイプのアパートが紹介されています。その中で今回の対象となっとなるアパートは、「ゴールドレジデンス」と呼ばれるタイプです。単身・独身者向けのワンムールで大きなクローゼットがあるお部屋の鉄骨造になります。

今回の施工不良によって、さらに大きな問題となっているのが、転居を余儀なくされる入居者がいることです。その入居者の数は、14,443人とされています。電話連絡やポスティングにて通達を始めていると言われますが、レオパレス21のアパートに入居している人は、自分が該当するのか、そうでないのか、不安な日々を過ごしていることが考えられます。

発覚した3つの施工不良について

今回は調査の結果、分かった施工不良について説明いたします。

調査によって発覚したのは三つあり「界壁・天井・外壁」において建築基準法に違反する構造と部材だったことが分かりました。

界壁に不備について

レオパレス21が公表している情報によると、設計図書上には界壁で使用する断熱材は、「グラスウール」でしたが、実際には、「発砲ウレタン」が施工されていました。
グラスウールは、ガラス繊維でできており不燃料なので、有害なガスや煙が発生しません。
発砲ウレタンは、ウレタン樹脂に発泡剤(フロンガス等)を加えて発泡させて作った断熱材です。工場で作られる板状のものと現場で発砲して吹きかけるタイプがあります。硬さはプラスチック程度になります。

界壁とは、アパートなど集合住宅において隣との仕切りとなる壁であり、さらに重要な役目を担っています。
その役目とは、「耐火」と「遮音」です。

耐火に優れていることで、万が一、隣で火事となった場合にも火が燃え広がることを防ぐことができます。
そして、集合住宅で気になるのは「音」です。生活音として様々な音を立ててしまうことが誰にでもあります。また、交代勤務など昼夜逆転の生活の方もいます。こうした些細な音が意外と気になってしまうものです。耐火に優れた部材には遮音効果も期待されており、こうした音を少しでも伝わらないように壁には遮音効果のある材料を使用しています。

界壁についてレオパレス21は、過去にも構造上に不備が指摘された事例があります。
火を燃え広げない、音を伝えないためには入居者の目に見える壁の部分だけではなく、天井、その上の小屋根と呼ばれる部分にまで界壁が達していないと効果はありません。また、隙間についても完全に塞ぐことが重要であり、建設後の検査において厳しくチャックされる部分でもあります。

天井の不備について

今回、対象となっている「ゴールドレジデンス」は、3階建ての鉄骨造です。この3階建てであることが天井の不備のポイントとなります。
床を構成する天井部分において、構造と部材が異なることが分かりました。

実は、3階建ての集合住宅に床には、「1時間準耐火構造」であることが建築基準法で決められています。
準耐火構造とは、建築物の構造において「30分・45分・1時間」と基準があり、火災の時に構造が保たてる時間を表しています。
この時間の差は大きく、日本で発生する火事は規模にもよりますが、そのほとんどが1時間以内に鎮火するといわれているので、建物の崩壊を防ぐことにもなります。

ここにもまた、設計図書上との相違がありました。
基準を満たすために、部材を2枚張りとしていましたが、実際には1枚であったこと、もしくは、使用する部材と異なる部材で2枚張りとしていたことが分かりました。こちらについては、部材の明記がないので分かりませんが、1時間準耐火構造ではなかったことを考えると、火災になった時には建物は崩落していた可能性もあります。

外壁の不備について

外壁も天井と同様に、設計図書上では、準耐火構造または防火構造の仕様が決められていました。
準耐火構造とは、耐火構造の建築物以外で、法令で規定された準耐火性能を有する建築物のことをいいます。

さらに、準耐火構造には、建築物の主要部分において国土交通大臣の認定を受け定めたものを使用することが定められています。
主要部分には、壁・床・柱などがあり、外壁もこれに該当します。

対象物件では、この大臣の認定を受けていない別の部材が使用されていました。

サイディングの取付けと下地の間隔

サイディングとは、板状の外壁素材で耐久性もあり火にも強いものです。また、色やデザインも豊富なので、建築物や環境に合わせて選ぶことができます。
取付け作業としては、板状のサイディングを張り付けシーリング材で繋いでいきます。この工程にも不備があったと指摘されています。

外壁には、下地と呼ばれる部分があります。間柱と呼ばれる柱が決められた間隔で建てられ、その上に外壁が作られていきます。間柱は、外壁を張り付けるためだけに存在するのではなく、外壁や建築物自体の強度も強くするメリットがあります。これは、鉄骨造でも木造でも同様に使われています。
この下地の間隔が広すぎたというあります。

転居要請は免れない

問題となった構造や部材を改めて確認しても分かるように、この物件に住むことはとても危険が伴います。

そこで、レオパレス21から対象物件に入居している人たちに、転居要請が出されました。今後、修繕工事が進められると思いますが、まずは人命第一です。
転居係る費用や手数料など、全てレオパレス21が負担するということになっています。

危険が高い物件は天井

最初に転居要請をしたのが、天井に不備が見つかった物件に入居する人たちです。
どの不備にも危険がありますが、天井の不備を重視した理由があります。

今回発覚した問題の中で、一番危険度が高いとされるのは、天井です。
火は炎が強くなるにつれ、天井に達します。準耐火基準を満たしていないこと、そして、部材が1枚張りであること、火事となった場合に燃え広がる可能性が高いことが伺えます。また、天井であり床としても役目があるため、さらに上の階にも燃え広がることを止めることができません。

この時期の引っ越しは、進学・就職などで繁忙期となるため業者を確保することも大変です。費用を用意されてもスムーズに進められないが現状です。問題が大きくなる前に、レオパレス21には迅速に対応してほしいですね。

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まとめ

今回は、施工不良の問題についてより詳しく説明しました。
建設現場において、安全は第一であり事故のない作業を心がけています。これは、どこの現場でも同じです。常に危険と隣り合わせで作業をしている人たちだからこそ、こうしたニュースには悲しい思いをされるのではないでしょうか?

欠陥のある建物は、これまでにも取り上げられています。一時的に話題となりますが、その後、無事に修繕工事がされ解決されたのかまでは分からないケースもあります。今回の事件もそうはならないように、無事に解決されることを願うばかりです。

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