工場や倉庫の外壁に塗装をするのは色をつけるためだけではありません。
実は塗装は外壁材を守ったり、雨漏りを防いだりと建物を守るのに大きな役割を果たしています。そのため、外壁は定期的に塗り替えるのが理想的です。
しかし、建物全体を塗り替えようとするとコストがかなりかかりますし、工事の打ち合わせもしなくてはいけないので、正直面倒に感じる方もいるかもしれません。
確かに、外壁に穴でも開かない限り、改めて塗装する必要はなさそうに思えるかもしれませんが、被害が出る前に塗装をすれば、たとえコストがかかっても惜しくないほどのメリットがあります。
そこで今回は、工場・倉庫が外壁塗装をすべき理由や、塗装工事のタイミングなどをご紹介していきます。
新しく工場を建ててから時間が経っている、外壁塗装を検討しているという方はぜひ参考にしてくださいね。
工場・倉庫が外壁塗装をするメリット6つ
建物の規模によっては外壁を塗装するのに何十万、何百万円とかかります。それだけに、はっきり目に見えるほどの傷みやヒビなどがなければあまり必要性は感じないかもしれません。
しかし、定期的に外壁塗装をすることは工場や倉庫にとって大きなメリットがあります。そこで、まず初めに外壁塗装をすべき理由をまとめました。
紫外線から建物を守れる
まず、塗料を塗ると外壁材を紫外線から守れるというメリットがあります。塗料が剥げて外壁材が剥き出しになると、紫外線を直接受けるため、劣化が進み、見た目が悪くなったり、性能が落ちたりする原因になります。
雨水の侵入を防ぐ
外壁が劣化し、ヒビが入ると雨水が建物内に浸入します。雨漏りといえば屋根から発生すると思う人が多いですが、実は外壁からも水は浸入します。
雨漏りが発生すれば、建物の中に置いている原料や製品が濡れて使い物にならなくなってしまいます。
また、床が濡れることで転倒に繋がる恐れもあります。
このように雨漏りが発生するとデメリットばかりなので、水が浸入しないよう、塗装でしっかり防ぐ必要があります。
資産価値を維持できる
外壁を塗装し、状態を良くしておけば、建物の資産価値を維持できます。資産価値が高ければ、工場を移転し、建物を売ることになった場合に高く売ることができます。
塗装にコストがかかることは一見デメリットに思えますが、移転時や撤退時に高く売れることを考えれば惜しくない出費です。
近隣住民からの印象が良くなる
塗装をすると古い建物でも見た目が綺麗になり、建物全体の印象が良くなるという効果があります。
もし、塗装をせず、古くて劣化した壁のまま放置していれば、見た人は決して良い印象は抱かず、「あまり管理が行き届いていない」と感じるでしょう。
外壁塗装はこのように周りの住民と円滑な関係を築くことにも繋がります。
社員のモチベーションが向上する
ボロボロの建物と、綺麗で管理の行き届いた建物、どちらの方が社員の士気が上がるでしょうか?答えはもちろん、後者だと思います。
自分が働く建物が綺麗だと、社員はモチベーションが上がり、仕事に前向きに取り組もうとします。また、職場に愛着が湧くという効果もあるでしょう。
外壁は作業をしているときには見えないものですが、このように社員のやる気を大きく左右します。
塗料の種類によっては断熱になる
塗料には様々な種類があり、その中には断熱効果を持つものもあります。
断熱ができるタイプの塗料を塗れば、夏に外の気温が高くても、工場内が暑くなりすぎるのを防ぐことができます。すると、光熱費を下げることができます。
また、熱中症が発生するリスクを抑えることもできます。
外壁の断熱効果を高めたいなら、ぜひこうした特性を持つ塗料を使いましょう。
工場・倉庫が外壁塗装をするタイミング
工場や倉庫の外壁は塗料の性能が落ちる前に塗装するのが理想的です。塗料にはそれぞれ種類によって耐寒性や遮熱など色々な効果があります。
塗装してから時間が経つとこうした性能が落ち、さらにヒビが入ったり、劣化したりと外壁材にダメージが生じる原因になるので、適切なタイミングで塗り替えることが大切です。
具体的な年数は、塗料の耐用年数にもよりますが10年前後が目安です。
工場・倉庫の外壁塗装にかかる期間
外壁塗装の工期は建物の規模にもよりますが、だいたい半月から1ヶ月ほどかかります。
工事の際は、工場の稼働を止めるべきなのかどうかが気になると思いますが、塗装は工場外で行うものなので、基本的には普段通りに生産活動を行うことができます。
工場・倉庫の外壁塗装に使われる塗料の種類4つ
外壁塗装に使う塗料には様々な種類があり、それぞれ性能や耐用年数など特徴が異なります。外壁にどのような機能を求めるかによって選ぶべき塗料が変わるので、主な塗料の種類とその特徴を解説していきます。
アクリル塗料
今回ご紹介する中ではもっとも安価な塗料です。
耐用年数は4〜7年ほどと短いです。耐久性が他の塗料に比べると劣るため、最近では外壁の塗装に使われることはあまりありません。
ただし、塗装費用を安くしたい人には合っている塗料です。
ウレタン塗料
こちらも比較的安い塗料ですが、柔らかいので密着性が高く、さらに汚れにくいという特性を持っています。
新しく建てた建物に塗装されていることが多く、耐用年数が6〜10年なので、新築でウレタン製の塗料で塗装されている建物は完成から10年頃を目安に塗装を行う必要があります。
シリコン塗料
その名の通り、シリコン樹脂を主成分としており、耐用年数は10〜15年と比較的長めです。
汚れがつきにくく、色落ちもしにくく、さらには耐水性や耐久性が高いという性能の高さがありますが、費用はそれほど高いわけではありません。
コストパフォーマンスに優れているため、外壁塗装ではよく使われます。
フッ素塗料
耐久性が高く、さらに耐寒性などにも優れており、耐久年数は15〜20年と長持ちするのが特徴です。ただし、その分価格も高いのがデメリットです。
高いビルや橋などに使われることが多いですが、塗装のサイクルを長くしたり、ランニングコストを抑えたりしたいのであれば工場や倉庫の外壁でもフッ素塗料を使うのがおすすめです。
工場・倉庫の塗装工事の流れ
外壁塗装は建物の外で行う工事なので普段の生産活動に影響は与えませんが、半月から1ヶ月ほどかかるので、どのような工程で行われるのか最低限は知っておいた方が良いでしょう。
そこで、塗装工事の流れをご紹介します。
足場の設置
建物全体の塗装をするには足場が欠かせません。そのため、まずは足場の設置から始まります。工場や倉庫の規模にもよりますが、この作業だけで1日かかります。
ちなみに外壁塗装にかかる費用のうち、20〜25%ほどが足場に関わる費用になります。
洗浄
外壁塗装はただ塗料を塗るだけの作業ではありません。塗料を塗る前には色々な下準備をしなくてはいけません。その1つが洗浄で、新しい塗料の耐久性を上げるために前回塗った塗料を綺麗に落とします。
下地処理
続いて行うのが下地処理です。この過程では金属部分についた錆を落としたり、ヒビを補修したりして外壁材の状態を改善します。
塗装
外壁材の準備が整ったらいよいよ塗装をしていきます。塗装では下塗り、中塗り、上塗りの3つの作業を行います。
最初は下塗りと言って錆止めの効果がある塗料を塗ります。次に中塗りでメインとなる塗料を塗り、さらに上塗りでもう一度同じ塗料を上から重ねるように塗ります。
足場の撤去
塗装が終わり、全体を確認して問題がなければ足場を片付けます。設置と同じように撤去の際にも1日ほど時間がかかります。
工場・倉庫の塗装工事を行うときの注意点4つ
外壁塗装はコストが高く、さらに工期が比較的長いものだからこそ、トラブルなくスムーズに終わらせたいですよね。
そこで最後に、外壁塗装を行うときに気をつけたいポイントをまとめました。
見積もりをする前に建物の状態を確認する
塗装の見積もりをする際には、必ずその時点での建物の状態をしっかり確認してもらいましょう。劣化の度合い、汚れの状態、ヒビの有無などによって工事の際に必要な工程が変わるからです。
よく状態を確認しなければ本当は必要のない作業も行うことになり、無駄なコストがかかる原因となりますので、現場の状況をしっかり確認してくれる業者に依頼しましょう。
複数の業者に見積もりをしてもらう
良い業者を選ぶコツの1つは複数の業者に見積もりを依頼することです。
いくつかの業者に見積もりを出してもらえれば、サービス内容や費用の相場が分かり、選ぶべき業者が見えてきます。
反対に最初から1社に絞ってしまうと、そこが悪質な業者だった場合に見抜くことが出来ず、作業中にトラブルが発生したり、塗装の質が悪くなったりするリスクが生じます。
そこで、最低でも3社は見積もりを依頼するようにしましょう。
値引きしすぎて質を落とさないようにする
外壁塗装は規模によっては何百万円もかかるものだからこそ、少しでも費用を抑えたいと思うのではないでしょうか。しかし、値引きしすぎるのもよくありません。
なぜなら、値引きをすると作業員の質が下がったり、安い塗料を使うことになったりして、作業全体の質が落ちるからです。
すると、塗装費用を安くすることはできても、すぐに外壁が劣化し、メンテナンスの必要が出てきて、結局ランニングコストがかかってしまいます。
外壁塗装を依頼するときは最低限の質は確保するようにしましょう。
工事前に近隣に挨拶をする
塗装工事では足場を組み立てたり、屋根の洗浄をしたりするときに大きな音が発生します。つまり、工事中はどうしても近隣住民に迷惑をかけてしまいます。
そこで、工事が始まる前には必ず近隣に挨拶回りをして、理解いただくようにしましょう。
まとめ
外壁の塗装には建物を守ったり、見た目の印象を良くしたりする効果があります。
そのため、塗料が劣化してしまう前にメンテナンスをするのが望ましいです。塗装の時期は塗料の種類にもよりますが、だいたい10年前後です。
建物の資産価値を維持するためにも、メンテナンスの時期が来たら業者に相談し、塗装をしましょう。