工場を建てるときにつけた新しい屋根も時間が経過すれば劣化し、寿命を迎えます。工場によく使われる屋根の耐用年数は折半屋根が20〜30年、波形スレート屋根が25年以上と言われています。
工場や倉庫の屋根は古くなったり、破損したりしてから取り替えるという方法もありますが、定期的にメンテナンスをすれば機能を保ちつつ、長持ちさせることができます。
そのため、工場の屋根は定期的に修理やメンテナンスをすることが理想です。
屋根のメンテナンス方法は工事を行う業者と話し合って決めると思いますが、その際に屋根の工事の方法について知識があればより適切な選択ができるはずです。
そこで今回は、工場・倉庫の修理やメンテナンスの方法について詳しくご紹介していきます。工事を行うときに気をつけるべきポイントもご紹介するので、工場を経営されている方はぜひ最後までご覧ください。
工場・倉庫の屋根のメンテナンスをすべき理由
- 屋根は耐用年数が来るまで何もしなくていいのではないか
- 何か問題が発生してから修理すればいいのではないか
そんな風に考える方は少なくないと思います。しかし、特に問題がないように見えても屋根は定期的にメンテナンスをするのが望ましいです。
まずはその理由を解説していきましょう。
雨漏りを防げる
まず、定期的に屋根の状態を良くすることで雨漏りを防げるというメリットがあります。雨漏りは屋根を固定しているボルトやその周りの屋根材が錆びることが原因で起こるものです。
そのため、定期的に屋根の状態を見て、古いボルトを交換したり、錆びている部分を直したりすることで、雨漏りが発生するのを事前に防ぐことができます。
雨漏りが起こると機械が故障したり、製品がダメになってしまったりと様々な悪影響を及ぼすので、費用をかけてでもメンテナンスをする価値があります。
建物の印象が良くなる
屋根が錆びたり、汚れたりすると見た目の印象が悪くなります。たとえ、雨漏りなどの異常がなかったとしても、これでは建物の印象が悪くなり、さらには会社への印象にも影響を与えるでしょう。
メンテナンスをすれば、見た目が悪くなった屋根も塗装をして新品のように生まれ変わらせることができるので、常に綺麗な外観を保つことができ、周りの人からの印象も良くなります。
建物の価値を維持できる
屋根が新しくて綺麗な状態であれば、その分、建物の価値を高くすることができます。すると、工場を移転したり、撤退したりするときに建物を高く売ることができます。
このようなメリットがあるので、点検や修理にお金がかかっても惜しくはありません。
社員のモチベーションが上がる
見た目が綺麗な建物と、古くて見た目も悪い建物。どちらの方が社員の士気が上がるでしょうか?答えはもちろん前者だと思います。
建物を手入れして綺麗に保つことは、周りからの印象を良くするのはもちろんのこと、その中で働く社員のモチベーションを高めることにも繋がります。
社員のやる気が出れば日々の業務に前向きに取り組むようになり、さらに、工場に愛着が湧き、離職率を下げることにも繋がるかもしれません。
工場・倉庫の屋根のメンテナンスをすべきタイミング
工場や倉庫の屋根は雨漏りなど何か被害があってから修理を行うのではなく、定期的にメンテナンスをして機能性を常に高く保つのが理想的です。
では具体的にどれくらいのタイミングでメンテナンスをすべきかというと、10年ごとが1つの目安です。新しく設置した屋根も10年から20年経つ頃には雨漏りなどの問題が発生するので、その前に一度状態をチェックすることが大切です。
折半屋根の耐用年数は20〜30年、波形スレートの屋根は25年以上と言われていますが、定期的にメンテナンスをしていれば何もしていない場合に比べてより長く使用することができますよ。
工場・倉庫の屋根のメンテナンスは工場を止めずに行うことが可能
屋根のメンテナンスをするときに気になるのが、工事中は生産を止めなければいけないのかどうかという点ではないでしょうか。機械を動かせなければ生産活動に影響が出るので、できれば避けたいですよね。
屋根のメンテナンスは建物の外側から行うものなので、基本的には機械を止める必要はありません。そのため、工事中でも普段通り生産活動ができますよ。
工場・倉庫の屋根のメンテナンス方法3つ
屋根のメンテナンスといっても、実は色々な方法があります。どのように手入れをするかによって費用や工期が変わってくるので、メンテナンス方法についても知っておきましょう。
塗装
まず、屋根塗装という方法があります。これはその名の通り、屋根全体をもう一度塗装することです。改めて塗料を塗ることで屋根材の機能性を保つことができます。
ボルトで固定するタイプの屋根はボルトやその周りの屋根が錆びて穴が開いたり、ヒビが入ったりすることで雨漏りが発生するので、こうした事態になる前に塗り替えることで雨漏りを防ぐことができます。
塗装は簡単なように思えますが、まずは足場を組み、汚れを取り、それから塗装をするので、工期が意外と長くかかります。
カバー工法
カバー工法とは既に設置されている屋根の上から新しい屋根を重ねる方法です。屋根を撤去する必要がないので、コストを抑えられ、工期も短くすることができます。
劣化が激しかったり、雨漏りが起きたりしている屋根にはぴったりのメンテナンス方法です。
メンテナンスの際に古い屋根と新しい屋根の間に断熱材を入れれば断熱性が高くなり、夏場に工場内が暑くなりすぎるのを防ぐことができるので光熱費の節約にもつながります。
葺き替え
葺き替えは古い屋根を取り除き、新しい屋根に替えるものです。
屋根の状態が悪くなっている場合や屋根が破損したときなどに使われる方法ですが、一旦屋根を取り除くため、場合によっては生産活動を止めなくてはいけなくなってしまうので、工場では葺き替えではなく、カバー工法が採用されることが多いです。
工場・倉庫の屋根のメンテナンスをするときの注意点3つ
屋根の修理やメンテナンスを問題なく終わらせるためにはいくつか気をつけなくてはいけないことがあります。
最後に、工場・倉庫の屋根のメンテナンスをするときの注意点についてご紹介します。
工事前に見積もりを出してもらう
屋根の工事は専門の業者に頼んで行います。この時、必ず工事の見積もりを事前に提示してもらうようにしましょう。
費用に関する確認が不十分だと、工事が終わった後に思っていた額より多く請求されたりとトラブルになる可能性があります。
見積もりを確認するときには疑問点があれば遠慮なく聞くようにし、さらにその金額よりも高くなる可能性があるのかも確かめておきましょう。
もし、見積もりをはっきり提示してもらえなかったり、担当者の対応に不安があったりする場合は他の業者を利用することを検討した方が良いでしょう。
アスベストを含む屋根は撤去に費用がかかる
少し前にアスベストが話題になったことがありましたよね。
アスベストは人間の健康を害する恐れがあるとされ、今では使用が控えられていますが、昔に造られた建物には未だアスベストが使用されていることがあります。
工場や倉庫の場合、波形スレートの屋根で2004年以前に製造されたもののほとんどがアスベストを含んでいます。
アスベストを含んだ屋根のメンテナンスはその他の屋根に比べて費用がかかります。
特に葺き替えの場合は、アスベストが飛散する恐れがあり、対策をしなくてはいけないので、費用は高くなります。
そこで、アスベストの屋根のメンテナンスをするときには、工事内容や費用についてよく話し合いましょう。
屋根以外の部分もメンテナンスすると効率がいい
工場は屋根以外にも外壁などメンテナンスをすべき場所があります。屋根工事をするときには合わせてこれらのメンテナンスもすれば、工事を行う期間を集中させることができるのでおすすめです。
また、近隣の住民の方に迷惑をかける期間を短くすることができるというメリットもあります。
屋根のメンテナンスをするときには他の部分のメンテナンスについても業者に相談してみましょう。
まとめ
新しい屋根も時間が経てば劣化し、修理やメンテナンスが必要になります。屋根にはそれぞれ耐用年数がありますが、定期的に手入れをすることで、機能性が高いままで長持ちさせることができます。
屋根のメンテナンスには塗装、カバー工法、葺き替えと種類があるので、信頼できる業者と相談しながらどのようにメンテナンスをするのかを決定しましょう。