鉄骨造に必要な耐火構造と3つの基準について

地震や水害により日本各地で建物が倒壊しています。
自然災害は一瞬にしてビルや工場、住宅を飲み込んでしまいます。

しかし、自然災害だけが脅威ではなく、火災による建物の倒壊も少なくはありません。
総務省の発表では、火災の種別として建物火災が一番多いとしており、その件数は毎年増加しているといいます。

これからの季節は空気も乾燥してくるので、火災が起こりやすい時期でもあります。
今回は、鉄骨造における耐火・防火、そして建築基準法に定められる火災時の安全性をご紹介します。

鉄骨は火に弱い

時間の経過とともに火は大きくなり熱も上昇します。その温度は、900度近くまで上がり、構造や室内の条件によっては1,000度を超えるともいいます。
そんな火災現場で建物はどうなるでしょうか?

まず、木造建築の場合は、柱も梁も素材は木ですからあっという間に燃え広がり倒壊してしまいます。
鉄骨造の場合は、熱の上昇とともに鉄骨は柔らかくなり建物の強度が落ちていきます。鉄骨造の建物は、鉄であり火や熱に強いイメージがありますが、実は、意外にも鉄骨は熱に弱いのです。

鉄骨造に必要な耐火被覆とは

多くの高層ビルや工場や倉庫といった大規模建築物は、鉄骨を使用して建設されています。
では、鉄骨造は、熱に弱い部分をどう補っているのでしょうか?
その不安を払拭させるのが「耐火被覆」です。

耐火被覆とは、熱に弱い鉄骨を火災から守るために断熱性の高い素材で覆うことをいいます。また、火災による倒壊も防止してくれます。
耐火被覆を施す部分は、建物の主要構造部分となる鉄骨です。

耐火被覆で使用される素材は、ロックウールと呼ばれる人造鉱物繊維です。発がん性があるとされ使用禁止となったアスベストに変わって、建物の種類に問わず使用されています。
断熱材として特徴的なことは、約700度の熱にも耐えられ形状を維持することできることです。鉄骨自体は強度があるので、ロックウールで被覆されたら倒壊が防止できるのです。

鉄骨に耐火被覆する2つの方法

鉄骨にロックウールを被覆させる方法をご紹介します。

直接吹き付ける

被覆するための専用機を使い、鉄骨に直接吹き付けます。
吹き付けることでのメリットは、どんな形でも丁寧に吹き付けることができるので、繋ぎ目はなく取りこぼしがありません。

吹き付けは現場で行うので、事前準備がほとんどありません。
また、素材も素早く乾燥するので施工期間を短縮させることができます。

巻き付ける

規格に合わせて作られた耐火被覆材を鉄骨に巻き付けていきます。
工場にて生産されるので、被覆材としての厚さや密度はすでにクリアしているので問題ありません。

固定する際も簡単で吹き付けのように養生したり、乾燥させる必要がないので、他の作業と並行して行うことも可能です。

防火からみる構造の種類について

建築基準法には、耐火構造以外にも防火からみた構造の種類があるので、ご紹介します。
防火を基準とした場合に建物に求められるものがあります。

  • 火災による建物の倒壊防止
  • 周辺の建物への延焼防止

この2つの性能に対して求められる基準を満たしたものを、以下の4つの構造に分けられます。

耐火構造

耐火構造は、防火のレベルとして最も優れた構造とされています。
そのレベルを判断するために、3つの基準があります。
どこまで熱に耐えられ建物の形状を維持できるのか、時間を基準にして決められます。

鉄骨造の場合は、高層の建物も多くあります。建築基準法には、各階層によって基準の時間も決められています。

  • 最上階から数えて4階まで・・・1時間
  • 最上階から数えて5〜14階まで・・・2時間
  • 最上階から数えて15階以下・・・3時間

建物の主要部分である柱・梁・床・壁に求められる耐火時間です。
この時間を基準に3つのことが求められます。

非損傷性

建物の形状を残し、少しでも破損を防ぐことで倒壊防止となることを求められます。さらには修復して再利用できるかがポイントとなります。

遮熱性

火災時には、火が大きくなりその熱もどんどん上昇していきます。熱の温度を一定に保つことを求められます。対象となるのは、床と壁です。

床が燃え、崩落することで別の階にも火が燃え移ります。そして、壁が崩れた場合には延焼や外部への危害が高い確率で発生しまうからです。

遮炎性

壁と同様に屋根が燃え落ちてしまうと、火や火の粉が屋外に飛び出してしまいます。風に煽られて延焼の可能性もあります。

これら3つの性能がそろって耐火構造となります。

準耐火構造

基準として求められる3つに違いはありませんが、その時間は45分とされます。
耐火構造と同様に柱・梁・壁などを重要視していますが、屋根や軒裏に関しては30分となります。

防火構造

防火構造は、主に延焼させないことを基準としています。
対象となるのは、外壁と軒裏です。

準防火構造

こちらは、延焼をさせないために外壁求められる性能が基準となります。

耐火建築物であることを求められる建築物

耐火構造である建物を「耐火建築物」といいます。
日本に存在する全ての建物が耐火構造ばかりではありませが、建築基準法によって耐火建築物であることが求められる建築物があります。

特殊建築物

建築基準法に定められた学校や病院、映画館などが挙げられています。ここにある特殊建築物は耐火建築物であることが定められています。

(い)

(ろ)

(は)

(に)

用途

(い)欄の用途に供する階

(い)欄の用途に供する部分

((一)項の場合にあつては客席、

(五)項の場合にあつては三階以上の部分に限る。)の床面積の合計

(い)欄の用途に供する部分

((二)項及び(四)項の場合にあつては二階の部分に限り、かつ病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計

(一)

劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの

三階以上の階

二百平方メートル(屋外観覧席にあつては、千平方メートル)以上

(二)

病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの

三階以上の階

三百平方メートル以上

(三)

学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの

三階以上の階

二千平方メートル以上

(四)

百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの

三階以上の階

三千平方メートル以上

五百平方メートル以上

(五)

倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの

二百平方メートル以上

千五百平方メートル以上

(六)

自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの

三階以上の階

百五十平方メートル以上

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E6%AE%8A%E5%BB%BA%E7%AF%89%E7%89%A9

この上記の表にある特殊建築物は、全て耐火建築物となります。
どの建物も、火災時の避難が困難であることや通常の火災以上の被害が考えられる建物ばかりであることが特徴です。

特殊建築物以外で該当する建物

耐火建築物に該当する建物として3階建てがあります。
建物の上階から避難することは非常に困難を極め、その基準を3階以上と定めています。(建物の用途によっては2階まで耐火建築物でなくてもよい場合があります。)

基準となるのは建物ばかりではなく、敷地によって耐火建築物に該当することがあります。
防火地域・準防火地域と呼ばれる場所です。市街地など住宅が密集する地域が該当します。この地域で敷地が該当する場合には、規模に関係なく耐火建築物であることが求められます。(一部例外あり)

まとめ

鉄骨造は耐震に強い反面、熱による軟化があることが分かりました。そのために施される耐火被覆により耐火構造となり火災にも強い建物となります。
どんな構造でも、オールマイティにOKとなることはありません。こうして不足している部分には補強するように、火災から建物が守れるようになります。

建物の見えない部分が補われていることで、そこで働く人も住む人も避難することができます。火災が発生した時、私たちもどのように行動するべきなのかを考えて訓練しておきたいですね。

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