この記事では次の内容をまとめています。
- コールドチェーンの特徴
- コールドチェーンを取り入れるメリットとデメリット
- コールドチェーンの流れ5ステップ
食品工場や医薬品工場にとって重要性が高いコールドチェーンについて知っておきたいことを全てまとめました。
物流を発展させたコールドチェーンとは
コールドチェーンとは生産から消費までのサプライチェーンを、冷凍や低温など、製品の管理に最適な温度を維持したまま行うことです。
低温物流、低温ロジスティクス、生鮮サプライチェーンマネジメントと呼ばれることもあります。
コールドチェーンは冷凍食品、アイス、医薬品、電子部品などの管理に非常に役立ちます。
食品業界におけるコールドチェーンの重要性
コールドチェーンは食品の物流を大きく発展させました。
まず、アイスや冷凍食品といった常温では管理できない食品を全国各地に配送することを可能にしました。
また、食品を劣化させずに消費者の元に届けることができるので、スーパーでは新鮮な食品が並び、レストランでも幅広い料理を作ることが可能になっています。
医療業界におけるコールドチェーンの重要性
医薬品、化学薬品、血液パック、ワクチンは、低温で管理しなければ劣化し、最悪の場合は廃棄となります。
ワクチンが適切な温度下で管理されなかったために、処分せざる得なくなったというニュースを聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
医薬品工場でもコールドチェーンを導入することで、全国各地の病院や薬局に品質を保ったまま製品を届けられるようになります。
コールドチェーンで管理される製品の温度帯
コールドチェーンで設定される温度は、製品によって異なります。
そこで、どんな製品がどれくらいの温度下で管理されるかを簡単にまとめました。
10~20度・・・医薬品、化粧品、ワイン、生鮮食品
10度以下からマイナス20度未満・・・野菜、果物、乳製品、肉、練り物
マイナス20度以下・・・冷凍食品、アイスクリーム、冷凍魚介類
工場がコールドチェーンを取り入れるメリット4つ
この章では食品工場や医薬品工場がコールドチェーンを取り入れるメリットをまとめました。
1 | 製品の品質が落ちない |
2 | 広い地域に配送できる |
3 | 需要が多く売上に繋がる |
4 | 消費者に喜んでもらえる |
製品の品質が落ちない
まず、品質を保つことができるというメリットがあります。
コールドチェーンでは工場を出てから、配送や販売の段階でも適切な温度下で管理されるため、品質が劣化しません。
血液パックなど、物によっては設定温度を少しでも超えただけで処分しなければいけないものがありますが、そういった廃棄も防ぐことができます。
また、品質が落ちないことで、長い間保管することができるので、販売期間が長くなり、廃棄を減らせます。
広い地域に配送できる
コールドチェーンによって、いろいろな製品を全国各地に届けられるようになりました。
コールドチェーンがなかった頃は、低温で管理しなければいけないものは限られた範囲にしか届けられませんでした。
しかし、今は技術の発達によって低温を維持できるようになったため、配送できる範囲が大きく広がっています。
海を越えて世界に届けることもできます。
このように、コールドチェーンを取り入れれば一気に商圏を広げ、販路を拡大することができます。
需要が多く売上に繋がる
製品の品質を保てるコールドチェーンは非常に需要が大きいです。
分かりやすい例で言うと、冷凍食品、アイスクリーム、乳製品といった食品はもう私達の生活には欠かせない物になっていて、需要はこれからも変わらないでしょう。
つまり、コールドチェーンを取り入れている工場の売上は安定すると考えられます。
消費者に喜んでもらえる
コールドチェーンは工場にもメリットがありますが、物流の終点にいる消費者にも嬉しい点があります。
例えば、スーパーに行くと、全国から集まったいろいろな新鮮な食品を買えるのはコールドチェーンがあるおかげです。
このように、消費者に喜んでもらえることを考えると、仕事にやりがいを感じるのではないでしょうか。
工場がコールドチェーンを取り入れるデメリット3つ
この章では工場がコールドチェーンを取り入れるデメリットをご紹介します。
1 | 設備投資が必要 |
2 | 温度管理の責任がかかる |
3 | 人材育成が必要 |
設備投資が必要
コールドチェーンを構築するにはかなりの設備投資が必要です。
なぜなら、生産、管理、配送と全てのプロセスで低温を維持しなくてはいけないからです。
そのため、常温で管理できる製品を扱う場合に比べて設備投資が高くなります。
ただし、コールドチェーンの需要は高く、売上に繋がるというメリットがあるので、投資する価値はあります。
温度管理の責任がかかる
コールドチェーンでは常に温度を管理しなければいけません。
なぜなら、コールドチェーンで扱う製品は適温から外れた環境に置かれると劣化してしまうからです。
例えば、血液パックは少しでも適温を超えると廃棄しなければならず、管理条件が非常に厳しいです。
このように、担当者の責任が大きいのがデメリットと言えます。
人材育成が必要
温度管理ができる人材を育成する必要があります。
常に一定の温度に保つためには高い技術力が必要です。温度管理のデータを見て、状況を確認するスキルも求められます。
特に、現代のコールドチェーンはIoTが進んでいて、今までよりも温度管理は複雑になっています。
そのため、企業がコールドチェーンを導入する際は、人材の教育を行わなくてはいけません。
コールドチェーンの流れ4ステップ
この章ではコールドチェーンの大まかな流れを、食品工場を例に、段階ごとにご説明します。
ステップ1 生産・加工
出来るだけ新鮮な状態で低温処理をして、品質が劣化するのを防ぎます。
野菜や果物は急速に温度を低下させ、その後、専用の冷蔵庫で保管されます。
これを「予冷」と呼びます。
ステップ2 物流
生産・加工後、倉庫や店舗まで輸送します。ここが大変重要なプロセスです。
なぜなら、目的地に着くまで時間がかかり、その間、適温を維持しなくてはいけないからです。
特に、遠方へ運ぶ際は温度管理の重要性がより高くなります。
低温の環境を作れる専用車を用意し、品質を維持しましょう。
ステップ3 販売
工場はここから先のプロセスには直接関わりませんが、どのような管理がされるかをご説明します。
店舗では冷凍や冷蔵管理ができる設備で製品が管理されます。
ステップ4 消費
消費者が製品を購入した後は、消費するまで家庭の冷蔵庫や冷凍庫で保管されます。
実は各家庭にある冷蔵庫もまたコールドチェーンの一部です。
そのため、企業は家庭でも保管しやすいようなパッケージを作ることが求められます。
最後に、消費者によって食品が消費され、コールドチェーンの終点となります。
消費者にとってのコールドチェーンのメリット2つ
この章では消費者目線でのコールドチェーンのメリットをご紹介します。
1 | 新鮮なものが食べられる |
2 | 地方でも医療を受けられる |
新鮮なものが食べられる
食品はコールドチェーンによって、採れたての状態を出来るだけ保ちながら運ばれるため、生産地から遠いところでも、新鮮な状態で届きます。
そのため、消費者はスーパーに行けば全国各地の新鮮な食べ物を手に入れることができます。
コールドチェーンはこのように消費者の食の体験の幅を広げています。
地方でも医療を受けられる
医療面でも、コールドチェーンは大きな役割を果たしています。
なぜなら、医薬品やワクチンといった、人々の健康を維持するために欠かせないものを全国に品質を落とさずに運べるからです。
特に、離島は医療の供給が不十分で問題になることが多いです。
しかし、コールドチェーンがあれば、そういった地域にも他の地域とは変わらない医療体制を提供することができます。
コールドチェーンは人々の健康を影で支えているのです。
まとめ
コールドチェーンは生産から消費までの一連のプロセスを、冷蔵や冷凍など低温の状態を保ちながら行うものです。
食品や医薬品といった、常温では品質が劣化するものを管理する際に使われます。
コールドチェーンは工場の商圏を広げることにも繋がりますし、消費者に喜ばれるというメリットもあります。
温度管理が必要なため、通常のサプライチェーンに比べて構築するのに費用はかかりますが、メリットも大きいので、ぜひ導入を検討してみましょう。