この記事では次の内容をまとめています。
- BCP対策とは
- 建設の際にすべきBCP対策
- 建設時以外にすべきBCP対策
災害時に備えてBCP対策をしようと考えている企業が知っておくべきことを全てまとめました。
工場・倉庫に求められるBCP対策とは
BCPとは” Business Continuity Plan” の略で、「事業継続計画」という意味です。
これは災害や感染症といった事態が起きたときに被害を最小限にし、早期復旧して事業を継続するため、日ごろから行っておくべきことや、非常時の対策をまとめたものです。
日本は地震、台風、集中豪雨といった自然災害が発生しやすく、こうした災害に見舞われると工場や倉庫は大きな打撃を受けるからこそ、BCPの策定は非常に重要です。
また、新型コロナウイルスの流行のような災害以外の事態への対策も求められます。
工場・倉庫建設の際にすべきBCP対策6選
この章では工場や倉庫を建設する際にできるBCP対策をご紹介します。
①耐震性を高くする |
②防災設備を用意する |
③自家発電システムを導入する |
④蓄電システムを導入する |
⑤機械や設備を固定する |
⑥異なる地域に別の拠点を用意する |
耐震性を高くする
まず、耐震性の高い構造にするという対策ができます。
地震は日本で事業をする以上、絶対に想定しておくべき災害です。
大きな震度の地震は全国各地で発生しており、どの地域でも地震対策は必要と言えます。
耐震性を高めるには耐震性の高い工法を選んだり、構造を工夫したりと、様々なやり方があります。
例えば、システム建築は耐久性や耐震性が高く、いざというときにも従業員や機械を守ってくれるでしょう。
防災設備を用意する
防災設備を充実させることも大切です。
例えば、地震の揺れを検知すると自動で稼働を停止する設備を採用すれば、危険な状況の中、機械を止めて回る必要がなくなります。
また、防災グッズや避難グッズを用意しておくと、災害時に帰宅できない従業員が出ても対応することができます。
グッズは十分な量を用意しておくのがポイントです。
自家発電システムを導入する
災害時は電気の供給が止まることがあります。
電気が止まれば工場や倉庫は普段通りの操業をすることが難しいので、いざというときでも電気を使えるような対策をしておくことが非常に重要です。
解決策の1つとして、太陽光発電のような自家発電システムを導入するという方法があります。
電気を供給できるシステムを社内に置いておけば、災害時でも電力会社の事情に振り回されずに生産を続けられます。
工場や倉庫は屋根が平らになっていることが多く、太陽光発電を導入しやすい造りになっています。
蓄電システムを導入する
災害時の電力を確保するには蓄電システムを導入するという方法もあります。
停電しても蓄電池に貯まっている分を放電することで、電気を使用できます。
工場や倉庫が産業用蓄電池を利用すれば、他にも次のようなメリットがあります。
- 電気料金を節約できる
- 計画停電の影響を受けない
- 環境対策になる
機械や設備を固定する
地震により転倒する恐れのある機械や設備はしっかり固定しておきましょう。
大きくて重い機械が人のいる方に倒れると、大怪我をする可能性があります。
また、故障する可能性もあります。
機械が壊れてしまうと、修理が終わるまで製造を進めることができず、生産活動がストップしてしまいます。
これでは工場や倉庫の他の部分がすぐに復旧しても意味がありません。
地震はいつ起こるか分からないからこそ、早めに固定しておきましょう。
異なる地域に別の拠点を用意する
複数の拠点を持っておくこともBCP対策になります。
なぜなら、1つの拠点が災害により使えなくなっても、別の拠点が無事であれば生産が完全に止まることはないからです。
この対策のポイントは異なる地域に別の拠点を持つことです。
地震のように1つの地域に集中して大きな被害が出る災害の場合、近くの地域に複数の拠点を持っていると、同時に被災してしまう可能性があるからです。
工場・倉庫が建設時以外にすべきBCP対策8選
この章では建設時以外にできるBCP対策をご紹介します。
①災害発生時のマニュアルを作る |
②社員の安否確認の方法を定める |
③仕入れ先を分散させる |
④データをパックアップする |
⑤避難訓練を行う |
⑥復旧する業務の優先順位を明確にする |
⑦他社との協力体制を築く |
⑧災害からの復旧に必要な資金を用意する |
災害発生時のマニュアルを作る
災害が発生した際の行動をまとめたマニュアルを作りましょう。
災害発生時は混乱し、すべき行動を見極めて冷静に対処するのが難しいです。
しかし、マニュアルがあれば落ち着いて必要な行動を取ることができます。
緊急時の連絡先や確認すべき事項などをまとめましょう。
ただし、マニュアルは作るだけでは不十分です。
存在を周知し、いざというときにすぐに従業員が手に取れるようにしておきましょう。
社員の安否確認の方法を定める
災害発生時には従業員の安否を確認しなくてはいけません。
ただし、緊急時に一人一人に連絡をとる暇はありません。
そこで、従業員に一斉に安否確認を送れるシステムを構築しておきましょう。
災害発生直後は電話が繋がりにくくなるので、こうしたタイミングでもスムーズに連絡が取れるような工夫が必要です。
仕入れ先を分散させる
先ほど、建設時にできるBCP対策として複数の拠点を作り、リスクを分散させるという方法をご紹介しましたが、これは取引先にも言えることです。
工場なら原材料の仕入れ先や商品の保管場所を複数持っておくことで、1つの企業が災害や感染症などで操業がストップしても、影響を最小限に抑えることができます。
このように、BCP対策では非常時に他社に起こりうる影響も考えながら行う必要があります。
データをパックアップする
データを紙、パソコン、ハードディスクだけで管理している場合、災害によりデータがなくなる可能性があります。
例えば次のような例が考えられます。
- 火災で焼失する
- 地震による落下や倒壊で機器が壊れる
- 浸水で使えなくなる
こうしたデータはクラウドや別の機器など、損失する恐れのない場所に移しておくと安心です。
重要な情報を失うと復旧に時間がかかりますし、企業の信用問題にも関わるので必ず対策をしましょう。
避難訓練を行う
定期的に避難訓練を行い、万が一災害が発生してもスムーズに対応できるようにしておきましょう。
このとき、特に確認しておきたいのが避難経路です。
大きな工場や倉庫はタダでさえ外に出るのに時間がかかります。
その上、脱出できる場所が分からなければ時間はさらに伸び、従業員の安全を脅かします。
また、たくさんの従業員を抱えている場合、1つの出入り口に人が殺到すると全員が脱出するまで時間がかかってしまいます。
そこで、上手く分散できるようなルートを定めておくことが大切です。
復旧する業務の優先順位を明確にする
大きな災害に見舞われたときは機械の故障や従業員の不足など様々な面で影響が出るため、業務を普段通りに進めるのが難しくなります。
そこで、あらかじめ業務の優先度を明確にしておきましょう。
優先順位を決めず、手当たり次第に復旧させようとすると、結果としてどれも中途半端になってしまう可能性があります。
一方で、重要な業務から順番に再開しようとすれば、混乱を招かずにスムーズに復旧できます。
優先順位を決めるポイントは次のようなものがあります。
- 売上
- 利益率
- 取引先の重要度
- 長い目で見て自社にもたらす影響の大きさ
他社との協力体制を築く
平常時のうちに他社との協力体制を築き、非常時の対応について決めておきましょう。
例えば、工場や倉庫が被災した際に、他社の建物の一部を生産拠点として使わせてもらったり、設備を借りたりする約束をしていれば、非常時に完全に操業がストップすることを防げます。
もちろん、先ほども触れたように社内で別の拠点を用意し、非常時に拠点間で助け合える仕組みを作っておくことも大切です。
災害からの復旧に必要な資金を用意する
災害時には次のような費用が緊急で必要になります。
- 建物の修繕費
- 設備の修繕費
- 新しい機械の購入代金
- 原材料や部品の再調達費
こうした対応が済むのが早ければ早いほど、事業の継続もしやすくなります。
いざというときにすぐに出せる資金を用意しておきましょう。
まとめ
日本は災害に見舞われやすいからこそ、BCP対策をして、緊急事態からなるべく早く復旧できるような仕組みを作っておくことが重要です。
非常時に慌てなくて済むよう、余裕のあるうちから策定しておきましょう。