この記事では次の内容をまとめています。
- DAS(デジタルアソートシステム)とは
- DASを使った仕分けの流れ
- DASを導入するメリット・デメリット
DASの導入を考えている企業や、仕分け作業の効率を上げたい企業が知っておきたいことを全てまとめました。
DAS(デジタルアソートシステム)とは
種まき型の仕分け作業をサポートするシステムです。
出荷先ごとに分けた棚や台車に表示器を取り付け、そこに表示される数や色を見ながら商品を仕分けします。
表示器は有線と無線の両方があります。
商品のバーコードをハンディなどでスキャンするだけで、システムに反映されて表示器が点灯するため、誰でも簡単に使用できます。
トータルピンキングした後や、入荷後すぐに商品を仕分けする場合に活用できるシステムです。
DAS(デジタルアソートシステム)による仕分けの流れ4ステップ
この章ではDASを使って仕分けをするときの流れを4ステップに分けて説明します。
商品情報をシステムに反映させる
まず、作業者は商品のバーコードをスキャンして、これから仕分けする商品の情報をシステムに反映させます。
すると、その商品を入れるロケーションの表示器が点灯します。
表示器まで移動する
表示器が点灯しているロケーションまで移動します。
複数の色のランプがついているタイプの表示器は、色ごとに商品が割り当てられているので、自分が担当する商品の色を間違えないようにしましょう。
数を確認して商品を入れる
表示器に出ている数の通りに商品を入れます。
複数の色のランプがついている表示器は自分が担当する色のボタンを押すことで数量が表示される場合があるので注意しましょう。
再度ボタンを押して完了
仕分けが終わり、ボタンを押すと、そのロケーションでの作業は終了です。
表示器が点いている次のロケーションへ移動しましょう。
DAS(デジタルアソートシステム)を導入するメリット5つ
この章では倉庫がDASを導入するメリットをご紹介します。
1 | 作業ミスを減らせる |
2 | 時短になる |
3 | 人員削減になる |
4 | 新人でもすぐに覚えられる |
5 | 人によって作業の質が変わらない |
作業ミスを減らせる
DASを使うと、数量違いや商品の入れ違いなどを防ぐことができます。
なぜなら、表示器に出ている数を見ながら商品を入れていくだけだからです。
作業ミスが減ると、最終確認で間違いに気づいて対応に追われることがなくなりますし、顧客からのクレームも防ぐことができます。
時短になる
作業時間が短くなるというメリットもあります。
紙のリストが必要ないので、1回1回商品名や数量を読まなくていいからです。
また、かつては1つ1つバーコードをスキャンしていたのが、DASを導入すれば最初に1回だけバーコードをスキャンすれば、あとはスキャンしなくて良いので、時短になります。
さらに、紙のリストがなくなることで作業者の手が空くため、素早く仕分け作業ができるようになるという面もあります。
人員削減になる
これまで仕分け作業を読み上げる担当と商品を移動させる担当の2人1組でしていた場合、DASを導入すれば一人で作業できるようになるため、大幅な人員削減になります。
すると、人件費を削減できます。
人件費に頭を悩ませていた企業にとっては大きなメリットですね。
新人でもすぐに覚えられる
DASでの作業は表示器を見ながら商品を棚に入れるだけなので非常に簡単で、新人でもすぐに覚えられます。
すると、新しく入った人や派遣でも即戦力になります。
また、教育に時間をかけなくて済むというメリットもあります。
人によって作業の質が変わらない
DASを使った作業では人によって作業の質にあまり差が出ません。
これは長く働いているベテランと新人であまり作業の正確さが変わらないということです。
そのため、「あのベテランさんが居ないから作業が終わらない」、「あの人に聞かないと作業のやり方が分からない」と現場が混乱することがなくなります。
DAS(デジタルアソートシステム)を導入するデメリット5つ
この章では倉庫がDASを導入した際に考えられるデメリットをまとめました。
1 | 初期費用がかかる |
2 | ロケーションの変更に時間がかかる |
3 | 故障するリスクがある |
4 | 混む場合がある |
5 | 導入しても効率が良くならないケースがある |
初期費用がかかる
DASは導入する際に大きな費用がかかるのが難点です。
システムの導入、表示器の購入、表示器の設置工事などあらゆる費用がかかるためです。
ただし、先ほども触れたように、人件費を削減できたり、1日の出荷量を増やせたりと費用面でのメリットもあります。
そこで、導入することできちんと費用面でのメリットが生まれるかを計算してから導入するのが望ましいです。
ロケーションの変更に時間がかかる
棚や荷台のロケーションを変更しなければいけないとき、作業完了まで時間がかかります。
なぜなら、棚と一緒に表示器も入れ替えなくてはいけないからです。
そのため、普通のロケーションの変更よりも労力がかかるでしょう。
なるべく変更が少なくて済むように最初から完璧なロケーションを構築するのが理想的です。
故障するリスクがある
DASではシステムやデジタルの表示器を使うため、故障のリスクがあります。
もし、システムが止まったり、表示器に数字が表示されなくなったりすれば、仕分け作業ができません。
デジタル機器を使う以上、避けられないリスクなので、万が一故障した場合はどう対応するのか、マニュアルを作って社員に周知しておくと安心です。
混む場合がある
一度に複数人が仕分け作業をすることで、通路が混んで動けない人が出る可能性があります。
このとき、作業の手が止まってしまうので、作業効率は落ちてしまいます。
作業者はテキパキ作業するように努めたり、仕分けする商品の順番を考えたりと、通路が渋滞しないような工夫をすることが求められます。
導入しても効率が良くならないケースがある
様々なメリットがあるDASですが、実は導入しても作業効率が上がらない場合もあります。
例えば、配送先が少ない商品を扱っている場合です。
反対に、様々な配送先から注文が入る商品はDASを導入するメリットが大きくなります。
このように、アイテムがどれくらいの配送先に送られるかによって、導入後の作業効率の変化の度合いが変わります。
そこで、導入する前に自社で扱っている商品をリストアップし、専門業者と相談しながらDASを導入するメリットがあるかどうかを検討しましょう。
GAS・DPS・HASとの違い
DASとよく似たGAS、DPS、HASというシステムがあります。
最後にこれらのシステムとDASとの違いをご紹介します。
GAS(ゲートアソートシステム)
最大の特徴は各間口に扉がついていることです。
商品をスキャンすると、該当する間口の扉が開き、商品を入れることができます。
完了のボタンを押さなければ次の扉が開かないため、商品の入れ違いの可能性をDASよりもさら低くすることができます。
検品の必要がなく、作業時間を削減できます。
DPS(デジタルピッキングシステム)
ピッキングの際に使われるシステムです。
DASと同じように棚に表示器がついていて、表示器に点灯している数量をピッキングしていきます。
紙のリストが必要なく、リストを読んだり、ロケーションを探したりする手間が省けます。
DASとよく似ていますが、仕分け作業で使われるか、ピッキングで使われるかという違いがあります。
HAS(ハンディアソートシステム)
アイテムについているバーコードをスキャンし、ハンディ上に表示された情報をもとに仕分け作業を行うものです。
スキャンするだけで様々な情報を知ることができるため、商品知識は必要なく、誰でも作業ができます。
また、全てハンディ上で完了するため、ペーパーレスで仕分け作業ができます。
さらに、二人一組で作業しなくていいので、人員削減ができます。
DASやDPSとは違い、ロケーションを固定する必要がなく、繁忙期に出荷先が増えても柔軟に対応できるというメリットもあります。
まとめ
DAS(デジタルアソートシステム)はロケーションごとに設置された表示器を見ながら仕分け作業を行えるシステムです。
従来の仕分け作業のように紙のリストを見る必要がないため、素早く作業を進めることができ、作業時間を短縮することができます。
ただし、倉庫で扱うアイテムによっては導入してもあまりメリットがない場合もあるので、導入する前に本当に効率が上がるのかを検証することをおすすめします。