この記事では次の内容をまとめています。
・建て替え工事で稼働を止めない方法
・建て替え工事で稼働を止める影響
・稼働を止めない工事の注意点
工場・倉庫の建て替え中に稼働を止めたくないと考えている方が知っておくべきことを全てまとめました。
建て替え工事中に工場・倉庫の稼働を止めない方法2つ
この章では工場・倉庫の建て替えで稼働を止めなくてもいい工事の方法をご紹介します。
屋根から外壁へと工事を進める
既存の建物に覆い被せるように鉄骨を組み、屋根から外壁へと順番に工事を進める方法です。
まず外側を工事し、風雨を凌げる状態にしてから、内部にある既存の工場を解体していくため、工事中でも稼働し続けることができます。
ただし、この方法は既存の建物の周りに敷地がある場合のみ可能です。
工期を1期と2期に分ける
もう1つは工期を1期と2期に分ける方法です。
1期では建物の半分のエリアで機械や設備を稼働させ、残りのエリアで既存の建物の解体と建設を進めます。
1期が終わった後、工事が終わったエリアに機械や設備を移動。
2期では残りの半分を解体して新たに建設を行い、もう片方のエリアで稼働を進めます。
2期が終わったら、1期と2期にそれぞれ工事をした部分を合体させ、全体を完成させます。
工場・倉庫が建て替え工事で稼働を止めると起こる影響7つ
この章では工場・倉庫が建て替え工事のために稼働を止めると起こる影響をご紹介します。
①製造が止まる |
②出荷が止まる |
③顧客に影響を与える |
④市場での優位性が低くなる |
⑤従業員の業務量が減る |
⑥代替施設を確保しなければならない |
⑦代替施設の利用にコストがかかる |
製造が止まる
工場の場合、当然ですが稼働が止まると製造も止まり、業績が下がってしまいます。
建物の規模が大きければ大きいほど工事の期間は長くなり、生産活動に与える影響も大きくなります。
これは工場の経営者にとっては大きな問題です。
少しでも業績に与える影響を少なくしたい場合は、稼働を止めずに行う建て替えを選ぶのがおすすめです。
出荷が止まる
倉庫の場合、在庫管理やピッキングといった作業ができなくなり、物流が止まります。
すると、商品の供給が止まり、売上の減少を引き起こします。
顧客に影響を与える
建て替えにより工場や倉庫の稼働が止まると、自社だけでなく、顧客にも影響を及ぼします。
納期が遅れることで信頼関係が崩れたり、契約解除となったり、顧客満足度が下がったりと、あらゆるマイナスの影響が出てしまいます。
特に、工場や倉庫は短納期が求められることが多いため、生産量や稼働効率が落ちるのは大きな痛手となります。
市場での優位性が低くなる
建て替えにより工場や倉庫の稼働が止まると、市場における優位性が下がるリスクもあります。
例えば、一時的に生産がストップすることで、他社に既存顧客を取られる可能性があります。
競合が多い場合は特に注意が必要です。
従業員の業務量が減る
建て替えにより稼働がストップすると社内の業務量が一気に減ります。
すると、待機を求められる従業員が出てきて会社への不満に繋がります。
給料が減ったり、解雇されるのではないかという不安から離職を考える人も出てくるかもしれません。
ちなみに、新しい工場や倉庫が完成し、業務量が戻っても、今度は新しい建物での作業の仕方を覚える必要があり、新たな負担が従業員を襲います。
建て替えには従業員の負担もあることを覚えておきましょう。
代替施設を確保しなければならない
工場や倉庫が建て替えをする間、生産量がゼロになるのを防ぐ方法として、代替施設を確保するというものもあります。
工場や倉庫に使えるスペースをレンタルしたり、近くに仮設施設を建てたりと様々な種類があります。
この方法には次のようなデメリットがあるため注意が必要です。
- 適切な施設を見つけるのが難しい
- アクセスが悪くなる従業員もいる
- 物流効率が下がる可能性がある
代替施設の利用にコストがかかる
代替施設にはコストがかかる点も注意が必要です。
レンタルスペースを使う場合には家賃や物件取得費用がかかりますし、仮設の施設を建てる場合も建設費や解体費が必要です。
場合によっては予定していた予算を超える可能性もあります。
稼働を止めない建て替え工事をするときの注意点5つ
この記事では稼働を止めない建て替え工事を行うときに注意すべきことをご紹介します。
①工事ができる建設会社を選ぶ |
②稼働効率が落ちる |
③建設工事のスケジュールを確認 |
④稼働エリアと工事エリアを明確にする |
⑤安全な動線を確保する |
工事ができる建設会社を選ぶ
稼働を止めずに建て替え工事をしたいなら、その技術を持つ建設会社に依頼しましょう。
全ての建設会社が稼働を止めずに建て替えができるとは限らないからです。
対応可能かどうか知るためには建設会社のホームページを見たり、問い合わせて確認したりしましょう。
稼働効率が落ちる
「稼働を止めない」と言っても、稼働効率が全く変わらないというわけではありません。
どうしても稼働効率は通常時に比べて落ちてしまいます。
例えば、工事を1期と2期に分けて行う場合、使えるエリアは従来の半分だけになるので、通常と同じように作業を行うのは難しいです。
また、1期の完了後、機械や設備を新しいエリアに移す作業が必要で、その間は作業を行うことはできません。
そのため、この点を踏まえた上で受注や納期の調整を行う必要があります。
建設工事のスケジュールを確認
建て替え時には建設工事のスケジュールをよく確認しましょう。
稼働しながら建て替え工事をする場合、操業には工事の影響を大きく受けます。
スケジュールを把握できていなければ、予定通りの作業ができず、納期遅延などのトラブルが発生する原因となります。
トラブルを防ぐには工事の担当者とこまめに連絡をとり、状況をリアルタイムで把握するが大切です。
また、スケジュールは現場の従業員にも共有しましょう。
稼働エリアと工事エリアを明確にする
作業を行うエリアと工事エリアは明確に分けましょう。
工事中は粉塵が発生したり、大きな部材が移動したりするため、稼働エリアと分けられていないと製品が汚れたり、破損したりして、問題が発生する恐れがあります。
また、エリアをはっきり分ければ騒音や振動によって従業員の集中力が低下するのを防ぐことができます。
安全な動線を確保する
建て替え工事中は敷地内に安全な動線を確保しましょう。
工事エリアは重機が行き来するなど危険が多く、誤って立ち入ることで重大事故に繋がることがあります。
そこで、稼働を止めない建て替え工事をする際は従業員用の安全な動線を確保し、それ以外の場所には絶対に立ち入らないよう注意喚起しましょう。
工場・倉庫の建て替えのタイミング3つ
この章では工場・倉庫が建て替えを検討すべきタイミングをご紹介します。
①建物の老朽化 |
②事業拡大 |
③生産効率の低下 |
建物の老朽化
建物を建ててからしばらく経ち、老朽化が目立ってきたら建て替えのタイミングです。
古い建物は耐久性や耐震性が低下し、安全性を脅かします。
万が一、建物が倒壊すれば大きな怪我に繋がりますし、製品も破損してしまいます。
建物をこまめにメンテナンスし、建物の寿命を延ばすこともできますが、劣化がひどく、メンテナンス費用がかさむ場合は建て替えをした方が結果として安くなるケースもあります。
老朽化が進み、「そろそろ建て替えのタイミングかな?」と思ったらまずは建設会社に相談してみましょう。
事業拡大
事業を拡大することになり、現在の建物ではキャパシティが足りないという場合はより大きな工場や倉庫が必要になります。
この場合、建て替え以外に増築・拡張してスペースを広げる方法もあります。
生産効率の低下
生産効率が低い場合、もっと効率が良い動線を考える必要があります。
このとき、最適な動線を作るにはスペースが足りないケースも考えられます。
そんなときも建て替えのタイミングです。
弊社でも、工場や倉庫を建設する際は最適なレイアウトを考え、稼働後の生産効率が高くなるように設計致します。
建て替えには決して安くない費用がかかりますが、新しい建物での生産効率が高ければ投資した分を取り返すことができます。
まとめ
工場・倉庫の建物を建て替えるとき、稼働を止めずに工事を行う方法があります。
生産量がゼロにならないため、売上への影響を少なくすることができます。
ただし、この工事は全ての建設会社ができるとは限らないため、事前に対応が可能かどうか問い合わせるのがおすすめです。