この記事では次のことをまとめています。
- システム建築の特徴
- システム建築のメリットとデメリット
- システム建設の価格
システム建設で工場や倉庫を建てるときに知っておきたい全てのことをこの記事でご紹介しています。
システム建築とは
システム建築では基礎、柱、屋根といった部材を標準化していて、大きさ、配置、形などがあらかじめ決まっています。
また、計画、設計、生産、建設と工程が一貫してシステム化しているのも特徴です。
建設のあらゆる面が標準化、システム化されていることから、建物の構造はシンプルなものが多く、工場や倉庫には向いています。
システム建築の細かい方法は建設会社によって異なります。
システム建築のメリット9つ
この章ではシステム建築のメリットをご紹介していきます。
1 | 品質が安定している |
2 | 低価格 |
3 | 短工期 |
4 | 広い空間を確保できる |
5 | 2階建も可能 |
6 | 見積もりが早い |
7 | 増設しやすい |
8 | 高さを出せる |
9 | 耐久性が高い |
品質が安定している
システム建築はあらかじめ部材が標準化されており、施工の方法もシステム化されているので、品質が安定しているというメリットがあります。
在来工法では大工の腕によって建物の出来上がりが左右される面がありますが、システム建築ではベテランでなくても高品質の建物を造れます。
安心して依頼できるのが嬉しいですね。
低価格
新しく建物を建設するときに気になるのが価格ではないでしょうか?
システム建築は比較的低価格で建てられるというメリットがあります。
建物に使われる部材が標準化されているので大量生産ができること、ベテランの大工を雇わなくてもいいこと、工事が短期間で終わることなど、理由は様々です。
出来るだけ建設費用を抑えたいという方はシステム建築を選択肢の1つとして覚えておきましょう。
短工期
在来工法に比べて工期が短いという特徴があります。
部材が事前に作られていて在庫がある場合、生産の工程が必要なく、すぐに施工に移ることができます。
また、建設の方法も決まっていてマニュアル通りに行うので、スピーディーに進みます。
工期が短いとすぐに新しい建物を稼働させることができます。
広い空間を確保できる
システム建築では柱のない広い空間を作ることが可能です。
工場では大きな機械が使われることがあるので、柱がない方がレイアウトしやすく便利です。
また、倉庫も空間に制限がない方が、動線を自由に作ることができます。
柱のない広い空間にしたい場合は、見積もりの段階で建設会社に伝えましょう。
2階建も可能
システム建築では2階建の建物を作ることもできます。
ただし、耐久性の問題から、1階は2階に比べて柱が多くなることもあります。
規模の大きい工場や倉庫にしたい場合は2階建という選択肢も考えておきましょう。
見積もりが早い
建設を依頼する際に欠かせないのが見積もりですが、システム建設では見積もりが早く出ます。
これは設計がシステム化されていて、コンピュータを使って素早く行うことができるためです。
使用する部材の種類や素材があらかじめ決められていることから、見積もりの内容はかなり正確です。
出来るだけ早く見積もりをもらいたい、他社と比較したいという人にとっては便利です。
増設しやすい
増設や併設に対応しやすいのもメリットの1つです。
会社の規模が大きくなったり、新しい設備を導入したりすると、今までの工場や倉庫では対応しきれなくなることがあるかもしれません。
そんなときでも、システム建築の構造であればスムーズに増築することができます。
高さを出せる
システム建築では天井の高い建物を作ることも可能です。
室内にクレーンを設置したり、大型の機械を導入したりしたい場合でも、システム建築なら対応することができます。
耐久性が高い
短い工期で仕上がり、低価格で建設できることから、耐久性に疑問を持つ方もいるかもしれません。
しかし、システム建築は耐久性もしっかりあります。
また、耐震性や耐候性にも優れており、安心して利用できますよ。
システム建築のデメリット4つ
この章ではシステム建築で工場や倉庫を建設するデメリットをご紹介します。
1 | デザインの自由度が低い |
2 | 細かい要望が通らないことも |
3 | 小さい建物の場合はメリットが少ない |
4 | 屋上に物が置けないことも |
デザインの自由度が低い
システム建築にはデザインの自由度が低くなってしまうというデメリットがあります。
在来工法では細かい注文に応えることが可能です。
一方で、システム建築の場合は建物に使用する部材が標準化されていて、設計もシステム化されていることから、デザインにはどうしても制限が出てしまいます。
かつては工場や倉庫のデザインといえばシンプルなものが多かったですが、最近では社員の士気を高めたり、取引先からの印象を良くしたりするため、デザインにこだわる企業が増えてきています。
システム建築を利用したいけれど、デザインにもこだわりたいという場合はどのくらい対応できるか建設会社に訪ねてみましょう。
細かい要望が通らないことも
使用する素材や建物の構造など、細かい要望が通らないことがあります。
例えば、部材は規格化されているので、建設費用を下げるためにもっと安い物を使いたいと思っても叶わない可能性があります。
また、部材の大きさが決まっているので、部屋の大きさに細かい調整がきかない場合があります。
細かい要望がある場合は在来工法の方が適しているかもしれません。
小さい建物の場合はメリットが少ない
先ほどいくつかシステム建築のメリットを挙げましたが、小さい建物の場合は当てはまらないことがあります。
例えば、短工期というメリットがありますが、プレハブ工法という建築方法では小さいものだと工場で組み立てまで行う場合もあり、20日ほどで完成します。
このように建物の大きさや条件によって最適な工法は異なるので、新しく建物を建設する際はどの工法が適しているかしっかり見極める必要があります。
屋上に物が置けないことも
工場の屋根は平らなことが多く、太陽光パネルを置いたり、緑化をしたりして活用するのに向いています。
しかし、システム建築では重量によっては物を屋上に置けない場合があり、屋上スペースを活用したいと思っても実現できない可能性があります。
太陽光パネルの設置など、屋上を活用することを考えているなら早い段階で建設会社に伝えましょう。
システム建築の価格
建物を建設するときに気になるのが価格ですよね。
システム建築によって建てられる建物の値段はエリア、使用する素材、規模など条件によって大きく変わります。
そのため、一概にいくらと言うのは難しいですが、目安として、坪単価は10〜25万円ほどになることが多いようです。
また、在来工法より20%ほど安くなるとも言われています。
ちなみに、一般的にプレハブ工法やテント倉庫の方がシステム建築よりも価格は安くなります。
システム建築の耐用年数
会社の建物は耐用年数も重視したいですよね。
鉄骨造の法定耐用年数は骨格材の厚さによって定められています。
具体的には骨格材の厚さが
「3mmを超え4mm以下」の場合・・・24年
「4mmを超える」場合・・・31年
このように定められています。
建物の耐久性はメンテナンスの有無によっても大きく左右されます。
丈夫で安心して使用できる建物にするためには定期的にメンテナンスをし、劣化している部分を直しましょう。
システム建築の工期
工期も価格と同じように建物の大きさや構造によって大きく異なるので、一概にどれくらいかかるかを言うのは難しいですが、4ヶ月ほどが1つの目安です。
ちなみにプレハブ工法の工期は40〜120日ほど、テント倉庫は2ヶ月ほどと言われており、システム建築よりも短い傾向にあります。
工期は操業スケジュールに大きく関わるものなので、どれくらいかかるか建設会社に確認しておくのが望ましいです。
まとめ
システム建築とは建設に使用する部材が標準化されていて、設計や施工などあらゆる工程がシステム化された工法です。
在来工法に比べて品質が安定している、工期が短い、費用が安いといったメリットがある一方、細かい要望が通りにくい、屋上に追加で物が置けない可能性があるといったデメリットがあります。
柱のない大空間を実現することが可能で、工場や倉庫の建設にとても向いていますが、他にもプレハブ工法やテント倉庫といった工法もあります。
様々な工法の中から理想の建物を建てるのに相応しいものを選びましょう。