東京オリンピックに向けて、建設業界が盛り上がったのが遠く感じます。
部品不足、人手不足など、非常に困難な状況の中でも予定していた建物を作り上げ、インフラ整備にも尽力したことは大きな功績です。
2022年、冬季オリンピックが開催され、上記のような状況を懐かしく思った方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、建設業界の現状と今後の課題について改めて考えていきます。
オリンピックバブルは終わり
オリンピックは、世界中の人たちが楽しみにしているイベントです。真剣勝負のアスリートを応援したり、勇気をもらえます。
しかし、東京オリンピックは新型コロナウイルスの流行により、一年延期となりました。実際に開催された2021年も、海外からのお客様を迎え入れることはできず、限られた人たちがスタンドで応援すという形での開催となりました。
こうした特殊な開催にはなりましたが、間に合わせるように建設ラッシュが続き、次々と建物が建設されました。
こうしたオリンピックバブルは、現在でもあるのでしょうか?開催後は、オリンピック事業としては建設はほとんどありません。
オリンピック後も建設業界を悩ます3つの問題
オリンピックによって建設業界は大いに盛り上がりましたが、その後の業界でも変わらない問題が3つあります。
現役職人の高齢化
日本の建築業界が最も成長したのは、高度経済成長期です。
道路、商業施設、公共事業など多くの建物等を建設していました。
当時は現場で働く人たちが多く、人手不足とは無縁な状況でした。
さらに、建設現場では作業をするために資格や経験が必要となる場面が多くあります。
逆にいえば、資格さえあれば建設業界で引く手数多でり、収入に不安もありませんでした。そうした高度経済成長期を経験した職人たちのほとんどが現役であるのが、日本における建設業界の現状です。
いくら職人といっても、高齢となれば高所での作業には不安があります。機械の作業についても操作ミスする可能性があります。
建設業界は人手不足であり、平均年齢が上がっています。施工期間を守るためには人員も必要ですし、効率よく働けるかも重視されるところです。
このままいけば、耐震工事、老朽化の修繕工事など、需要があるのに工事を請け負えない建設会社が増えていくことになります。
若者に人気がない
建設業界は3Kと呼ばれています。
「きつい・汚い・危険」と代名詞のように言われています。
近年、若者の間では体力仕事、外での仕事に対する興味が薄いことを感じます。インターネットの普及、それによってパソコン一つで完結してしまうビジネスに興味が集まっています。
こうしたビジネスになれている、可能性があると考える若者からみると、危険を伴って働くというのは選択肢にないようです。
また、日本では少子化が加速しています。新型コロナウイルスの流行によって、その傾向はより強くなっています。
そうなれば、若者の数が圧倒的に少ない上に、興味がないとすれば、建設業界に若者を来る可能性は、さらに下降していくことになります。
環境と待遇が悪い
建築現場での仕事は、先ほどの3Kから分かるようにキツイところです。
寒いだけでなく、ここ数年では暑さ対策、脱水症状にならないように対策されています。
気候による体への負担は大きいものです。
待遇という面では、施工期間に間に合わせるために残業、休日出勤が求められることがあります。ここでも天候に左右されています。雨が降り続けば現場での仕事は遅れてしまいます。スケジュールが遅れてしまえば、建材を運び込む予定にも影響が出てしまうので、スケジュールの見直しが必要になります。
国も改善を進めている
建設業界の盛り上がりは、国にも影響します。
このまま人手不足で建設ができないとなれば、国が進める事業やインフラが整備が進まなくなります。
そのため、建設業界での働き方改革を試験的に進めています。
土日休みの現場
施工期間を守るために休み返上が当たり前だった業界において、休みを徹底させるという状況にまだ慣れない人たちもいます。
しかし、当然の権利ですから、休みを取ることを大前提に施工管理することが必要です。
現在、一部の建設現場では「土日休み」と旗を立てて、試験的に実施されています。具体的な報告はありませんが、同じような建設現場増えていけば継続してほしいです。
キャリアアップシステム
高齢化が進んでいますが、資格と経験が正当な評価を受け、給料が支払われているのかも不透明な部分があります。
こうしたことが普通とされてしまうと、さらに働き手のいない建設会社ばかりが存在してしまいます。
建設現場で働くことで正当な評価で、給料が支払われるシステム作りを始めています。
キャリアで評価されるようになれば、経験が少なくても仕事の内容で選んでもらうことも可能になります。
こちらも実際に運営しているのは国になるので、安心して登録することができますし、信頼できる人がより分かるようになります。
日本の建設業界の展望
問題を抱えながらも、建設業界に明るい未来を期待するのは国だけではありません。私たちの生活にも影響が出ます。
これからの建設業がやるべき事業内容についてご紹介します。
インフラの整備
高度成長期に建設された建物、築20年以上は過ぎているであろう建物が、日本にはまだたくさん存在しています。
どんなに優れた建物や道路でも老朽化すれば危険な建物となります。道路も同様です。
こうした建物以外のインフラの整備も雇用が生まれ、大事な事業になっていきます。
タワマン、集合住宅の修繕工事
築年数が経つほどに、外壁、配管配線、柱などの経年劣化が考えられます。
最近では少しずつ修繕工事が進められていますが、まだまだ進んでいないのが現状です。
ビルなどの耐震工事
日本は地震の多い国です。
大きな地震を経験するたびに、耐震基準が見直されています。
オフィスビル、公共施設など建物を大きくなほど耐震を強化しなくては、突然発生する地震によって崩壊してしまう可能性があります。
高度成長期の建物が現役なのですから、対象となる建物の数は把握しきれません。
リニア新幹線の開通
リニア新幹線の開通が、すぐ近くまで来ていますがここにきて見通しが立っていないことが分かってきました。
トンネル工事での事故、静岡県と開通に向けての話し合いが進んでいないことなど、まだまだ前途多難なようです。
開通を急ぐ声、問題解決によって急速に進む可能性があります。
こちたに関する建設業界の対応も急に話が動き出すと考えた方がいいでしょう。
大阪万博に向けての建設ラッシュ
オリンピック後の国を挙げてのイベントは「大阪万博」です。
大阪の夢州地区が会場となり、世界各地からのパビリオン建設が進められます。また、会場までの交通アクセス落として鉄道工事が進められているので、それに伴い駅ビルや新しい駅の建設などの考えられます。
開幕は2025年です。
オリンピックのために建設が急がれたこと、部品が不足したことなど、経験が生きる場面もあるので、新型コロナウイルスで止まっている製造や物流が再稼働する状況を見守りながら、建設が進められるように計画していきたいところです。
まとめ
オリンピック後の建設業界についてご紹介しました。
人手不足など改善されない問題を抱えながらも、業界の需要の高さは変わりません。
新型コロナウイルス、世界情勢による影響は、まだしばらく続きそうですが、少しでも予定される建設が進むように需要と供給のバランスが取れるように、問題が改善されていくことを期待します。