技術の進化によって工場の作業過程の中にロボットが取り入れられるケースが増えています。
中には完全にロボットに作業を任せて100%自動化をしている工場もあります。
こうした傾向から自社でもロボットを取り入れようと考える方は多いと思います。
特に人手不足で悩んでいる工場ならロボットを導入して人の代わりに作業させることで悩みも解消されます。
しかし、自動化をするには大きなコストがかかったり、故障の心配があったりといくつか問題もあります。
ロボットを利用し、生産状況を改善するためには自動化の良い点も悪い点も知った上で導入することが欠かせません。
そこで今回は工場を自動化するメリット・デメリットとロボットを導入するときのポイントをご紹介していきます。
生産性に悩んでいる方や、ロボットの導入を考えているという方はぜひ参考にしてください。
人手不足が解消する。
工場を自動化するメリット6つ
生産ラインを自動化すると人手による作業では得られないメリットが生まれます。
そこでまずは工場を自動化するメリットについてまとめていきましょう。
人手不足が解消する
工場によくある悩みといえば人手不足ではないでしょうか。
工場での仕事にマイナスイメージを持つ人が多く、工場で働きたいという人が少ないことから、人手が足らずに苦労している工場は多いです。
もし生産ラインの自動化を進め、ロボットに代わりに作業をさせるようにすれば人手が必要なくなるため、人手不足の問題に対処できます。
社員にかかるコストが減る
自動化をすると雇う社員が減ります。
すると人材にかかるコストが減るというメリットが生じます。
まず、月々の給料や残業代を払う必要がなくなります。さらに新しい人材の採用にかかる費用や、入社後の教育のコストもかからなくなります。
生産性が向上する
ロボットを使えば生産性が向上するという嬉しいメリットもあります。
生産性は工場の経営者が重要視する点ですよね。
人間が作業する場合よりも効率的に動くロボットを導入した方が生産効率は良くなります。
また、人間とは違って24時間ずっと動けるため、1日に生産できる量は大きく違ってきます。
このように自動化は経営の改善にも役立ちます。
品質が安定する
人の手によって作業をするとどうしても製品の出来にムラができてしまいます。
時には不完全なままで市場に出てしまい、クレームに繋がることもあるでしょう。
一方でロボットが作業をすれば一定の品質で生産されるため、製品によって出来が違うということは起こりません。
手作業で高品質のものを作り上げるには熟練することが必要ですが、ロボットの場合は初めから精度の高い作業が出来るのもメリットですね。
危険な作業を任せられる
工場の作業では少しミスをすれば怪我に繋がったり、火傷の恐れがあったりと危険な作業をすることがあります。
こうした作業を人に任せると万が一のことが心配になりますよね。
こうした危険な作業もロボットに任せることができます。
これなら誰かが負傷する心配がありません。
また、夏の暑さや冬の寒さの中での仕事は熱中症になったり、風邪を引いたりするリスクがありますが、このような過酷な環境下での作業もロボットに任せることでそのリスクはなくなります。
ロボットにはどんな環境下でも危険なく働けるという強みがあります。
トラブルが減る
人を雇うと時にトラブルが生じることがあります。
例えば作業中に集中力が低下し、ミスをすることがあります。
するとロスになりますし、最悪の場合はそれが消費者の手元に届き、クレームが発生することもあり得ます。
また、労働時間や働く日数が労働基準法で定められているラインを超えるなど労務に関する問題が生じることも。
さらには人間関係によるトラブルが起こって退職者が出ることもあるでしょう。
これらのトラブルもロボットなら起こりません。
大きなコストがかかる。
工場を自動化するデメリット6つ
人手不足の解消になったり、生産性が上がったりと良いことだらけに見える工場の自動化ですが、実はデメリットもいくつかあります。
そこでデメリットについてもご紹介していきましょう。
導入にコストがかかる
自動化の大きなデメリットといえばコストの大きさでしょう。
導入する機械の種類にもよりますが、数十万、数百万円するのは普通で、工場全体を完全に自動化しようとすればもっと費用がかかるのは想像に難くありませんよね。
自動化によって人件費が浮くというメリットはあるものの、やはり初期費用が大きいため、導入するかどうか悩ましい部分もあると思います。
会社の経営状況や資金に応じて取り入れることがポイントになるでしょう。
故障するリスクがある
ロボットは人間によりも効率的に作業をしてくれるので、生産性が高くなります。
ただし、故障するリスクがあるのが難点です。
ほぼ完璧な作業をしてくれるロボットですが、やはり機械なので時に調子が悪くなることもあります。
機械が停止すると全ての作業がストップしてしまい、生産性は0になります。
素人だけでは直すのは難しく、下手に触ると事故に繋がる恐れもあることから、修理の担当者が来るまでは作業を再開することはできません。
このように故障をするとしばらく作業ができなくなってしまうことは把握しておくべきです。
維持費がかかる
ロボットをずっと使っていくためには定期的に点検をすることが欠かせません。
そのためメンテナンス費用が定期的にかかります。
また機械を動かすためには当然電気代がかかります。
もし24時間ずっと動かしていれば料金は高くなるでしょう。
自動化を検討する時には初期費用だけでなくこのような維持費についても考慮しましょう。
ロボットでもできない作業がある
完全に工場を自動化すれば人手が必要なくなり、とても楽ですが、中にはロボットでもできない作業があります。
特に人の手だからこそ出来るような繊細な作業はロボットは苦手です。
そのため、工場での作業内容によっては自動化したくてもできない場合があることを理解しておきましょう。
ロボットを管理できる人材が必要になる
ロボットを動かすためにはその機械に詳しい人が必要になります。
決められた作業をするためには動作をプログラミングしなければいけませんし、操作も専門的な知識が必要になります。
技術者は既に居る社員を教育して担当にすることもできますし、知識や技術を持った人を外部から雇うという方法もあります。
スペースをとる
種類にもよりますが、一般的にロボットは大きいことが多く、工場内のスペースを広く取ってしまいます。
そのため、入れたい機械が作業場に入らなかったり、入っても他の場所が狭くなったりする恐れがあります。
そこでロボットを決めるときには工場に合う大きさなのかを事前に忘れずに確認しましょう。
工場にロボットを導入するときのポイント5つ
工場の自動化はただ新しくロボットを入れれば良いというわけではなく、上手く活用できるよう、事前に計画を立てて、必要とされる準備をしておかなくてはいけません。
最後に工場を自動化するときのポイントをまとめました。
生産効率が高くなるロボットを用意する
自動化の目的の1つは生産性を高めることです。
この目的を達成するためには現時点での人による作業よりも効率的に生産することができるロボットを用意しなくてはいけません。
このポイントを確認せずに導入すれば、コストをかけたのに人手による作業とあまり生産性が変わらないという状況に陥ってしまいます。
最適なレイアウトを見つける
ロボットは大きくて重たいため、自由に動かすことができません。
そのため、もしも工場に導入した後でレイアウトを変更したいと思っても簡単にはできません。
そこでロボットを入れる前には作業動線や他のスペースの位置も考えた上でレイアウトを決め、導入後に変更の必要がないようにしましょう。
費用対効果を考える
自動化を進めるときには初期費用や維持費を把握するだけでなく、費用対効果について考えておきましょう。
特に投資した金額を回収するのにどれくらいかかるかという点に注目するべきです。
人による作業よりも生産性が高くても、その差がわずかしかなければ投資した額を回収するのに長い時間がかかってしまい、自動化してもそこまで大きな恩恵は得られません。
一方で初期費用をすぐにまかなえるほど効果があるのであれば自動化は成功と言えます。
細かい計算をしなければいけませんが、多額の費用をかけることだからこそ費用対効果は必ず事前に確認しましょう。
機械の異常がすぐに分かるようにする
先ほども説明しましたが、自動化で怖いのが機械の故障です。
壊れてしまうと大量のロスの発生の原因になりますし、作業が長い時間ストップしてしまいます。
そのため、異常があればすぐに把握することが重要になります。
そこで機械を導入する際には異常が発生するとすぐに担当者に通知されるようにしたり、離れている事務所からでも機械を停止できるようにしたりといったシステムを用意するのが理想です。
少しずつ自動化を進める
自動化の恩恵を得るため、できれば工場全体を自動化したいと考える方もいるでしょう。
しかし、いきなり全て自動化すると思わぬデメリットに気が付いたり、機械を管理する人材の確保が間に合わなかったりといった問題が生じる可能性があります。
こうしたトラブルを防ぐためには少しずつ自動化を進めていきましょう。
最初は作業の一部をロボットが手伝う程度から始め、次にある1つの作業を全てロボットに任せて・・・というように段階的に進めていくと問題が生じてもその都度解消できて、さらに少しずつ運用のノウハウを身につけることができます。
まとめ
工場のロボット化は工場のあらゆる問題を解決してくれます。
技術がどんどん進化していることもあり、自動化を進める工場はこれからも増えていくでしょう。
ただし、ロボットの導入にはコストがかかったり、故障するリスクがあったりといったデメリットもあるため、ロボット化の目的を果たせるように事前にしっかり計画を立ててから導入するようにしましょう。