工場事故として考えられる3つの人的原因についてと対処方法

車・家電・衣類など、私たちが日常生活で使っているほとんどの物が、工場で生産されています。
また、化学薬品・合成樹脂など直接的には関係のない物も同様です。

生活を豊かにしてくれる工場でも、扱っている材料や設備には、危険を伴うこともあります。
当たり前のように存在していますが、もしある日、工場で事故があったら・・・。
働く人、地域住民、たくさんの人が不安となり命の危険を感じることになります。

でも、残念ながら工場での事故はなくなりません。
繰り返し起こってしまう原因は、どんなことでしょうか?

今回は、事故原因について考えてみましょう。

3つの人的原因で、事故は起こる

「○○工場で事故!!!」と聞いて、「何が原因だろう?」と考えた時に思うことは、やはり「機械や設備に不具合があったのでは?」と思われがちです。

確かに、建設されてから何十年と経っている工場は多いのですが、簡単に老朽化が原因だとは言えません。
悲しい事実ですが、過去の事故などから多くのことを学んでいます。
国からの規制も厳しく、様々な法令が定められています。

  • 高圧ガス保安法
  • 消防法
  • 毒物及び劇物取締法

これは、ごく一部です。
厳しい法令をクリアするためには、老朽化した機械等を使い続けるわけにはいきません。

それなら、どこに本当の原因があるのでしょうか?
実は、原因として挙げられるのが「人的原因」であり、3つの理由があります。

現場に必要なノウハウが伝わっていない

工場では大勢の人たちが働いています。
長い年月をかけて築いてきたことへの功績は大きく、安定供給ができるのも受け継がれてきた技術があってのこと。

こうした技術面と同じように、現場で危険と感じることや事故に繋がる要因など、人から人へと受け継がれないと知らないままで、分からないままで安全に工場を稼働させることはできません。
でも、現場ではリスク管理に関するノウハウを持った人がいても、これを受け継ぐ側の人材が不足しているため、伝承がされていません。

世代的に言えば、リスク管理のノウハウがあるのは、高度成長期から支える50代以上です。受け継ぐのは中堅といわれる30〜40代です。こちらの受け継ぐ側の人材が不足しているのです。

今の現場では、機械やIT技術も進んでいるので手動で行う作業は少ないのですが、それらを管理するのは人です。
大事なノウハウが受け継がれていく仕組み作りも大切です。

現場でのコスト削減

どんな工場でも、利益を上げるために考えるのは「コスト削減」です。

  • 仕事量の見直し・・・機械の導入するなど、一人当たりの仕事量を減らしていく
  • 生産性の向上・・・作業や材料の置き場所など、無駄な部分を考える

これは、今も昔も変わらず、行われています。

コスト削減の中で、事故に関連するものといえば「人員削減」です。
例えば、操作の難しい機械のマニュアルを分かりやすく簡素化することで、誰でも操作が可能になり人員削減ができます。

正規雇用を減らし、アルバイトやパートでの雇用を増やすことができます。
または、外部の派遣社員とすることも可能です。
機械を操作するのはあくまでも人間ですが、ここで問題になることが2つあります。

  • 正規雇用のように長く勤務する保証がなく、責任能力が低い
  • 外部など社員との関係が薄く、意思疎通が十分できない

マニュアル通りに作業を進めるだけでは、いずれ事故が起こる確率は高くなります。
そのためには、日々の業務の中で起こる些細なことでも、上司に報告をして指示を仰ぐようにしたいですね。

利益のために事故発生率を高めるのか?
コスト削減を行う時は、十分に考える必要がありますね。

リスク管理が不十分

ニュースの速報で流れるような重大な事故は、やはり起きて欲しくないことです。
そのためには、事故を想定したリスク管理が必要になります。

まず、考えるべきなのは、機械等に設置してある「安全装置」が正常に作動しているかです。
工場内での人と機械の割合を考えると圧倒的に機械のほうが多いです。同じ作業を繰り返す中にも、トラブルはあります。この時に正しく作動することで事故を防ぐことができます。

事故を防ぐための心得として「機械安全・労働安全の確保」があります。
人は、操作や手順においてミスをすることが考えられます。そんな誤作動時に助けてくれるのが、機械です。逆に機械が壊れた時には人が修理をします。こうした2つのバランスが取れて、安全は保たれます。つまり、リスクを軽減するためにも安全装置の正常作動は不可欠です。あらゆる事故を想定して対応しておきたいことです。

リスク管理として「安全装置」や「安全の確保」については分かっているけど、対応不十分な場合があります。それは、会社の予算による問題です。

会社として、設備投資と安全対策の予算に優先順位をつけてはいけませんが、やはり優先されるのは、設備投資であり安全対策は限られた予算内で行うことになります。
事故や災害の怖さを目の当たりにしながら、十分な予算が用意できないのが現状です。

人的原因で起きた実際の事故

最近では、静岡県富士市にある化学工場にて爆発事故があり、作業員1人が死亡しています。この事故について原因は発表されていませんが、過去の事例から人的原因だと発表されている事故があります。

過去の工場事故事例

・2007年 三菱化学 鹿島事業所
爆発事故 作業員4人死亡
配管清掃・仕切板交換時に、分解炉の空気関連の弁の施錠を怠ったため

・2012年 日本触媒 姫路製造所
爆発事故 消防隊員1人死亡
異常時の知識不足・タンク内の温度監視装置が設置されていなかったため

・2016年 DOWA 埼玉工場
タンクの破裂事故 作業員2人死亡
タンク内の洗浄作業中に有毒ガスが発生したため

なんらかの理由で、誤作動や故障が発生したり、化学変化による危険が潜んでいます。
こうした原因は、安全対策を考え対応していたら防ぐことができた可能性もあります。

事故が起きたらどうする?

人的原因で事故が起こるように、事故発生時に対応するのも人間です。
では、実際に工場で事故が起きた時に最初にするべきことです。

  • 第一発見者が現場責任者に連絡をする(火災報知器などで工場内にも一斉に知らせる)
  • 消防及び警察や行政など関係各所に連絡する
  • 怪我人や人員数の確認をする
  • 機械の緊急停止後、状況・安全を確認しながら初期消火をする

いま、この項目を見たら当たり前のことに思えますが、現場にいたら冷静に対応する難しいはずです。
まずは、落ち着くことです。対応を間違えたら二次災害の可能性もあります。

また、過去の事故の中には、消防への連絡が事故発生から何時間も経過した事例もあります。
どんな時も、人命を優先に行動してほしいですね。

地域住民への対応

また、事故発生後に爆発・火災・有毒ガスなどが考えられる時には定められた法令通りに、地域住民に避難を要請する義務もあります。
これも大切な人命救助ですね。

まとめ

工場の事故発生後には、必ず調査員が入り原因を追求して報告されます。
原因は様々でしょうが、やはり人による怠慢な仕事や作業が見受けられます。「あの時にこうしていたら・・・」なんて後悔は誰もしたくはありません。

企業側としては、利益を考えると安全である状況が続けば、対応を甘く考えてしまうことも分かります。でも、やはり人間が行うことです。労働状況・環境・心身の状態などからミスは起こりえることです。

人間のすることに完璧はありませんが、安全に保ち続ける努力はできるはずです。
工場の建設やリフォームなど特別な時だけでなく、日常業務から意識して工場での事故を軽減できるようにしてほしいですね。

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