この記事では次の内容をまとめています。
- 工程管理の特徴
- 工程管理が重要な理由
- 工程管理を行うときのポイント
工場の生産性を上げたい、これから工程管理を取り入れようと思っているという企業が知っておくべきことを全てまとめました。
工場の生産効率をアップする工程管理とは
製造に関わる工程の進捗管理、計画、分析などを行うことです。
生産をするに当たって、人員配置、機械や作業方法の選択などを適切に行いながら手順を管理します。
また、進捗状況をリアルタイムで把握することで、スケジュールに遅れはないかを判断したり、問題が起きている工程にいち早く気づいたりすることができます。
似たような言葉に「生産管理」があります。
こちらは原料の調達から出荷までの全ての工程を管理するものです。
工程管理は製造の工程だけを扱うので、管理する範囲に違いがあります。
工場にとって工程管理が重要な理由8つ
この章では工程管理の重要性についてご紹介します。
1 | 生産性が上がる |
2 | 納期を守れる |
3 | 生産量が安定する |
4 | 製品の質が安定する |
5 | 工場が抱える課題が分かる |
6 | 無駄な在庫がなくなる |
7 | コストを削減できる |
8 | 情報が蓄積される |
生産性が上がる
工程管理を行うと生産性が上がるというメリットがあります。
なぜなら、製造の過程において無駄がなくなるからです。
例えば、各工程での進捗状況を随時確認できるので、予定よりも遅れている場合、すぐに対応し、原因を解消することができます。
生産効率が上がれば売上アップにも繋がります。
納期を守れる
工程管理を行うと納期を遵守することができます。
なぜなら、納期までのスケジュール管理を徹底して行うからです。
人員や製造ペースなどをもとに適切に計画を立てるため、納期に間に合わないということを防げます。
予定を守ることは取引先からの信頼を得ることに繋がります。
生産量が安定する
生産量を一定にすることができます。
これは納期までに終わるように生産の計画があらかじめ立てられているからです。
人員の配置や原料の調達が適切に行われます。
その結果、納期までに製造が終わらないかもしれないという不安に襲われることがなく、社員にとってもメリットがあります。
製品の質が安定する
工程管理が徹底されていると製品の質が一定になります。
なぜなら、最適なリソースが提供された状態で製造を行うからです。
例えば、人員が少なければ、いつもより少ない人数で業務に当たらなければならず、焦ってミスが起きやすくなることが考えられます。
しかし、あらかじめ計画して適切な人員配置が出来ていれば、焦らずに作業ができるようになります。
工場が抱える課題が分かる
現場の課題が浮き彫りになります。
工程管理では実績を記録するため、現場の状況を可視化することができるからです。
例えば、いつも時間がかかっている工程が一目で分かります。
その際は、原因を探ることで問題を突き止めることが出来ます。
これを繰り返すことで生産性はどんどん上がっていきます。
無駄な在庫がなくなる
工程管理は在庫にも影響を与えます。
原材料についても予測し、計画立てて調達するため、無駄な在庫が発生するのを防ぐことができます。
もちろん、製品を作り過ぎることもありません。
在庫が多過ぎると運転資金を圧迫し、会社の経営にも影響を与えてしまうので、意外と大きなメリットです。
コストを削減できる
様々なコストを削減できるという面もあります。
例えば、人員配置を計画的に行い、多く配置し過ぎることがなくなることで、無駄な人件費の発生を防ぐことができます。
また、製造の質が安定し、不良品の発生が減れば原材料を無駄なく使うことができます。
情報が蓄積される
工程管理で集めたデータは保存しておくことで製造に関する情報がどんどん蓄積されていきます。
すると、過去のデータとの比較ができるため、より効率的な製造を行うために必要なことが分かりやすくなります。
さらには、作業方法などをデータとして残しておくことで、属人化を防ぐこともできます。
工程管理の実施手順4つ
工程管理はPDCAサイクルで進めるのが一般的です。各過程で行うことを順番にご紹介していきます。
PLAN(計画)
まず行うのが生産の計画です。
細かい工程、人員、原材料、生産量、作業場所、使用する機械・設備など、製造に関わるあらゆる内容を確認し、納期までに間に合うように計画を立てます。
ここで無理のない適切な計画を立てておくことで、その後の製造がスムーズに進みます。
DO(実施)
計画に沿って実施します。各工程での進捗状況を記録していきます。
このとき、計画通りに進めることを目指しますが、どうしても予想外の事態が発生したり、遅れが発生したりすることはあります。
こうしたトラブルについても記録します。
CHECK(確認)
計画と進捗状況を比較し、評価します。
問題があった点についてはその原因を掘り下げ、解決策や改善策を考えます。
反対に上手くいった点や改善が必要ない点も明確にします。
また、完成した製品の質など、スケジュール以外の観点から評価が必要な項目についても振り返りをします。
評価した内容は現場の人間など、他の社員にも共有しましょう。
ACTION(改善)
CHECKのプロセスで決めた改善策を実施します。
この改善策は必ず結果が出るとは限らず、実施し、結果を確認して評価をする必要があります。
つまり、再度PDCAサイクルを回す必要があります。
このようにPDCAサイクルを何度も繰り返すことによって、製造過程の精度が高くなります。
工程管理の具体的な方法4つ
この章では工程管理を行う方法をご紹介します。
1 | 手書き |
2 | エクセル |
3 | クラウド |
4 | オンライン工程管理システム |
手書き
紙やホワイトボードを使うアナログな方法です。
社員が高齢で、あまりPC機器に慣れていない人が多い場合は導入しやすいでしょう。
ただし、記入漏れや記入ミスが発生する恐れがあります。
また、社員間での情報の共有がしにくいです。
紛失しやすい媒体なので、長期保存しにくいというリスクもあります。
エクセル
エクセルの表で管理するというやり方もあります。
デジタルの方法ですが、エクセルは比較的簡単な操作で記入できるため、アナログのやり方に慣れている人でも使いやすいです。
また、分かりやすい表をテンプレートを使って簡単に作れるのも強みです。
一方で、同時に複数の人が記入するのには向いていません。
社員間での共有にも課題があります。
クラウド
クラウド上でエクセルのような表を利用すれば、社内でリアルタイムで進捗状況を共有することができます。
また、クラウドの種類によっては費用をかけずに利用できます。
デジタルで工程管理を行うリスクは情報流出の可能性があることです。
取引先の情報や、社内で製造している製品の種類など、重要な情報が外部に漏れないよう、管理には十分に気をつける必要があります。
オンライン工程管理システム
工程管理のために作られたシステムなので、使いやすく、非常に便利です。
自動化されている部分も多く、他のやり方に比べて工程管理に時間をかけなくて良くなるのがメリットです。
一方で、使用料がかかるのはデメリットです。
また、最初に社員に使い方を教える必要があります。
工場が工程管理を行うときのポイント3つ
この章では工場が工程管理を行う際に注意すべきことをまとめました。
1 | 正確に工程を分ける |
2 | 社員間で共有する |
3 | 社内の誰でも分かるようにする |
正確に工程を分ける
工程管理を行う際は製造に関わる工程を正確に把握しましょう。
ここがきちんと把握できていなければ、せっかく計画を立てても、その通りに進めることが難しくなります。
些細な工程でも1つの工程として扱い、また、違う種類の過程が同時に行われる場合でも分けて計画を立てるようにしましょう。
社員間で共有する
工程管理は出来るだけ社員間で共有できるようにするのが望ましいです。
なぜなら、その方が無駄な時間が生じずに済むからです。
例えば、取引先から進捗状況の確認があったとき、データが共有されていれば、連絡を受けた人がその場で確認し、応答することができます。
また、担当者が不在でも現場の状況を確認することができます。
社内の誰でも分かるようにする
工程管理のデータは管理者だけでなく現場の社員でも理解できるようにしましょう。
いくら共有できるようになっていても、他の現場の人間から見て分からなければ意味がありません。
まとめ
工程管理とは製造に関する工程の進捗管理や計画を行うものです。
作業効率を上げたり、人件費を削減したりと、工場にとって様々なメリットがあります。
工程管理を続けることで作業の精度がどんどん上がっていくので、ぜひ取り入れてみましょう。
1 | 生産性が上がる |
2 | 納期を守れる |
3 | 生産量が安定する |
4 | 製品の質が安定する |
5 | 工場が抱える課題が分かる |
6 | 無駄な在庫がなくなる |
7 | コストを削減できる |
8 | 情報が蓄積される |