工場や倉庫が在庫を持つとき、多すぎず、少なすぎない適正な在庫量を保つ必要があります。
なぜなら在庫が多すぎると管理にお金も手間もかかり、一方で、少なすぎると在庫切れを起こしてしまう可能性があるからです。
丁度良い在庫量を保つことができれば会社の利益を最大化することができます。
適正な在庫管理を維持するためには在庫に関わるあらゆる面を見直すことが必要です。
そこで、今回は工場・倉庫が在庫管理を適正化するために知っておきたいポイントをまとめていきます。
在庫にかける資金が膨らんでいるのでなんとかしたい、会社の利益を最大化したいという方はぜひ参考にしてくださいね。
工場・倉庫の在庫管理を適正化しないと起こる問題5つ
自社の在庫管理について特に問題を感じていないので何も取り組んでいないという方もいるでしょう。
しかし、会社の経営を続けていくためには常に在庫の量を適正化するのが望ましいです。
そこで、まずは工場や倉庫の在庫管理をしないと発生するリスクについてご紹介します。
運転資金を確保できなくなる
在庫が増えすぎて、回転率が悪くなると運転資金が確保できなくなるという問題が起こります。
キャッシュフローが少ない期間が長くなれば倒産のリスクも出てきてしまいます。
在庫が多すぎることに気がついてもすぐに過剰分をさばくことは難しいので、日頃から適正な在庫量を意識しながら運営することが望ましいです。
必要な在庫が不足する
運転資金が確保できなくなるリスクがあるからといって、単に在庫の量を減らせば良いわけではありません。
例えば、生産途中でミスがあったときには新しい原材料を使わなくてはいけませんが、このときに在庫がなければ生産が止まってしまいます。
また、顧客に発送した商品が不良品だった場合に交換対応ができず、迷惑をかけてしまうという問題もあります。
そこで、多すぎず、少なすぎない在庫量が求められるのです。
管理コストがかかる
余分な在庫が多いと管理コストがかかってしまうというデメリットもあります。
例えば、在庫を保管するスペースを借りるための賃料がかかりますし、管理のために人件費がかかることもあるでしょう。
在庫管理の適正化は様々なコストを削減することに繋がります。
スペースが足りなくなる
原材料や製品を保管するためには場所が必要です。
在庫の量が多ければ多いほど必要なスペースは増え、場合によっては工場や倉庫内で管理しきれなくなる可能性もあります。
工場や倉庫を移転したり、倉庫を借りたりするには費用がかかるので、できるだけ今の建物の中で管理できるように調整しましょう。
在庫を廃棄しなければいけなくなる
食品工場など、業種によっては在庫に使用期限があり、一定の時間が経ったら廃棄しなければいけないところもあるでしょう。
捨ててしまえば少しも売上にならないため、かなりのロスが発生してしまいます。
また、使用期限がない製品でも、余分な在庫を処理するために値引きで販売すればこちらも利益が少なくなり、損失になってしまいます。
工場・倉庫の在庫管理を改善する「適正在庫」の考え方とは
適正在庫という言葉を聞いたことがありますか?これは上手く在庫管理を行うためにぜひ知っておくべき言葉です。
次に、適正在庫についてご紹介していきます。
在庫管理をするなら知っておくべき適正在庫とは
適正在庫とは欠品を起こさない最小限の在庫量のことです。
常に適正在庫を保つことができれば、会社の利益を最大化することができます。
工場・倉庫の適正在庫を知る方法
適正在庫の求め方はいくつかあります。
例えば、安全在庫とサイクル在庫を足す方法です。
安全在庫とは需要変動があっても欠品にならない在庫量のことです。
一方で、サイクル在庫とは発注から次の発注までに消費される在庫の半分の量です。
時期によって消費される在庫量が大きく変わることもあるため、在庫量は長い期間の平均値を出しましょう。
ぜひあなたの会社の適正在庫を計算して導き出し、現状と比べてみましょう。
工場・倉庫が適正な在庫管理をするためにすべきこと
適正在庫を維持するためにはあらゆる面から対策をする必要があります。
安定した経営ができるよう、これからご紹介する内容を覚えておいてくださいね。
全ての部署で適正在庫を共有する
理想の在庫量の認識は部署によって異なっていることがあります。
例えば、経営者はキャッシュフローを増やすため、できるだけ在庫量を減らしたいと考え、反対に現場側は余裕を持って生産するためにも在庫量を増やしたいと考えがちです。
このように適正在庫への認識が部署間でズレていると在庫管理の改善は進みません。
そこで、計算によって出た適正在庫の値を全ての部署で共有し、在庫について共通の認識を持つようにしましょう。
そうすれば適正な在庫管理をしやすくなりますよ。
在庫の消費予測をする
在庫の消費を予測し、それに応じて発注すると安定した在庫量を維持することに繋がります。
そこで、消費量の予測を立てましょう。
過去のデータを見たり、クライアントに聞いたりと色々な予測方法がありますよ。
棚卸しの頻度を増やす
在庫管理の改善に取り組むためには在庫状況をこまめに確認することが欠かせません。
そのためには、棚卸しを定期的に行うのが効果的です。
棚卸しをすればデータと実際の状況のズレを発見できたり、不良品を見つけられたりといったメリットも得られます。
リードタイムを短縮する
リードタイムとは作業を始めてから全ての工程が終わるまでの時間のことです。
これが長ければ長いほど顧客を待たせることになるため、在庫は多めに持っておかなくてはいけなくなります。
この機会にリードタイムを短くする方法がないか考え、過剰在庫が発生しないように対策をしましょう。
廃棄の基準を作る
動かない在庫をいつまでも持っていると保管にコストがかかってしまいます。
そこで、動かない在庫を定期的に処分するために在庫を廃棄する基準を求めましょう。
例えば、入荷から1年経ったものは処分するといった基準を作れば過剰在庫の発生を防ぐことができます。
整理と整頓を徹底する
在庫の管理がきちんとできておらず、所定の位置に原材料がなかったり、違う場所で保管されていたりすると、正確な在庫量を把握することができません。
すると、本来は必要ない在庫数を発注してしまい、在庫を余計に抱える原因になってしまいます。
このような事態を防ぐためには整理と整頓を徹底することが大切です。整理とは必要なものと必要でないものを分別し、必要ないものは処分することです。
一方で、整頓は物の置き場所や置き方を決めることです。
この2つに取り組めば倉庫の管理状況が改善します。
倉庫管理システムを導入する
倉庫管理システムとは入出庫管理や在庫管理をデジタル化し、倉庫内の物流を管理するシステムのことです。
このシステムの魅力はすぐにデータが反映されるため、リアルタイムの在庫状況を確認できることです。
また、バーコードで商品を管理することで、カウントやピッキングの際にミスが発生しづらいのも強みです。
システムの導入には費用がかかりますが、その分様々なメリットが得られるため、まだシステムを使っていないという方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。
適正在庫の基準を見直す
一度求めた適正在庫の値も時間が経過したり、市場の動向が変わったりすることによって適切なものでなくなることがあります。
そこで、適正在庫は定期的に見直すようにしましょう。
もし、在庫数や在庫回転率が以前に比べて改善されていない製品があれば、どのように数値を変えるべきか考えてみましょう。
まとめ
在庫は量が多すぎると運転資金の不足に繋がり、反対に少なすぎると機会損失を発生させてしまうため、ちょうど良い量を維持するのが望ましいです。
そのためには適正在庫を求め、それに応じて発注しましょう。
また、その時々の正確な在庫量を把握できるような環境を作っておくことも大切です。
今回ご紹介したように、適正な在庫管理を行うには色々な方法があるので、できるものから取り入れましょう。