この記事では次の内容をまとめています。
- 3PLと4PLの違い
- 4PLと5PLの違い
- 4PLと5PLを取り入れるメリット・デメリット
3PL、4PL、5PLについて気になっている方のために徹底解説していきます。
従来の3PLとは
3PLとは” Third Party Logistics”の略で、自社の物流の一部を外部委託することを指します。
具体的には、入出荷作業、倉庫管理、包装、配送といった作業をアウトソーシングします。
物流の大部分を占める庫内業務をアウトソーシングすると、浮いた時間や人材を企業の業績を上げるプロジェクトに集中させることができます。
また、倉庫が事業を拡大する際に、新しい倉庫を作るのではなく、外部委託をすればリスクを下げられます。
3PLを導入するメリット4つ
この章では3PLを導入するメリットをご紹介します。
物流のプロに任せることで効率が上がる
物流を外部委託すると自社で全て行うよりも業務の効率が上がります。
なぜなら、3PL事業者はいわば物流のプロだからです。現場では効率よく作業が進められます。
これにより、作業品質が上がったり、物流コストを削減できたりするメリットも生まれます。
人材を育成しなくていい
3PLには物流業務に携わる人材を育てなくていいというメリットがあります。
作業は他社で行われ、業務に携わる人が社内からいなくなるからです。
新しい人材を育成する際には教育に時間をかけなければならず、一時的に作業効率が下がってしまいますが、3PLを導入すればこうした心配も無くなります。
また、採用をする必要もなくなるため、その分、他の重要なプロジェクトに時間を割くことができます。
繁忙期に対応できる
倉庫にとって繁忙期はとても厄介なものです。
繁忙期にはたくさんの人材が必要ですが、繁忙期に備えて人を雇っていると、閑散期には人員が余り、人件費が無駄になります。
3PLを導入すれば、こうした人材の確保も全て3PL事業者が行うため、頭を悩ませる必要がなくなります。
顧客に早く商品が届く
3PLには顧客に商品が早く届くというメリットがあります。
近年では当日や翌日に配送する事業者は多く、荷物が到着するまでの速さがサービスの1つとなっています。
3PLでは物流のプロに委託するため、納品リードタイムを短縮できます。
3PLを導入するデメリッ3つ
この章では3PLを導入するデメリットをご紹介します。
社内にノウハウを持つ人間がいなくなる
人材を新しく育成する必要がなくなる反面、社内に物流業務に関するノウハウを持った人がいなくなるというデメリットがあります。
3PLを導入すれば自社に物流ノウハウを蓄積できなくなることを覚えておきましょう。
業務改善の提案がしにくい
物流業務をより良いものにしていくためには課題を発見し、それを解決していくことが欠かせません。しかし、外部委託していると、現場の状況が分からず、改善点が見つかりにくいです。
これは、社内に物流に関するノウハウを持っている人が少ない場合、特に難しいでしょう。
3PL事業者から課題が提案されれば良いのですが、業務が改善し、コストが削減されれば事業者の売上が減るので、改善案は出にくいと考えられます。
契約内容によってトラブルが起こることも
3PLでは契約の内容によってトラブルが起きる可能性があります。
特に、料金については何にどれくらいの料金がかかるかをはっきりさせておかなければ、依頼する側が不安に感じることもあるでしょう。
見積もりの段階で、納得のできる契約内容になりそうか確認しましょう。
3PLと4PLの違い
4PLは3PLに加えて、ロジスティクス戦略を荷主の立場になって提案、推進するコンサルティングも行います。
3PL事業者はただ業務を請け負うだけでしたが、4PL事業者は物流業務における効率化や利益の最大化を目指すことも求められます。
そのため、物流コストが削減されると利益も減ってしまう3PL事業者とは立場が大きく異なり、積極的に物流改善のための案を出してもらえます。
4PLを導入するメリット3つ
この章では倉庫が4PL事業者に依頼するメリットをご紹介します。
倉庫が抱える課題を発見できる
4PLを導入すると、自社が抱える物流の課題が明らかになります。
なぜなら、4PL事業者はクライアントの目線に立って、ロジスティクス戦略を企画するからです。
例えば、在庫量や配送などあらゆる物流プロセスについて、KPIを用いて現状を把握し、課題を見つけます。
すると、物流コストの削減や、作業の効率化を実現できます。
社内にノウハウを持った人材が必要なくなる
3PLでは事業者がコンサルティングを行わないため、自社に物流に関するノウハウを持った人材がいなければ、業務改善の提案をすることが難しいのが課題でした。
一方で、4PLでは事業者がコンサルティングを行うため、社内にノウハウを持った人間がいなくても、業務改善が期待できます。
庫内業務以外のムダもなくせる
4PL事業者によるコンサルティングは庫内物流だけに留まらず、物流全体にまで及びます。
例えば、社内の拠点や機能の整理についても提案されることが考えられます。
そのため、3PLよりもさらに必要な人材を減らしたり、人的リソースを他の重要なプロジェクトに集中させたりすることができます。
4PLを導入するデメリット3つ
この章では4PLを導入する際に注意すべきポイントをまとめました。
物流の全てを任せられるわけではない
コンサルティング業務も付随していると、物流に関する全ての業務を任せられそうと感じるかもしれません。
しかし、実際は社内での調整や他の会社との調整など、自社にしかできない業務もあります。
物流の大部分を委託しても、自社でしなくてはいけないこともあることを覚えておきましょう。
コンサルタント料がかかる
4PLは3PLにコンサルタント業務が加わるため、利用料金がさらに高くなってしまうデメリットがあります。
4PLを提供する企業はまだ少ない
3PL事業者に比べて、4PL事業者の数はかなり少ないです。そのため、選択肢が少なく、自社の条件に合う企業を探すのが難しいというデメリットがあります。
4PLと5PLの違い
5PLはAIや自動運転といった最新のテクノロジーを導入することで、物流の効率化の実現を目指すものです。
3PLにコンサルティング業務が加わった4PLとは違い、テクノロジーを用いながら実際に課題解決に踏み切ります。
5PLを導入するメリット3つ
この章では5PLのメリットをご紹介します。
倉庫業務を効率化できる
5PLを導入すると、物流業務を大幅に効率化することができます。
AIは人間が考えるよりも精度が高い答えを導き出すことが可能で、庫内のレイアウトや配車管理など、あらゆる場面で役に立つでしょう。
また、自動運転を導入すれば、一度にできる業務の量が大幅に増えます。
人件費を削減できる
AIや自動運転は人間に代わって働いてくれるものです。
そのため、必要な人員が減り、人件費を削減することに繋がります。
技術の進化が期待できる
AIなどのテクノロジーはまだ新しく、発展している途中です。
そのため、これから先も効率化をどんどん進められる可能性があります。
最新テクノロジーに対して苦手意識を持つ方もいるかもしれませんが、物流を改善する大きな助けになるので、ぜひ導入を前向きに検討しましょう。
5PLを導入するデメリット2つ
この章では5PLのデメリットをまとめました。
まだあまり事例がない
5PLは言葉としては存在していますが、事例はほとんどありません。
そのため、導入したいと思っても、まだ実現するのは難しい可能性が高いです。
テクノロジーの導入に費用がかかる
5PLではAIや自動運転といった最新のテクノロジーを現場に導入するため、購入や維持に費用がかかります。
ただし、先ほども説明したように、テクノロジーを導入すれば人件費が浮くので、決して惜しい出費にはならないでしょう。
導入することで元が取れるのかをあらかじめ確認するのがおすすめです。
まとめ
3PL、4PL、5PLとは次のようなものです。
3PL:物流業務の一部を外部委託する
4PL:3PLに加えてコンサルティング業務を行う
5PL:4PLに加えてAIなどの最新テクノロジーを用いて効率化を図る
どれも物流を改善したり、効率化を目指したりと、クライアントにとって様々なメリットをもたらします。
一方で、デメリットもあるので、導入する際はメリットとデメリットの両方をよく確認しましょう。