年末に近づくと忙しくなるのは仕事です。
休み前に終わらせたい仕事があったり、年内の納期を迫られる仕事もあったり、気持ちも焦ってしまいますね。
そんな時に注意したいのが、ミスや事故です。
いつも通りに業務をしているようでも、急かされたりする状況だと気づけないこともあります。
でも、建設現場においてはミス一つで大きな事故へと繋がってしまいます。建物の倒壊ばかりでなく、人命にも関わることです。
今回は、建設現場で起きやすい事故原因から、改めて事故防止対策について確認していきましょう。
建設現場における三大災害について
建設現場において、三大災害と言われるのがこちらです。
- 墜落・転落の災害
- 建設機械およびクレーン等の災害
- 倒壊・崩壊の災害
建設現場に関わる業種は28種類あります。
1つの現場に全ての業種が関わるとは限りませんが、工事のスケジュールに合わせて各々が作業をしています。工程や現場の状況、考えられる危険を常に把握しておく必要があります。
それでも残念ながら、建設現場での事故は毎年起きています。その中には死亡事故も含まれています。
まずは、三大災害についてご説明します。
墜落・転落の災害について
墜落とは「高いところから落ちること」をいい、転落は「転がり落ちること」をいいます。
建設現場においてこれらは、働く作業員だけを指すのではなく、材料や建設機械も含まれます。
墜落・転落が考えられる作業や状況はこのようなものがあります。
例えば、高層ビルや工場などの大規模建設では、鉄骨を高所まで上げてとび職人によって組み立てられます。材料や飛び職人の落下が考えられます。
また同様に、足場を組み、作業台なども途中に設置されています。他には脚立やはしご、屋根での作業もあります。
どれも墜落・転落が考えられるリスクのある作業です。
建設機械およびクレーン等の災害について
建設する建屋が大きくなれば、クレーンも入りますし、建設機械の数も増えます。
また、基礎部分でも鉄骨を打ち込んだり土壌を整える必要があるので、建設現場には常になにかしらの建設機械があると考えられます。
また、建設機械に関しては作業をする建設現場だけでなく、現場までの運搬についても経路や時間帯などにも配慮が必要となります。
考えられる災害は、建設機械の横転、機械故障によるトラブル、クレーン作業中の材料の落下などがあり、機械のトラブルと巻き込み事故が考えられます。
倒壊・崩壊の災害について
建設途中に倒壊してしまうのは、設計上の計算ミスや補強においての原因が考えられます。
どんな建物を建設するのかによって、骨組みや使用する材料が決まっていきます。ビルや工場のように大規模になる場合には、補強はもちろん基礎部分がきちんとされていないと、作業途中に倒壊してしまうことが考えられます。
また、それぞれの作業においてミスをしたり工程を間違えることで、予期せぬ崩壊が起きてしまうこともあります。
再確認したい5つの事故防止対策
どの災害も起きてしまえば一大事となります。
建設現場では、どの作業にも危険があることを忘れてはいけません。
三大災害について、ご理解いただいた上で事故防止対策を再確認していきましょう。
「そんなこと知っている」と自分だけは大丈夫と思われがちですが、こうした驕りも事故の原因となります。ベテランも経験浅い作業員もご覧ください。
現場監督以外に作業主任を選任する
現場監督により、建設する工程を決め機械の搬入などが決まります。
全体を把握してその都度、状況に合わせた対応が求められます。しかし、一つ一つの作業に立会い作業を見守るわけにはいきません。
そのため、作業主任を選任して作業を指示したり、安全に作業して終えられるように指揮をとります。
- 安全帽やヘルメットの着用の確認
- 安全帯の取り付け
- 作業台の安全性
主に作業が安全に行えるように監視することが役目です。
建設現場では、朝礼・昼礼・夕礼とあり、作業工程の確認と共に安全に関する確認がされます。一人一人に意識させることも必要です。
有資格者による作業の確認
建設現場の作業によっては、有資格者でないとできないことがあります。無資格の作業員が事故を起こしてしまっては、事故以上に関わっている全ての人のモラルが問われます。
資格以外には、決められた技能講習を受講して修了証を取得する必要がある作業もあります。
建設現場で求められる資格の一部はこちらです。
- 建築施工管理技士
- 一・二級建築士
- とび技能士
- クレーン運転士
- 防水施工技能士
- 電気工事士
- 型枠施工技士
技能講習の一部はこちらです。
- 玉掛け技能講習
- ガス溶接技能講習
- 車両系建設機械運転技能講習(3トン以上の車両が対象)
- 足場の組み立て等作業主任
- 高所作業者運転技能講習
- 不整地運搬車運転技能講習
また、他の作業以上に危険を伴う場合や、危険物を取り扱う作業の場合に必要には、「特別教育」として、決められた教育を受けなければいけません。
(例:石綿(アスベスト)の取り扱い業務)
作業に入る前に、依頼する業者に確認することが必要になります。
天候による作業中止の判断
建設現場では、一部の作業を除いて外での作業となります。
そのため、どうしても天候に左右されることがあります。現場監督もこれを踏まえて工程を余裕を持たせています。
しかし、作業日程が遅れていたり、雨の程度によっては作業を進めることが優先されることがあります。作業を続けるのか判断に迷うこともあるはずです。
- 台風による強風
- 長雨・大雨
- 地震
- 天災によるトラブル
日本ではここ数年、天災による被害が多発しています。作業に困難を伴うだけでなく、二次災害の危険性があるので、作業はできる限り早めに中断して、再開にも天気予報を確認した上で現場監督と相談しながら判断してください。
詳しい情報はこちらの記事をご覧ください。
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現場までの経路や環境を把握する
建設現場には、先ほど紹介した建設機械の運搬だけでなく、各作業で使用する機材や鉄骨などが運び込まれます。こんな所にも危険は潜んでいるので、建設前の調査では必ず確認が必要です。
- 道路の状態(幅、路肩や傾斜など)
- 運行経路
- 制限速度・高さ制限
まずは、道路や交通など法定に反することがないことが前提です。周辺が住宅地であれば騒音などにも注意が必要です。
搬入するものによっては、許可を得て深夜に搬入するケースもあります。建設機械等は橋など重量に耐えられるかによって、運行経路を変更することがあります。
建設現場で安全に作業するためには、こうした現場以外の場所でも事故やトラブルがないように注意しなくてはいけません。
作業員の体調管理
事故やトラブルが起きやすいのが、現場の状況だけでなく作業員の体調によるケースもあります。
- 寝不足
- 体調不良
- 過度の疲労
- ストレスによる心労
こういう状態で作業をした場合、ミスの多発、怪我など事故の引き金になります。
また、外ですから「熱中症」の危険は避けられませんし、「インフルエンザ」が流行してしまうと作業が遅れる原因ともなります。
作業員自身の自覚も必要ですが、日頃からお互いにコミュニケーションをとり、調子が悪い時には申告できる間柄になっておく必要もあります。
良好な健康状態とコミュニケーションが、安全で効率の良い建設現場となります。
安全対策を報告する
5つの事故防止対策に加え、起きてしまった事故に対して調査をして安全対策を考える必要があります。
どんなに小さな事故や災害であっても、隠していることでのちに大きな問題となることがあります。また、事故にはならなくとも「危なかったー」と思う場面もあります。こうした状況も報告をして安全対策することで、事故防止に繋がります。
建設現場は一つではありませんから、事故防止対策としてよかったことは同僚や上司に伝え取り入れることも大切です。事故のない建設現場を目指しましょう。
まとめ
再確認をテーマに事故防止対策を取り上げてみました。
建設現場の死亡事故者数は、290〜320人といわれています。負傷者を合わせると1,000人以上になります。
交通事故と同じで、目に見えた減少はありません。
1つでも安全に作業が行えるよう、判断に迷うときは作業主任や現場監督を頼りましょう。独断での作業は危険です。事故後に問題視されます。
事故がなかったと笑顔で終われる建設現場を一つでも増やしていきましょう。