乾燥しやすい冬、湿気が高くなる梅雨時など、気候によって、火災が起こりやすい時期があります。
こうした時期に、消防署による防災訓練や点検などが実施され、工場の状況を確認される企業も少なくありません。
一年に一回でも意識することは大切ですが、やはり日頃から火災が起きやすい時期や現象を把握して、一人ひとりが心がけることが最も重要と考えます。
では、「実際に、どういったことが原因で火災が起こるのか?」といえば、知らない人の方が多いいですし、思いがけないことで火災を起きるのだと、驚くことがあります。
今回は、工場の火災が起こる2つの原因についてご説明します。また、対策や現象についてもご紹介していきます。
工場の火災は想像以上の被害がある
私たちは、ニュースで工場の火災を目にすることがあります。
現場の状況を伝える映像を見ると、大きく燃え広がった炎の勢いに恐怖を感じてしまいます。
工場という環境下において火災は、火元で何が原因で発火したのか分かりづらいこともあり、消火活動や救助活動が思うように進められない場合もあります。
どんな火災でも怖いことには代わりはありませんが、特に工場での火災が怖い理由があります。
- 引火・発火が連鎖して起こる
- 過剰酸素による爆発
工場では、危険や薬物を取り扱うことがあります。薬物の中には、燃えやすい性質のものがあるため、火に引火することで炎の勢いを増してしまいます。また、火災時の環境が発火しやすい状況も作られるため、爆発してさらに火災の範囲を広げることがあります。
映画やドラマの火災現場で、ドアを開けた瞬間に消防隊員が吹き飛ばされるシーンを見たことはありませんか?
これは、密閉された空間で火災が起きた場合、ドアを開けることで酸素が一気に流れ込んでしまうため、燃焼を加速させ、爆発してしまうのです。
工場の火災では、どちらの状況も生まれやすいため、火災の原因となった場所や原因が小さなことであっても、大きな火災となり消火や救助に時間がかかってしまうのです。
工場で火災が起こる2つの原因
工場での作業では、火災防止のためのガイドラインがあります。
そのため、工場内で働く作業員は十分に注意を払い作業をしています。
しかし、それでも工場で火災が起きてしまうのには、2つの原因が考えられます。
電線の発熱による発火と対策
多くの機械を使用するため、工場には電線が張り巡らされています。
壁や天井に電線を通して見えない場合もありますが、こうした電線が火災の原因となる場合があります。
コンセントの差し込み
コンセントに差しこむプラグが緩く、しっかり差し込まれていない。電線の場合でも差し込みが不十分な時があります。
こうした状態で使用を続けると、過剰に電流が流れ電線が錆びたり、プラグ等に亀裂が入り、安全に使用できない状態となるのです。つまり、いつ発火してもおかしくないのです。
対策としては、プラグが緩んでいる時には、正しく差し込んでください。電線の錆びや、プラグの亀裂または、焦げたような状態を見つけた時には、一時的にブレーカーを落として、新しいものと交換してください。
ケーブルの状態
工場内には作業する場所以外に、事務所があります。こうした事務所内でOA機器のケーブルの状態や、エアコンのコンセントをどこに挿しているのかで、火災の原因になります。
OA機器のケーブルは、ケーブルが長い場合に束ねてしまうことがあります。長い間、ケーブルを束ねたままにしておくと、絶縁物が変形していきます。絶縁物で電気を通さないように加工してあっても、変形しまうと役に立ちません。
また、エアコンはコンセントが届かないことから延長コードを使用してしまうケースがあります。コンセントには予め使用できる電圧が決められています。しかし、延長コードを使用すると使用する側は便利でも、電気を過剰に使用してしまうため漏電(火災の原因)や停電の原因にもなります。
まずは、束ねているケーブルを解放してください。そして、エアコンなど多くの電流を使用するものは、延長コードを使用しないことを心がけてください。
電線の断線
電線は、ビニールなど電気を通さない絶縁物によって被覆されています。この状態で使用をしていれば通常は安全なのですが、中で電線が断線していることがあります。
完全に断線した場合には、電流が流れないので発火ではなくブレーカーが落ちます。断線して接続ができたり、できなかったりの状態が火花が散って発火して火災の原因になります。
漏電による火災
電気が漏れる状態とは、安全に電気が使用できない状態にあることをいいます。
漏電している状態で電気の使用を続けることは、火災の危険もありますが、人体にも影響があり、最悪な場合は命を落とす危険もあるので、どんな状態で起こるのかを知って欲しいです。
漏電する原因の一つに「トラッキング現象」があります。
こちらは、すぐに確認できることなので、工場だけでなく自宅でも実践してみてください。
トラッキング現象
コンセントの部分にホコリが溜まっている状態を、見たことがあるでしょうか?
自宅であれば、テレビや冷蔵庫の裏側です。工場でも死角となりホコリが溜まりやすい場所があります。
こうしたホコリが溜まっていることで漏電は起こります。
火災とホコリが結びつかない人もいるかと思います。日本では6月から8月にかけて、長雨により湿度が高くなります。
実は、ホコリは湿気を吸い込むことで電気を通しやすい物体となります。コンセントに溜まったホコリが発火する原因となるのです。
漏電する原因
トラッキング現象のように分かりやすい原因もあれば、分かりにくい原因もあります。
工場内で漏電が考えられる原因をご紹介します。
水に濡れている
湿気を含んだホコリが電気を通しやすい物体になるように、水に濡れた電線やコンセントも電気を通しやすい状態になります。
水に濡れることで、絶縁物の接続や付着部分が劣化して電気が流れたり、流れなかったりと不安定な状態を作ります。この状態が発火する原因を作ります。
機械が劣化している
機械を長く使用することで、経年劣化していきます。機械自体の状態も衰えてきますが、同様に電線の絶縁物も劣化していきます。
機械側の絶縁物も劣化していくので、漏電する原因となります。
ケーブルの破損
ケーブルも経年劣化をしますが、それ以外にも過剰な電圧に耐久できない場合にも劣化を早めてしまいます。
また、破損としては、ケーブルを束ねていたり、無理な角度でケーブルを使用していると変形したり、被覆が破れてしまうことがあります。
建屋の劣化
建屋の劣化で、漏電関係するのは、雨漏りです。
屋根や壁などにできた隙間から雨が降り込むことで、天井や壁を利用して隠されている電線が濡れてしまい、見えない場所で漏電が発生します。
また、劣化によってできた隙間から、小動物が入り込んで電線をかじってしまうケースも報告されています。
漏電が考えられる現象
「もしかしたら、漏電しているかも?」という現象があります。
漏電は突然起こるわけではありません。何らかの現象が必ずあります。
なんとなくおかしいなと思う時には、漏電を疑ってください。
ブレーカーが落ちる
ブレーカーは、漏電を知らせる働きがあります。
一般的に、建屋のどこかで漏電していることを探知したら、漏電ブレーカーが落ちます。
ブレーカーは、過剰に電圧を使用している場合に落ちるだけでなく、漏電している場所がある場合にも落ちます。
ブレーカーを確認して、「漏電ブレーカー」と呼ばれるスイッチが落ちている時には、漏電している場所を特定して、電気をしようしないようにしてください。
体が痺れる
漏電している場合は、電気が放出していることが考えられます。
本来なら絶縁物に被覆されたケーブルの中を流れていので、私たちも安心して使用することができます。
しかし、漏電している時は、ケーブルの破損、水やホコリによって電気が通りやすくなっているので、触れることで体に電気が通るため痺れを感じます。
雨降りの停電
建屋の劣化により雨漏りをしている場合、雨降りの日に停電が起こりやすくなります。漏電により電気の接触が不安定になっていることが考えられます。
ケーブルが焦げている
すでに何らかの理由でケーブルが変形して発火したことが考えられます。火災となっていてもおかしくはありません。
ブレーカーを落として使用をやめて、電気工事を依頼してください。
電気工事は素人ではできない
電気工事は、電球を変えることはできますが、電線などの修理屋交換は素人では行えません。法律で定められていますので、必ず専門の業者に依頼をして作業してもらいましょう。
特に工場では、素人が作業して火災の原因となれば、信頼問題にも関わります。
二次災害を防ぐ
工場の火災となれば、家屋の火災より規模は大きく被害も大きくなります。
また、爆発をしたり消火が進まない場合には近隣の建物にも燃え移ります。
自社の損害だけでなく、賠償問題にもなりかねません。
電線の発火や漏電などは決して特別なことではありませんので、ホコリや水など危険を感じる場所を改善していくことから対応していきましょう。