建物を上から守る屋根。工場でも屋根は大きな役割を果たしています。
例えば雨が建物内に侵入するのを防いだり、機械の音が外に漏れださないようにしています。
屋根材には色々な種類があり、それぞれ特徴が異なっています。
そのため、工場を新しく建てるときや古い屋根のメンテナンスをするときには、欲しい特徴を備えている種類を選ばなくてはいけません。
しかし、どのような屋根材の種類があり、さらにそれぞれどのような機能があるのかよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、工場によく使われる屋根材の中から折半屋根と波形スレートの2つを取り上げ、特徴やメリット・デメリットをご紹介していきます。
これから新しい工場の建設が控えている、屋根が古くなり、そろそろ張り替えないといけないという方はぜひ参考にしてくださいね。
工場・倉庫によく使われている屋根の種類2つ
工場や倉庫の屋根の種類は色々ありますが、その中でも多く使われているのが折半屋根と波形スレートと呼ばれるものです。
そこで、まずはこの2つの屋根材について簡単に特徴をご紹介していきます。
折半屋根
折半屋根は金属でできている屋根で、ジグザグに折り曲がっているのが特徴です。金属は折りたたむことによって強度が増すため、このような特徴的な見た目になっています。
材質によっては軽いものもあり、地震の際には揺れを軽減することができます。
かなり広い屋根に施工することも可能なので、工場や倉庫だけでなく、駐車場やドーム球場などの大きな施設にも使用されています。
波形スレート
セメントと繊維を混ぜた素材でできており、その名の通り、波を打つような見た目になっています。
波形スレートは1山の幅や高さによって、大波スレートと小波スレートに分かれ、大波スレートは屋根や外壁に、小波スレートは外壁用として使われます。
長く工場の屋根として使われてきましたが、昔に製造された波形スレートの屋根のほとんどにアスベストが含まれていることが大きな問題になったことから、古い波形スレートの屋根は解体されるケースが増えています。
折半屋根のメリット・デメリット
折半屋根と波形スレートはどちらも工場の屋根によく使われているものですが、それぞれ細かい特徴が異なります。
そこで次に、それぞれの屋根のメリットとデメリットをご紹介していきます。まずは折半屋根についてご説明します。
メリット
耐久性が高い
まず、折半屋根には耐久性が高いという特徴があります。
ジグザグに折りたたんだ形状になっているので、ただまっすぐな金属板に比べると強度が高くなっています。
ガルバリウム鋼板など材質によっては、軽いにも関わらず、しっかりとした強度があるものもあります。
建物を上から守り、さらに何十年も使うものだけに、耐久性が高いのは心強いですね。
耐火性に優れている
金属でできているため、火に強いというメリットもあります。火事など万一のときも延焼を防ぐことで被害を最小にできます。
色々なタイプがあるので適切なものを選べる
折半屋根の材質は鋼板、ガルバリウム鋼板、カラーステンレス、フッ素鋼板など色々な種類があります。
どれも基本的な形は同じですが、材質が変われば細かい特徴が違ってきます。そのため、それぞれの工場に適切な屋根を選べるのが魅力です。
デメリット
遮音性が低い
金属でできているため、耐久性や耐火性が高いというメリットがありますが、その一方で音が響きやすいというデメリットもあります。
金属製の階段を昇り降りするとき、大きな音が響きますよね?それと同じように、金属製の屋根は雨音が響いたり、物が飛んできて当たったときに音が鳴ったりしてしまいます。
そのため、作業中にうるさく感じたり、気が散ったりしてしまうことがあるでしょう。
錆びやすい
折半屋根には錆びやすいという欠点もあります。折半屋根はボルトで固定しますが、そのボルトが錆びると、その周りにもサビ広がり、やがてはヒビが入って屋根が劣化したり、雨漏りがしたりしてしまいます。
そのため、折半屋根をつけるなら雨漏り対策についても考えておく必要があります。
工場内が暑くなる
金属製の屋根は陽の光を浴びると熱くなります。すると工場内の温度が上がります。
冬は室内が暖まれば寒くなくなるので良いですが、反対に夏場は暑くて不快な環境になってしまいます。
暑い中作業をすると熱中症になる可能性があるので、冷房設備を導入したり、こまめに水分や休憩を取ったりして対策をすることが必要です。
波形スレートのメリット・デメリット
続いて、もう1つの種類である波形スレートのメリット・デメリットを解説していきます。
メリット
耐久性が高い
折半屋根と同様、耐久性が高いというメリットがあります。使用できる年数は25年以上と言われており、一度取り付けるだけで長い間建物を守ってくれます。
ただし、屋根を固定するボルトなどの部品は金属製で、サビなどの劣化が出るので、こちらは定期的にメンテナンスをする必要があります。
耐火性が高い
波形スレートは金属ではなくセメントと繊維を混ぜたものですが、法定不燃材料で、耐火性があることを認められています。
そのため、折半屋根と同様、耐火性を求める方におすすめです。
遮音性に優れている
金属製の屋根は音が響きやすいのが難点ですが、波形スレートは遮音性に優れているという特徴があります。
そのため、雨が降っても音が聞こえにくく、さらに工場内の音が外に漏れるのを防ぐこともできます。
工場はどうしても大きな音が鳴ってしまい、時には近隣トラブルに繋がることもありますが、遮音性が高い屋根を使っていれば安心です。
サビがつきにくい
波形スレートはサビにくい材質でできているため、屋根にヒビが入ったり、劣化したりすることがあまりありません。
ただし、先ほども触れたように固定するボルトは金属製で錆びやすいので、雨漏りの原因になる前に取り替えが必要です。
デメリット
古いものはアスベストが含まれている
25年以上も使用できて便利な波形スレート屋根ですが、過去に大きな問題が発生したことがありました。それはアスベストを含有していることです。実は2004年以降に製造された波形スレートのほとんどにアスベストが含まれています。
もちろん、現在製造されている波形スレートにアスベストは含まれていませんが、古い工場で、アスベストを含んだ波形スレートの屋根を使用している場合は、解体して新しい屋根をつけるのが望ましいです。
汚れがつきやすい
波形スレートは折半屋根のように錆びず、劣化しにくいという魅力がありますが、実は汚れやすいというデメリットがあります。
性質上、風で運ばれてきた砂や埃がくっつくとなかなか取れにくく、付着したままになるため、どんどん汚れが溜まっていきます。
汚れても耐久性は高いままですが、見た目の印象が悪くなってしまうため、定期的に掃除をして綺麗な状態をキープする必要があります。
工場に合った屋根を選ぶポイント
今回ご紹介した折半屋根や波形スレートをはじめとして、他にも色々な工場や倉庫に使われる屋根の種類があります。工場を建設したり、張り替えたりするときにはこの中から最も工場に合ったものを選ばなくてはいけません。
そのためにはまず、屋根にどのような機能を求めるかをリストアップしていきましょう。
例えば、耐久性が高いものが良い、製造時に大きな音が出るので遮音性が高い屋根が良いなど、工場によって求める条件は異なるはずです。
その上で、適切な屋根を探すことで最適なものを見つけることができます。
屋根は何十年も使用するものなので、このように慎重に選びましょう。
まとめ
工場や倉庫によく使われる屋根の中には折半屋根と波形スレートと呼ばれるものがあります。
折半屋根は金属製なので、耐久性や耐火性が高いという強みがあるものの、音が響きやすかったり、錆びで劣化しやすいという欠点があります。
一方で、波形スレートには遮音性に優れている、錆びにくいというメリットと汚れがついて見た目の印象が悪くなりやすいというデメリットがあります。
このようにそれぞれ特徴が異なるので、屋根を新しく導入するときには最適なものを選ぶようにしましょう。