既存の建物に、足場が組まれる現場を見かけます。
足場が組まれる理由はいくつかありますが、既存の建物の場合は多くが塗装の塗り直しです。
外壁は、建物を美観や印象を変えるためでなく、様々な役割を果たしています。特に既存の建物に対しての塗り直しなら、建物を守るために塗り直されるケースがほとんどです。
日本には、築年数が古い建物が多く存在しています。耐震や耐久については、古い基準をクリアしたのみのままであるケースもあります。
劣化によって起こる倒壊や事故への意識が薄いともいえます。
今回は、塗装の塗り直しから、建物が劣化することで必要となる理由をご紹介します。
外壁による建物の劣化について
建物は建築される際に、外側(表面)の部分に塗装がされています。建物のデザインや周りの景色とに馴染むのか?などを考慮され決めています。
塗装は、こうしたデザインや美観を意識して選ばれている印象ですが、実はそれだけではありません。塗料に含まれる成分によって、塗膜が生成され建物を守る役目を果たしているのです。
もし、塗装をしなければ、建物は日の光、雨によりあっという間に劣化が始まります。
塗料は、強すぎる太陽光、汚れの原因となる雨から建物を守り耐久性が上がるので、建物の耐久年数が上がるのです。
塗装の塗り替えが必要な理由
建設された時に塗られた塗料は、永久ではありません。塗料の性質や成分にもよりますが、建物を守る役目としては約10年だといわれています。
10年を過ぎてくると、建物自体も劣化してきます。全体的に劣化が進むというよりは、一つの劣化が次の劣化の原因となっていくイメージです。
まずは、外壁の劣化です。塗膜によって守られている外壁材ですが、年数が経つにつれ表面にひび割れが目立つようになります。このひび割れは見た目の老朽化を感じさせるだけでなく、建物に大きな被害の原因になります。
実は、ひび割れは表面が割れているだけなく、建物の内部へと続いています。これにより、雨が降れば雨水が建物の内部に入る原因になるのです。雨水が入れば、建物の骨ともいえる柱や梁を劣化させる原因となります。これは、木造だけでなく鉄骨造にとってもサビの原因となるので、劣化を進めてしまいます。
建物の骨となる柱の劣化が進むと、今度は建物の耐震にも影響が出てきます。日本の建物の耐震基準は、大規模な大地震を経験する度に見直され改正をしています。
しかし、これらの基準をクリアしていても(もしくは古い基準をクリアしていても)、建物の劣化が進んでしまえば基準をクリアした時と同じ状態であるとはいえません。つまり、次に起こる地震によって建物が地震に耐えられず倒壊してしまう危険性があります。
その他の理由
ひび割れによる外壁と建物の劣化以外にも、塗装を塗りなおす理由があります。
例えば、室内温度です。塗料にもよりますが、室内で快適に過ごせるように遮熱する効果があります。これも、塗料の効果は年数が経てば低くなります。
やはり、建物は美しくあってほしいという方が選ぶ塗料には、光触媒の塗料があります。これは、建物に汚れ、カビなどが付かない、発生しない効果が期待されています。こちらも年数が経ってしまえば、効果は低くなってしまいます。
塗り直しを検討する外壁の状態
建物の耐久性を落とさないためにも、外壁塗装の塗り替えが必要なことがわかりました。
では、実際に外壁がどんな状態になると塗り替えなのか、知っておく必要があります。
ここでは、塗り直しが検討するタイミングについてご紹介します。
色が褪せてくる
建設時の外壁の色が、年数が経つにつれて色褪せをしてきます。外壁が色褪せる原因は、太陽光です。太陽光が強く当たる西側の外壁は色褪せやすいです。側面によって色褪せ具合も違ってくるので、色褪せ具合を確認する時には、すべての側面を確認してください。
チョーキング
チョーキングとは、外壁に触れた時に手に白い粉が付く状態をいいます。これも劣化していることによる状態です。
原因は太陽光に熱と紫外線、そして風雨によるものです。特に、日当たりのいい側面では発生しやすいのも特徴です。
また、手に白い粉が付く状態以外にも、雨によって外壁が濡れた時には変色します。
塗膜が剥がれる・膨らむ
劣化をしてくると、塗膜の部分にも変化が出てきます。外壁から剥がれたり、膨らんでいる状態になります。この状態になると、塗膜の役割を果たしていませんから、建物への悪影響が考えられるようになります。
シーリングが割れる
これは、外壁の部分ではなく、外壁材と外壁材をつなぐ部分のことをシーリングといいます。こちらは年数が経ってくると、見た目にヒビが入るようになります。こうなった場合にも塗り替えが必要になってきます。
建物の劣化が進んでいく
これらの状態から、ひび割れの原因となるものがあり、十分な役割が果たせなくなります。
外壁から建物へと何らかの原因、そして状態を確認することで、現状が分かりますがこの時点で建物の劣化は始まっている可能でしが高くなります。
外壁の状態を正しく判断する
外壁塗装の塗り替えをしようと、思い立ってもすぐに作業ができるわけではありません。
業者に依頼する時点で下記のようなことを理解できないお客様もいらっしゃるので、ご注意ください。
現状を確認する
依頼者の「ここが気になる」、「ここにひび割れがある」という言葉だけを鵜呑みにしてはいけません。必ず外壁そして屋根の状態を見て確認をしてください。
修繕が必要になる
ここまでの説明にもありましたが、建物へ影響が出ているケースがあります。建物の内部の確認をしておきましょう。塗り替えのタイミングが、すでに遅れていて修繕が必要な場合があります。
修繕をせずに塗装の塗り替えを行なっても、建物の劣化に対する修繕ができていなければ、塗り替える意味がなくなってしまいます。
その場合には、すぐには塗装塗り替えができないこと、費用が別途発生すること、工期期間が延長されることも事前に説明をして、了承を得ておきましょう。
必ず業者に診断をしてもらう
必ずに業者による診断に基づいて見積もりを作成して、説明を加えて依頼者に塗り直し(修繕も含める)を希望するのか確認をしてください。
思いがけないようなトラブルに巻き込まれないようにしましょう。
悪徳業者に注意
残念ながら、外壁塗装の詐欺は多発しています。チョーキングの状態を見て、いきなり営業に来るケースも少なくありません。
依頼者とは十分な信頼関係を築くこと、そして悪徳業者の提示する金額と比較されて、質問されるケースもあるので、ご注意ください。
DIYでは無理
近年のDIYブームで「自分できること」と思われる方もいらっしゃいます。
確かに、塗装を塗り替えるだけなら自分でもできます。しかし、塗り替える前に汚れを落として、綺麗に塗り替えようと思えば下処理が重要になってきます。
家庭用レベルの機械では、外壁の汚れを落とすことはできません。
簡単にできると思われがちで、DIYでやろうと思われる方も増えています。
費用が発生すること、自分でやりたい(できる)など、知られていないことは、事前にきちんと説明をすること、そして準備しておくこと。これだけで依頼者との関係もぐっと近くなると思います。
まとめ
外壁塗装の塗り替えについてご紹介しました。
建物を守るという意味では、見えない部分の柱や梁、土台の鉄骨などと何ら役割に違いはありません。
すこしでも長くお付き合いできるように、重要性を説明して塗替えの依頼がいただけるといいですね。