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改ざんから学ぶ免震構造に必要な2つの装置

日本は、地震大国です。
こちらのブログでも地震に関する情報について、様々な視点から書いています。

6月には、震度6弱を記録した「大阪府北部地震」が発生しました。
そして、9月には地震観測で最も揺れが激しいとされる震度7を記録した「北海道胆振東部地震」が発生しており、私たちの記憶にも新しいところです。

これだけの地震が多発することで、いま日本に暮らす私たちも防災に備える動きが高まっています。
そして、現地にてボランティアとして活動される方や、支援物資を送る方など、助け合いながら復興を目指しています。

しかし、このような状況の中で飛び込んできたニュースは、あまりにも酷いものでした。
KYBによる、免震・制振装置の検査データの改ざんです。

もし、地震から建物を守るべきはずの装置が機能しなかったら・・・。
被害はさらに深刻です。
どうして改ざんが行われていたかは、これからの調査で明らかになっていきますが、組織ぐるみで改ざんが行われるのは、人間の心の仕組みにも問題があります。

今回は、この改ざんを通して免震の重要性をご紹介します。

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目次

改ざんに関する情報について

最初に、今回の改ざんに関するニュースについて、情報をまとめておきます。

改ざんに関するニュースが出たのは、2018年10月16日。
KYBと子会社による、建物用の免震・制振装置の検査データの改ざんが判明したと、発表されました。
この不正は、2000年から続くともいわれ、マンションや公共施設など986件の建物に使用されていると言われています。
これに伴い、国土交通省はKYBに対して、迅速な対応と装置の交換、再発防止対策の報告を指示しています。

今後は、建物名も公表していくとのことですが、改ざんによる代償ははかりしれません。

改ざんを続けてしまう仕組み「不正のトライアングル」

過去にも企業が行った改ざん行為は、いくつもあります。

  • 基準値に適合しない自社製品の製造
  • 利益があるように見せるための帳簿作成、粉飾決算
  • 長時間の労働時間を隠すための出勤記録

これら全ての行為は、企業のイメージを守るために行われていますが、誰が聞いても「悪いこと」だと分かります。
では、なぜ悪いことを続けてしまうのでしょうか?
これには、人間の心に関係する「不正のトライアングル」と呼ばれる仕組みがあります。

動機がある

最初のきっかけ・動機は、ほとんどの場合は個人にあります。
自分の失敗や悩みを解決させるために、不正を行います。これは、企業で働くいるので、さまざまなプレシャーもあり、失敗を隠してしまう傾向があることが伺えます。

ほんの些細なことが、どんどん上塗りされ隠しきれない状況に発展していくことが分かります。

不正の機会がある

内部不正が行われている企業では、不正を行うことが容易にできることがあります。

  • 各部署の権限を持つ者の、確認が簡素的である
  • PCへのアクセス履歴が残らない

職場の環境が不正しやすい状態であること、もしくはお金や機密情報を扱う立場に自分がいることで、不正をする機会ができます。

正当化する

自分の失敗など、身勝手な理由で始めたはずの不正行為を、いつの間にか「正しいこと」と言わんばかりに正当化しています。

もし、誰かが気づいても「一時的なこと、すぐに直すから」と正当化するばかりでなく、知ってしまった相手も巻き込んでいます。

最大の原因は、企業=集団であること

不正のトライアングルは、個人であれば罪の意識も高く、隠しているプレシャーもあります。
しかし、改ざんを企業が行っている場合、一人ひとりの罪の意識は低くなります。

人は、集団において行うことは、良いことも悪いことも「みんなと一緒だから」という安心感が生まれます。
企業の内部不正であれば、上司が守ってくれるという安心感もあるでしょう。そして、不正のトライアングルにある正当化、つまり「企業を守るため」という理由で行っていることも考えられます。

免震構造について

企業で行われる改ざんの仕組みは分かりました。
では、免震・制振装置が改ざんされていら、建物はどうなるのでしょうか?

免震という言葉はより耐震という言葉の方が馴染みがありますが、その構造は全く違います。
耐震の場合は、建物が地震に耐えられるように構造されています。震度6・7といった揺れの大きな地震にも倒壊しなかったという実績があります。
では、免震構造について説明します。

免震構造とは

地震が発生した場合に、建物が倒壊しないように揺れが直接伝わらないように構造されています。
通常、建物を建てる時には、地盤を固めその上に建物を建設しますが、免震構造の場合は、基礎の部分で地震の揺れが伝わらないように、そして揺れを吸収する仕組みを作ります。

免震構造で使用される装置

免震構造では、地震の揺れを伝えない働きをする免震装置と、建物の揺れを吸収する制振装置があります。その代表的なものをご紹介します。

アイソレーター

基礎部分で建物に揺れが伝わらないように支えています。

積層ゴム

ゴムの部分が水平にゆっくり揺れることで、建物への揺れが伝わらないようにして、鋼板で建物を安定させます。

すべり支承

柱の直下にあり、特別な鋼板の上で滑らせることで、建物への揺れを伝えない働きをします。

ダンパー

地震の直後は、室内で照明灯などが揺れているように、建物も揺れています。
アイソレーターだけでは、建物の揺れを止めることができないので、ダンパーを設置して揺れを止めます。
ダンパーは、主にオイルや金属で作られています。

免震・制振装置が改ざんされていたら

突然の揺れは、震度のレベルによらず怖いものです。
ましてや、免震構造の建物だから安心だと思っていた建物が、実は改ざんされており従来の働きをしないと思ったら、安心は恐怖へと変わります。

今回、改ざんがあったとされる装置は、「オイルダンパー」と呼ばれるものです。
先述のとおり、揺れを吸収して止める働きがあるものです。
さらに、ニュースでは「免震・制振オイルダンパー」と伝えられています。つまり、基礎の部分にある「免震層」と、建物にある制振装置のどちらにも使用されていることが分かります。

免震構造において地震の揺れは、そうではない建物と比べて5分の1〜3分の1にまで軽減することができると言われています。
その多くの建物が公共施設やビルなど大規模な建物に取り入れられており、免震構造で建設する建物は増えています。
例えば、「東北地方太平洋沖地震」においては、宮城県石巻市にある石巻赤十字病院が災害拠点となり、免震構造として病院の機能を維持したまま、多くの命を救いました。

地震における免震構造は、免震装置・制振装置が機能してできることです。今後の調査にもよりますが、改ざんされた装置の建物は、倒壊の確率が高くなります。

装置の交換完了予定は2年後

今後は装置が順次、交換されますが生産が追いつかないことなどを理由に、最長でも約2年はかかると発表されました。
東京オリンピックの関連施設にも使用されているというので、開催までに間にあわせることは必須です。

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まとめ

改ざんのニュースから、改ざんが行われる仕組みや免震構造に関する情報をまとめてみました。

住宅・ビルや工場など、どの建物を計画して建てる時にも製品に不適合な物があるとは、誰も思っていません。それだけにこうした改ざんのニュースには誰もが驚き、該当する場合には不安で仕方ありません。
個人の心配はもちろんですが、仕事にも大きく影響が出る人もいるはずです。その会社の商品を扱っているだけで、当社の不正までを疑われることもあるでしょう。

どんなに小さなことでも、不正を起こしてしまえば信用やこれまでの実績は全て失います。
自ら報告することは潔いとされますが、再発防止への取り組みをして改善していくことが何より大切です。
そして、より良いものを作って社会に貢献して欲しいですね。

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そのために、工場・倉庫に関する情報を発信し、少しでも知識を得てもらい、後悔がない工場・倉庫建築に役立てていただければ情報を発信しています。

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この記事を書いた人

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