日本には、建設から40年、50年近く経つ建物が多くあります。
元々、地震大国であることから耐震などを考慮して建設されているから、簡単に倒壊することはありません。
しかし、建物が古くなれば、借り手が見つからないから空室状況が続きます。リフォームして再利用することも可能ですが、解体して新しく建て直したいと考えるオーナーもいらっしゃるはずです。
ビルやマンションの多くが鉄骨造によって建設されています。
実際に、鉄骨造の建物を解体する場合には、どれくらいの費用が掛かり、注意するべきことがあるのでしょうか。
今回は、鉄骨造の建物の解体費用についてご紹介します。
鉄骨造とは
最初に、鉄骨造の建物について確認をしておきましょう。
鉄骨で建てられた建物は、「鉄骨造」といい、建物の骨組みとなる部分に鉄骨を使用している建物をいいます。
ビルやマンションでよく見られるますが、自由な設計ができることで個人宅でも人気があります。
鉄骨造のメリットはこちらです。
- 工期が短い
- 耐久性に優れている
- 燃えにくく強度がある
そんな鉄骨造には、2種類の鉄骨があります。建設する建物によって使い分けられるのが特徴です。
軽量鉄骨造
鋼材の厚みが6㎜以下ものをいいます。小さな建物とされる、住宅や小規模の店舗の建設に使用されます。
重量鉄骨造
鋼材の厚みが6㎜以上のものをいいます。こちらは、大規模な建物とされる高層マンションやビルの建設時に使用されます。
鉄骨解体の費用が高い
実は、鉄骨造の解体の費用が高いことはご存知でしょうか?
鉄骨造で使用される建材は、鋼材です。骨組みとなる部分、柱や梁に使用されています。
こうした鋼材を解体するためには、手作業だけではできません。重機など機械の力を借りなくては解体することもできません。作業が困難となれば費用はさらに高くなります。
費用が高い理由については、後ほどご紹介します。坪数別に料金があるので、こちら費用の目安としてください。
- 10坪以下・・・坪単価 約4.3万円
- 30坪・・・坪単価 約3.4万円
- 60坪・・・坪単価 約3万円
代表的な坪数の坪単価をご紹介しました。解体業者にもよりますが、ほとんどの業者で同等の金額が表示されます。
鉄骨造の倉庫やビルの解体費用
住宅などでも用いられる鉄骨造ですが、最も取り入れられるのは倉庫やビルとなります。
先述したように、鉄骨造には「軽量鉄骨造」または「重量鉄骨造」があります。同じ鉄骨造でも、いずれかで単価は変動します。また、解体する倉庫やビルが平屋なのか、2階以上の建物なのかでも費用は変わってくることは、覚えておきたいところです。
- 倉庫の解体・・・坪単価3〜5万円
- ビルの解体・・・坪単価2〜4万円
鉄骨の解体金額が高い3つの理由
鉄骨の解体が高くなってしまう理由は、3つあります。
相場に対して、解体費用が高くなってしまうのは、「解体作業がしやすいか」という解体する建物の周辺の状況が、費用に影響しています。
建っている現場の様子
解体する建物の大きさや、土地の広さではなく、その現場がどこにあるのかでも費用が変動します。
例えば、山の奥であれば、作業に向かうまでの道のりが長くなります。鉄骨の解体には重機を持ち込むことが必要ですから、レンタルであれば借りる時間が長くなり、さらには交通費もかかります。
また、斜面や崖など作業中に地盤が崩れてくることが想定する場合は、人命に関わる危険な作業現場となります。そのリスクがある分だけ、費用にも加算されるのです。
また、解体する建物の土地が狭い場合も費用が高くなる可能性があります。作業に必要な重機が、現場には入らないことがあります。
こうした場合、近くで土地を借りて一時的に重機を置くこともできますが、必ずしも土地があるわけではありませんし、借りることで余分な費用がかかります。
解体業者によっては、「手作業で解体する」ことを選びます。作業日数が長くなり人件費も増えます。
近隣との距離
解体する建物が、住宅地やビルが密集する地域にある場合は、作業を始める前に確認しておくことがあります。
近隣の建物を確認する理由は、作業することでのトラブルを回避するためです。解体作業は、安全面に考慮しながら速やかに行いますが、どうしても避けられないのが「騒音と振動」です。
騒音は人的、つまり体調を崩したり生活の妨げになることが予想されます。そのため、作業を開始する前に挨拶をして、了承を受けます。
振動は、建物が揺れたり傷つけてしまうことが予想されます。建物にヒビが入ったり、解体した建物の一部が何らかの原因で飛んでしまい、建物を破損することがあります。
こうしたトラブルは、誰もが避けたいことです。どうしたら避けられるのか?方法としては、入念に近隣の建物を調査しておくことです。
- 建物の年数
- 耐久性ついて
- 現在ある傷や破損部位
作業が始まる前に確認しておけば、あとから苦情があがっても正しい対応ができます。中には、トラブルとして業者からお金をもらうことを目的にする人もいます。
事前のチェックは、事細かく行うことがポイントです。
つまり、近隣と建物が近いことでも、作業をするリスクが高くなるので費用も高くなることが考えられます。
周辺の道路の様子
土地の様子にも該当しますが、解体する現場までの道路の様子でも費用が高くなることがあります。
道幅が狭い場合には、重機を運び入れることに注意が必要です。近隣の建物や壁に当たらないように、傷つけないようにしなくてはいけません。
また、歩道を塞いでしまう場合には、解体作業中に通れる歩道を用意する必要があります。
- 人通りが多い
- 学校が近い
- 住宅地にある
いずれにせよ、上記のような現場では安全対策として、ガードマンをお願いすることになります。
周辺の建物への配慮以上に、人的トラブルを回避することも必要です。
1番費用が高くなるアスベストについて
解体作業の費用を1番高くしてしまう原因は、やはり「アスベスト」が使用されている現場です。
断熱材として使用されていたアスベストには、肺がんや中皮腫など体に悪影響を及ぼすものとして、現行の法令によって使用することが禁止されています。
しかし、解体する建物の多くには、アスベストが使用されている場合があります。特に、1975年以前の鉄骨造の建物には、アスベストが使用されているケースも少なくありません。アスベストの怖いところは、飛散することで被害があるということです。作業するスタッフの体に影響があります。
もし、アスベストの使用が確認された場合には、通常の解体作業の他にアスベスト専門の業者による除去から処分までの作業が行われます。
アスベストの除去作業の費用が追加されることで、解体費用は通常の2倍にもなると言われています。
費用が高くなると、アスベストの作業を勝手に行うことは非常に危険です。必ず報告をして、正しい作業工程で行なってください。
業者の選びの3つのポイント
鉄骨造の解体費用を抑えるため、もしくは相場の値段であっても納得のいく金額で作業を行なってもらうためには、解体業者選びがポイントになります。
作業日数に無理がないこと
解体作業は、事前の調査から始まり、瓦礫など産業廃棄物として処理するまでとなります。
日数がそれなりにかかることを理解しておいてください。
「どこよりも早く解体作業をします」という業者は、少し疑いながら話を聞くようにしてください。作業が手抜きであったり、早く終わらせるために、作業が雑になり近隣の建物を傷つけてしまうことがあります。
本来の必要な費用以外でお金がかかることがあります。
丁寧な対応
これは、基本中の基本ともいえますが、依頼主や周辺の住民に対しても丁寧な対応ができる解体業者を選んでください。
お互いに感情があり、丁寧な対応をしてくれると嬉しいものです。作業も丁寧に行なってもらえることがイメージできます。
さらに、近隣への挨拶も丁寧に行なってくれたら、トラブルを減らすこともできます。
相見積もりをする
解体業者は、最初から1社にに絞らずに、面倒でも何社から話を聞いて見積もりを依頼してください。
業者同士を比較することで、分からないことも理解できたり、費用の内訳にも納得することができます。
しかし、業者によって、金額が異なるのは仕方ありません。相見積もりをして作業だけでなく、費用でも納得のできる業者を選びましょう。
まとめ
いかがでしたか?
鉄骨造の解体についてご紹介しました。
建物を建設する基準は、大規模な災害が発生することで、より厳しくなってきています。耐震など建設した当初はクリアしていても、現行の法令ではクリアできないことがあります。
地震で倒壊する前に解体をしたいところですが、費用が高いことで決断を遅らせることもあります。
自治体によっては、補助金を用意しているところがあります。こちらを活用することもオススメです。
様々な場面や事情から、解体の必要性も考慮していきましょう。