この記事では次の内容をまとめています。
・品質管理システム(QMS)とは
・品質管理システムの主な機能
・品質管理システムを使うメリット
品質管理システムを導入しようと考えている製造業が知っておくべきことを全てまとめました。
品質管理システム(QMS)とは
品質管理システムという言葉には2種類の意味があります。
まず1つは品質管理を行うツールを指す場合です。
これは品質管理業務を自動化するツールで、品質に関するデータを収集・分析します。
もう1つは高い品質を保つことを目標とし、改善を続けていくための仕組みやプロセスのことを指します。
前者はソフトウェアなどのツールで、後者はマネジメント手法です。
この記事では前者の品質管理システムについてご紹介します。
ちなみに品質管理システムはQMSと呼ばれることもあり、これは”Quality Management System”の略です。
製造業向けの品質管理システム(QMS)の主な機能
この章では製造業向けの品質管理システムに搭載されている主な機能をご紹介します。
①データ収集 |
②品質の自動判定 |
③異常の検出 |
④レポートの自動作成 |
データ収集
品質管理システムは製品の品質検査の結果を自動で収集します。
そのため、リアルタイムで検査結果を見ることができます。離れたところからでも確認できます。
収集したデータは保存・管理が可能で、後から分析することもできます。
品質の自動判定
収集した品質検査の結果が定められた基準に合っているかどうかを判断します。
機械によって自動で判定されるため、人の手によって行われる場合に比べてスピードが速いです。
異常の検出
品質検査の結果から異常が確認された場合、リアルタイムですぐに通知します。
そのため、異常がそのままになる心配がありません。
また、異常に対してすぐに対応することが可能で、不良品の発生数を最低限に留めることができます。
レポートの自動作成
QMSはただ品質の合否を見るだけでなく、データをもとに集計・分析を行い、さらには検査成績表や検査報告書といったレポートも自動で作成します。
製造業が品質管理システム(QMS)を使うメリット6つ
この章では製造業が品質管理システム(QMS)を使うメリットをご紹介します。
①品質が上がる |
②品質のバラツキが減る |
③データの改竄を防げる |
④消費者からの信頼が上がる |
⑤品質管理にかかる時間を削減できる |
⑥異常に早く気づける |
品質が上がる
まず、なんといっても製品の品質が上がることです。
品質管理システムではシステムで自動的に品質をチェックするため、規定の品質に満たないものを見逃すことがほとんどありません。
品質が高い状態を維持できれば企業のブランディングになります。
品質のバラツキが減る
製品の品質にバラツキが出なくなるというメリットもあります。
機械は一定の基準に沿って正確に合否を判定するためです。
一方で、人の手によって検査を行う場合、基準はあっても人によって判断が違ったり、見逃したりしてしまうため、品質にバラツキが出てしまいます。
データの改竄を防げる
品質管理システムを使用すると、検査結果のデータが自動的に収集されるため、データの改竄を防ぐことができます。
すると、データを改竄することによる法的なリスクを回避できますし、企業の信頼性も向上します。
ちなみに、データを改竄すると、異常や不良品があっても気づけないというリスクがあります。
消費者からの信頼が上がる
高い品質の製品を安定して提供し続けると消費者からの信頼がアップします。
その信頼は企業の強みの1つとなり、市場競争力を高めます。
一方で、品質管理が不十分で、低品質の製品が度々出回ると、企業への信頼性は低くなり、消費者から選ばれなくなってしまいます。
品質管理にかかる時間を削減できる
品質管理システムには品質管理にかかる時間を大幅に減らせるという魅力もあります。
例えば、検査結果のデータは自動で記録されますし、合否判定も機械によって行われます。
また、データの分析やレポートの作成も自動で行われます。
このように今まで人の手によって行われていたことが自動化することで時間を削減できます。
異常に早く気づける
先ほども触れましたが、品質管理システムでは異常があるとすぐに通知します。
そのため、異常に早く気づくことができます。
異常に対してすぐに対処することで不良品の数を最低限に済ますことができ、リコールやクレームの発生を防ぐことができます。
また、廃棄コストや、追加の生産コストを減らせるのもメリットです。
製造業が品質管理システム(QMS)を使うデメリット4つ
この章では製造業が品質管理システムを使うデメリットをご紹介します。
①導入コストがかかる |
②慣れるまでに時間がかかる |
③高齢の従業員には扱いが難しい |
④維持コストがかかる |
導入コストがかかる
品質管理システムを導入するにはコストがかかります。
システムは導入すれば終わりという訳ではなく、企業の体制に合わせて設定する必要があり、こちらにも費用がかかります。
QMSの費用は明記されていないことが多いため、まずは問い合わせをし、見積もりをとりましょう。
また、その見積もりをもとに
- コストパフォーマンスは良いか?
- 費用を回収できるか?
といったことを確認しましょう。
慣れるまでに時間がかかる
新しいシステムを導入する際、慣れるまでに時間がかかるというデメリットがあります。
特に導入初期の段階では、システムの使い方を覚える必要があるため、業務がスムーズに進まず、作業効率が一時的に低下することが避けられません。
しかも、使い方を教育するには時間だけでなくコストもかかります。
高齢の従業員には扱いが難しい
製造業では従業員の年齢層が高いことが多いです。
この場合、品質管理システムを導入しても、人によっては最先端のシステムに抵抗を示したり、扱いきれなかったりするリスクがあります。
維持コストがかかる
品質管理システムは初期コストだけでなく、維持コストもかかります。
- システムの更新
- カスタマーサポート
- メンテナンス
- セキュリティ管理
こうしたところに費用がかかっているためです。
そのため、品質管理システムを選定する際は導入コストだけでなく維持コストについても考える必要があります。
製造業が品質管理システム(QMS)を選ぶときのポイント5選
この章では製造業が品質管理システムを選ぶときに見るべきポイントをご紹介します。
①自社の扱う製品に合うか |
②導入企業の実績や感想 |
③既存のシステムとの相性 |
④従業員にとっての使いやすさ |
⑤サポートが充実しているか |
自社の扱う製品に合うか
まず、自社の製品の特徴や、品質評価基準に合うかどうかを確かめましょう。
システムによって細かい評価方法や得意な分野は異なります。
そのため、相性が悪いツールを選んでしまうと、せっかくコストをかけて導入したにも関わらず、あまり役に立たなかったり、正常に合否を判定できなかったりする恐れがあります。
導入企業の実績や感想
自社に合うQMSツールかどうかを見極めるには導入企業を調べるのがおすすめです。
自社と似たような製品を扱い、効果が出ている企業があれば、あなたの会社で導入しても効果的な可能性が高いです。
また、実際にシステムを導入している企業の声を知ると、リアルな評価が分かり、選定の際に役立つでしょう。
既存のシステムとの相性
既存のシステムとの連携が必要な場合、スムーズに連携できるかどうかを確認しましょう。
連携が難しい場合、導入時に調整に時間がかかり、費用が嵩む恐れがあります。
また、連携ができない場合、業務を行う中で種類の異なるシステムをそれぞれ操作しなければならず、連携している場合に比べて手間がかかります。
従業員にとっての使いやすさ
使いやすいシステムかどうかも重要なポイントです。
ここで大事なのは操作にあたる従業員にとって使いやすいかどうかという点です。
人によってどんなものが使いやすいかは異なります。
例えば、若い従業員なら最新の品質管理システムにもすぐに慣れるかもしれません。
一方で、高齢な場合はなかなか使いこなせないことも考えられます。
サポートが充実しているか
サポート内容もよく確認しておきましょう。
何かトラブルがあったときにすぐ対応してもらえると安心ですし、維持コストが多少高くても納得できます。
一方で、価格が安くてもサポートが手薄だと、システムにトラブルがあった場合になかなか復旧せず、通常業務に支障が出てしまいます。
まとめ
品質管理システムは品質管理を自動化し、品質アップや品質の安定化を実現するシステムです。
品質管理システムにはあらゆる種類があります。
効果を最大化するには自社に合うものを選びましょう。