コロナ禍に建設業界では新規の建設事業が中止延期となっていますが、需要が伸びているのが「既存の建物を利用するケース」です。
鉄骨造の建物はリノベーションするのに適した良い条件が揃っているので、利用されるケースも多くあります。
今回は、工場をリノベーションするメリットや注意点についてご紹介します。
リノベーションとは
リノベーションは英語で「革新、修復」という意味があります。
既存の建物を利用する時、問題となるのは「現代の住環境と合わない」ことです。世帯数、ライフスタイル、建築基準法など建築当時と変わっていることがあります。そうした空間や性能を見直し、今より良くする、価値を上げることをリノベーションといいます。
ここで間違えやすいのは「リフォーム」です。こちらは、すでに使えない、使用すれば危険が伴う状態から、使える状態に戻すことをいいます。
鉄骨造とは
柱や梁に鉄骨が使用された建物を鉄骨造といいます。最近では、大きな空間が取れデザインの自由度が広がることで、住宅でもの鉄鋼像が選ばれること増えています。元々は、ビルや工場、倉庫といった大きな建物、高層となる建物を建設する時に使用されることがほとんどでした。
増えているリノベーション
現在、建設業界は新型コロナウイルスの影響によって、新規の建設案件が中止になったり延期になることが続いています。非常に厳しい状況が続いているのが本音ですが、リノベーション案件については、増えています。元々ある建物を活かすことでコスト削減や性能を活かすことができるとされ、建設会社や建築事務所への問い合わせが増えています。
工場や倉庫の再利用
特に多い案件としては、工場や倉庫の再利用です。リノベーション後の活用としては住宅、カフェ、雑貨屋などに再利用するケースが多くあります。
工場や倉庫が選ばれるメリットは後ほどご紹介しますが、大きな空間、利便性が良いと評判になっています。
工場・倉庫をリノベーションするメリット
では実際にどんなメリットがあるとして、リノベーションをするのかをご紹介します。
費用が削減できる
すでに建設されている建物なので、基礎や柱や梁を築く必要がありません。その分の費用は削減できるので、費用を抑えることができますし、他の部分にお金を回すことができます。
有効活用できる
工場や倉庫は大きな空間が確保されているので、そのスペースを活用することができます。住宅にすることを希望される方には、広い空間を活かしてリビングにしたり、カフェにする方はテーブル数を増やしたり、今だと十分な間隔を空けることができます。
また、天井が高いことも魅力の一つです。天井が高いことで圧迫感がなく開放的な空間にすることができます。
デザインの自由度が上がる
鉄骨造の良さは、柱を立てる間隔を広く取れるので、デザインの自由度が上がります。大きなテレビを置いたり、プロジェクター用のスクリーンを取り付けたりすることができます。これは自宅でもカフェでも喜ばれる要素であり、それに合わせたデザインにすることができるのです。
性能・品質の良さ
鉄骨造の良さとして、耐震性、耐久性に優れています。日常では問題ないかもしれませんが、いざという時に倒壊することなく、命が守れるのも良い建物の証拠です。
また、鉄骨造に使用される鉄骨は、鉄骨製作工場にて一つずつ丁寧に製作されます。ただ製作されるだけでなく、使用されるまでに厳しい検査をクリアしていきます。日本の厳しい建築基準法をクリアことは容易なことではありません。厳しい検査をクリアして使用される鉄骨の品質の良さはお墨付きです。
地域活性化
カフェや雑貨屋などショッピングや多目的に空間としてサービスが提供できたら、地域活性化となる場所になります。
新型コロナウイルスの流行によって、人を呼び込むこと、集まる場所については制限がされますが、きちんと感染予防対策をしていれば利用されるお客様も安心されますし、何よりお客様の協力が得られるようになります。
工場・倉庫のリノベーションで確認すること
多くのメリットがある工場や倉庫のリノベーションですが、いくつか確認が必要となることがあります。
用途変更の申請が必要
場所や市町村によって、用途変更の申請が必要となります。この場合、どのような書類や添付資料が必要になるかは、各自治体に確認が必要となります。購入する前に確認をしてください。
また、自身でやりきれなければ建設会社や建築事務所に相談をしてアドバイスをもらいながら書類を作成してください。
経年劣化
既存の建物の良さ、古さがモダンでおしゃれだということで、工場や倉庫のリノベーションを考える人もいますが建築された年数を確認して、基礎や壁の中や柱と梁の状態を確認してください。
建築年数のポイントとなるのは、1981年以前、以降に建設されたかです。大きな災害や地震があるたびに日本の建築基準法は改正を繰り返しています。この1981年の改正も1978年に起きた宮城県沖の地震を教訓にしたものです。
この年の改正は「旧基準・新基準の切り替わり」と言われています。つまり1981年以前に建築された工場や倉庫である場合は、新基準をクリアしているのか確認しなくてはいけません。クリアしていない場合には、その分の費用が必要となりコストが増えます。
そして、鉄骨の弱点は「サビ」です。建築年数が古いほど、耐震性や耐久性の強度が落ちてしまいます。その理由が鉄骨のサビです。
建物の見えない部分のため、きちんと確認ができるように業者に確認すること、実際に自分の目で確かめるなどを必ず行ってください。
性能の確認をする
鉄骨造は非常に強い建物だといわれますが、性能については確認して欲しいです。
・耐震性
・耐火性
・防音性
まずはこれらの性能について確認してください。そして一番確認して欲しいのは「耐熱性」です。鉄骨造の建物は意外と寒いのです。そのため、リノベーションの際には断熱材の使用、修復が必須となります。空調の利用となれば、元々が工場や倉庫ですから業務用が必要となります。高額なものですから、断熱材でできる限りの対策をしておきましょう。
インフラの確認
工場や倉庫から、住宅やカフェへと用途が変わるので、インフラの使い方も大きく違ってきます。そのため、電気の配線状況、コンセントの位置、水道の配管と位置は思うようなところにないことがあります。
まずは、状況を把握して、実際のデザインと照らし合わせながら確認をしてください。増設や位置を変更することが容易にできるケースなら問題ありませんが、大きな工事が必要となればコストが増えます。
さらに、鉄骨造のリノベーションで確認したいこと
先にも説明をしましたが、鉄骨造についてさらに踏み入れて確認して欲しいことをご紹介します。
鉄骨造の寿命について
建物は、その用途や構造によって寿命が違います。また、鉄骨造の場合は海の近くの場合、錆びやすい状況になるので、こうした環境によっても寿命が違います。
建物の寿命のことを「耐用年数」といいます。鉄骨、鉄筋コンクリート造の場合には約38年となります。購入する鉄骨造の耐用年数と環境などをきちんと確認してください。
錆止めと結露対策
鉄骨造は経年劣化により、ザビが進みますし、防水性が劣化すれば結露が起こりやすくなります。実際に状況を見たところで変わりませんが、第三者の意見を聞いたり、担当の業者にアドバイスをもらうことができるので、長く使うことを考えたらここは手を抜けないところです。
費用を確認する
コストを削減できるはずが、逆に費用が増えてしまったというケースもあります。建物に惚れ込んでしまい「どうしても使いたい」という場合以外には、購入を検討することをお勧めします。本末転倒になってしまっては、これからの事業に影響してしまいます。
まとめ
工場や倉庫のリノベーションについてメリットや確認するポイントについてご紹介しました。
費用が抑えられるはずが、実際より費用がかかるケースは少なくありません。既存する建物を利用するのは非常に良いケースですが、妥協できる範囲で考えていきましょう。