「もっと工場の作業スペースを増やしたい」
「会社の規模が大きくなったので工場が狭くなってきた」
こうした状況になったとき、工場の増築を考えるでしょう。
増築は既にある建物の面積を増やすという特殊な工事になるので、メリットもデメリットも色々あります。
増築してより使いやすい工場にするためにはこうした増築に関する知識を知っておくことが大切です。
また、場合によっては増築ではなく新築にした方が良いというケースもあるので、増築にこだわらずに「理想の工場にするにはどうしたら良いか?」という広い視野を持っておくことも重要です。
そこで今回は工場を増築するメリットとデメリット、増築するときの注意点、新築の方が望ましい場合についてまとめました。
工場の増築を検討している、もっと使いやすい工場にしたいとお考えの方はぜひ参考にしてくださいね。
操業を止めなくて良い。工場を増築するメリット4つ
工場を増築すると様々なメリットが生まれ、より良い工場になります。
そこでまずは工場を増築するメリットを4つご紹介しましょう。
操業を止めなくて良い
工場を増築するメリットの1つは操業を止めなくても良いという点です。
増築は工場に新しい部分を付け足すので増築工事をしている間も今までの作業をそのまま続けることが出来ます。
丸々建て替える場合は操業を停止しなければならず、経営が厳しくなってしまうこともあるので、普段通りに工場を動かせるのは大きなメリットですよね。
ただし、建て替えでも生産性は少し下がっても完全に作業を停止する必要がないケースもあります。
面積が広くなる
増築工事をすれば当然工場の面積が増えます。
工場が広くなると作業スペースを増やしてより生産性を上げたり、快適に過ごせたりといったメリットがあります。
会社の規模が大きくなって今の工場のままでは作業がしにくいという場合や、もっと作業スペースを増やしたいという場合には増築を行うことで望み通りの工場にすることができます。
コストを抑えられる
増築にはコストを抑えられるというメリットもあります。
工場を一部分だけ付け足す場合と工場を丸々新しく建て替える場合とではどちらの方がコストが多くかかるかは一目瞭然ですよね。
工事は大きなお金が動くものですが、増築という方法を使うことであまり会社の経営に大きな負担をかけずに工場の造りを変えることが出来ます。
作業効率アップに繋がる
工場の面積が増えるとそれまでの作業動線を変えることが出来ます。
増築をきっかけに動線を見直すことでより作業効率が上がるような動線を作れるかもしれません。
また今まで窮屈だった工場が広々とした空間になることによって社員の作業モチベーションが上がり、仕事に打ち込むようになる効果も見込めます。
このように工場を増築することは作業効率アップになり、工場の売上を上げることに繋がります。
耐久性が下がることも。工場を増築するデメリット4つ
工場の増築にはメリットがある一方で悪い点もいくつかあります。
増築を成功させるためにはこうしたデメリットも知っておくことが欠かせません。そこで工場を増築するデメリットを4つご紹介しましょう。
制約が多い
増築は既にある建物に新しく足すという形で工事を行うので面積や構造上の問題など様々な制約があります。
そのためこんな工場にしたいという理想像があってもその通りにはならない可能性があります。
建設会社も出来るだけ要望に沿うように尽力してくれるとは思いますが、自分が理想とする工場にしたいなら新築にする方が望ましいです。
建設会社に増築の相談をする際には理想のプランを話した上でその通りに進めることが可能かどうか聞いてみましょう。
工事による騒音がある
増築工事は工場のすぐそばで行うので工場での作業中に騒音が聞こえます。
防音シートを貼ったりしてもどうしても音は聞こえるので、工事期間中は社員のモチベーションが落ちてしまうかもしれません。
ただし増築が終われば新しくて綺麗なスペースが出来て、広々とした空間になり、社員も快適に過ごせるようになりますから、社員に騒音についてしっかり説明し、理解を求めましょう。
接合部の耐久性が低い
増築後の工場は1つの建物の中に古い部分と新しい部分が両方ある状態です。
もし大きな地震が起こればそれぞれで揺れ方が異なるため、接合部にひびが入ったり雨漏りが発生したりする恐れがあります。
地震だけでなく台風でも同様のことが起こる可能性があります。
このように接合部の耐久性が低いというデメリットがあります。
もちろん、建設会社はこうした面を考慮した上で工事を行いますが、地震や台風などで建物に負荷がかかった場合でも耐えれるようにして欲しいと最初の相談の段階でしっかり伝えておきましょう。
見た目のバランスが悪くなる
増築して出来た部分のデザインは出来るだけ元からある工場に合わせますが、同じような色やデザインにしても塗装してから何年も経つものと新しく塗装したものでは当然見た目の差が生まれます。
また、場合によっては元の工場で使っていたデザインや材質を取り寄せられないということもあり、見た目のバランスが悪くなるというデメリットが生じます。
どうしてもデザインを統一したいのであれば新築にした方が良いでしょう。
建築基準法の制限を受ける。工場を増築するときに注意すべき点2つ
工場の増築をするときにはいくつか気をつけなくてはいけないこともあります。
ここを把握しておかなければ思わぬトラブルが発生することも。
そこで工場の増築を考えているなら知っておきたい増築するときに注意すべき点を2つご紹介します。
建築基準法の制限を受ける
工場を新築するときだけでなく、増築するときにも法律の問題がついて回ります。
例えば敷地面積に対する建築物の建築面積の割合を示す建ぺい率や敷地面積に対する建築物の延べ面積の割合を示す容積率が定められた割合を超えないように増築しなくてはいけません。
こうした計算は建設会社が行うので工場の経営者の方が気にしすぎる必要はありませんが、こうした点から増築を思うように出来ないこともあり得ることを知っておきましょう。
コストがかさむ場合もある
基本的には新築よりも増築の方がコストを抑えられます。
しかし、デザインの統一感を出すために建物全体の外壁を変えたり、塗装をしたり、接合部分の耐久性を十分にするために元の建物部分の補強も同時に行ったりと工事の規模が大きくなればコストがかさむ場合もあります。
このような場合は増築ではなく丸ごと建て替えた方が良いこともあるので、見積もりを見てコストが思ったよりもかかると思ったら建て替えることも検討してみましょう。
元の工場が古い。増築よりも新築の方が望ましいケース4つ
工場の増築は操業を止めずに工事が出来たり、作業効率アップに繋がったりと色々なメリットがありますが、場合によっては増築するよりも新築の方が良いケースもあります。
そこで最後に増築よりも新築の方が望ましいケースを4つご紹介しましょう。
工場の老朽化が進んでいる
元の工場が建設してからしばらく経って老朽化が進んでいる場合は増築ではなく新築の方が望ましいでしょう。
老朽化が進む建物に増築をすると接合部の耐久性がより弱くなってしまいます。
また、建設から長年経った建物は見た目が古びていたり、清潔感がなかったりと良くない面がありますが、新築にすれば綺麗な見た目で清潔感があって快適に作業が出来る工場になります。
コストはかかりますが、古い工場なら新築も視野に入れましょう。
見積もりが想像より高くなったとき
先ほど説明したように、増築でもデザインを統一するために外壁を塗り直したり、耐久性を高めたりするとコストが高くなることがあります。
もしも見積もりが思ったよりも高くなったときは建て替えることも検討してみましょう。
増築よりコストはかかってもただ増築するだけより全て建て替えた方が得られるメリットも多くなります。
作業動線を変えたいとき
今までの作業動線を大幅に変えたいときは新築の方が合っています。増築でも作業動線を変えることは可能ですが、どうしても制限が出てしまいます。
一方で新しく工場を建てるときには作業効率が高くなる動線になるように設計するので、売上を伸ばせる工場に生まれ変わることが出来ます。
デザインを一新したい
工場を運営する上でデザインは意外と重要です。最近の工場はまるでお店や家のようなデザイン性の高いものも多くなっています。
デザイン性があると社員は自分の職場に誇りを持てますし、取引先の方が来たときにも良い印象を持ってもらえます。
従来のグレーでシンプルなデザインを止めてモダンでおしゃれな工場にしたいなら新築がおすすめですよ。
まとめ
工場を増築すると作業を止める必要がなかったり、コストが抑えられたりといったメリットがあります。
その一方で工事中の騒音が気になったり、接合部の耐久性が弱いといったデメリットもあります。増築を考えている工場の経営者の方はこうしたメリットとデメリットの両方を知っておきましょう。
また、場合によっては新築の方が望ましいこともあるので、新築と増築のどちらにすれば良いか、まずは建築会社と相談してみましょう。