倉庫と聞くと、在庫を大事に保管しておく場所ですが、ほとんどの商品や資材は次の目的へと移送されて行きます。
つまり、倉庫は物流センターの役目を担うケースが多いということです。
物流センターとなれる倉庫は、どこにでも建設すればいいかといえば、そうではありません。繋ぐ役目があるのですから、建設地にもこだわらないと不便すぎて流れを止めてしまうことも考えられます。
そこで今回は、物流センターとして活動する倉庫を「どこに建設したらいいのか?」という疑問に答えていきます。ポイントとしては5つですが、その他に考えておきたいことについてもご紹介していきます。
立地を決めるために知っておきたい2種類の倉庫
倉庫を建設する立地探しは大変です。多額の初期投資に多くの人が関わるので失敗は許されません。だから、失敗しないためにも知っておくべきことがあります。
それが、倉庫の種類です。ここでは、2種類の倉庫をご紹介します。
同じ倉庫でも、用途や考え方によって立地条件が異なるので、ここで基準を知っておきましょう。
生産立地型倉庫
ここでいう生産とは、仕入れ先のことを指します。例えば、取り扱う商品が鮮度を大事にするものの場合、輸送に時間をかけることで鮮度は落ちていきます。魚や朝摘み野菜などはこちらに該当します。
つまり、生産立地型倉庫は、魚や野菜の生産地(仕入れ先)に近くに建てられる倉庫をいいます。
仕入れ先からより良いものを効率よく集めることができます。また、近さを強みとして出荷にかかる負担を減らせるので、仕入れに関わるコストを下げることができます。
消費立地型倉庫
消費地に近くにある倉庫を消費立地型倉庫といいます。生産立地型倉庫とは逆で、販売先が近くにあることはもちろんですが、支店やフランチャイズ店が多い場合に便利な倉庫になります。
スーパーやコンビニは、同じ地域でも複数店舗があることで、一拠点でエリアを担当するのがほとんどです。ですから、地域ごとに倉庫を設けて納品までの時間を短縮できることが魅力です。
最近では天候、人材不足によって物流にかかる日数が変わります。本来届けられる商品が届けられないということもあります。だから、消費立地型倉庫にしておくことで、届かない商品のリカバリーをすることもできます。
また最近では、大手ECサイト、通販事業で活躍する企業では、こうした外部の業者に任せるのではなく、自社の消費立地型倉庫を建設するようになりました。こうすることで、独自ルートによって商品をいち早くお届けすることができます。お届けの早さは高評価につながることから、自社倉庫を建設しています。
立地を決める5つのポイント
扱う商品によって、倉庫の立地が違うことがわかりました。では、それぞれの場所から、さらに具体的に考えていく時に、ポイントとなることをご紹介します。
交通規制の有無
立地に面した道路、また周辺の道路において不便となる交通規制がないかを確認してください。最も不便なのは、一方通行です。倉庫まだが近いのに遠いというように、大回りをしたり、間違えて逆走してしまうトラックも出てきます。
こうした不便なことがないように、交通規制について確認してください。
道路の道幅
倉庫への搬入、搬出にはトラックが行います。普通自動車だと気にならない道路の幅も、トラックだと通りにくい、すれ違えないなど不都合な時があります。
理想的な道路の幅幅は、トラック同士がすれ違えることです。主要道路から離れてからの道が細くなるケースは当たり前ですが、少しでもトラック運転手のストレス軽減を考えてみましょう。
駐車場の広さ
こちらもトラックをメインとした考え方が必要です。普通自動車ならバックも方向転換もできる場所でも、トラックだと難しいことがあります。広いだけでなく、こうしたトラックの運転のしやすさも考慮していきましょう。
また、物流センターとして倉庫を活用する場合、トラックは複数台が同時に搬入してくることが考えられます。その際、すべてのトラックの搬入を始めることができないこともあります。
この場合、用意しておくべきなのは、待機する駐車場です。いきなり倉庫の方にトラックが入るのではなく、順番を待ちをしてもらう間の駐車場です。周辺道路に路上駐車をされると、近隣への迷惑となり苦情となります。
こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、待機駐車場を確保しておきましょう。大きな土地をもう一つ確保するのは大変かと思いますが、程よい距離感がある場所がオススメです。近すぎても道幅が狭いとトラックも小回りがききませんので、倉庫内への入場のしやすさも考えておくとトラック運転手の利用率が上がるので、路上駐車を減らすきっかけになります。
アクセスの良さ
物流センンターは次に繋ぐための場所、つまりハブです。そうなると気にするべきなのは、移動のしやすさです。
・高速インターより近い
・港に近い
・空港の近くにある
こうした次に繋ぐために必要なハブ的な役目ができるのかもポイントです。アクセスさの良さは、無駄のない移動を可能とするので商品の鮮度を守ることができたり、傷をつけることがありません。
通勤のしやすさ
倉庫で働く従業員の通勤についても考えておきましょう。これは地域性や立地の条件によるので、基準が違ってきます。
例えば、都心に近い倉庫であれば、車での移動は不便ですから倉庫であっても公共交通機関に近いことが通勤のしやすさになります。
しかし、都心から離れた地方都市になると、車での移動が当たり前となります。高速のインターチェンジ近くに建設を考える時、最寄りの駅からでも20分ぐらいはかかってしまいます。つまり従業員用の駐車場を確保する必要があります。
倉庫で働く従業員を確保するためには、地域性の違いを理解しておく必要があります。その地域にあった働き方を提案することも、立地を選ぶポイントとしてください。
立地の良さはコストでわかる
倉庫の違い、立地の良さを考えるポイントを理解したところで、次に考えることは「良い立地に倉庫を建設すrことができたか?」という疑問です。
リサーチをしながら選んだ場所が、本来希望していたような倉庫として稼働しているのかは気になるところです。
では、どうしたらそれを見極められるのかといえば、それは倉庫にかかるコストに現れます。
都心、地方都市など倉庫が建設される場所によって、土地の値段や費用は大きな違いがあります。しかし、これは最初からわかっていることであり、この違いだけで決めるのは正解ではありません。
実際に考えるのは、こんなところです。
・仕入れ先、販売先、どちらかの近くにして出荷などで費用が抑えられるようになった
・調達や納品にかかる費用が下がり、時間にも余裕が生まれた
・安定した仕入れと販売数を確保できるようになった
このように、以前より内容が良くなり費用が抑えられているかで、立地の良いところに倉庫が建設できたかがわかります。
コスト削減は程々に
一つだけ注意をするなら、コスト削減をしすぎないことです。費用が抑えられても作業に不便が生じたり、働きづらい職場だと思われると、従業員が辞めてしまうのでかえって効率が悪くなり余計な費用がかかるようになります。
まとめ
立地の良い倉庫を建設するために必要なポイントをご紹介しました。
今後の物流業界は人材の確保が急務となります。物が流れないのは、倉庫を必要とするビジネスにおいてはとても困った事態を招きます。
そのためにも働きやすさは外せないことです。そして、周辺住民に対しても配慮が必要です。
事業のため、コストも削減したいという考えも大事ですが、人との付き合いが最も大事なことを忘れないようにしてください。