この記事では次の内容をまとめています。
- 粉塵対策の3つの原則
- 粉塵対策のやり方
- 粉塵対策をすべき理由
粉塵対策をしようと考えている企業が知っておくべきことを全てまとめました。
工場・倉庫の粉塵対策の3つの原則
工場や倉庫が粉塵対策をするには基本となる3つの原則があります。それがこちらです。
1 粉塵を発生させない
2 粉塵を拡散させない
3 粉塵を吸い込まない
そもそも粉塵を発生させなければ、健康被害などの問題が発生することはありません。
しかし、業種によってはどうしても多少の粉塵が出てしまう場合もあるでしょう。
その場合は建物内に拡散させずに処理することができれば問題ありません。
さらに粉塵が発生しても吸い込まないような対策ができていると安心です。
工場・倉庫がすべき粉塵対策のやり方13選
この章では工場や倉庫がすべき粉塵対策の方法をご紹介します。
原材料を見直す
まず、使用する原材料を見直すという方法があります。
なぜなら、原材料の種類によっては粉塵が発生しにくいものがあるからです。
発生する粉塵の量が変わるだけで対策がしやすくなりますし、適切に処理もしやすくなります。
また、掃除が楽になるというメリットもあります。
今使っている原材料を粉塵が発生しにくいものに変えられないかどうか調べてみましょう。
粉塵が発生しにくい加工方法を選択する
加工方法も重要です。作業の方法によって粉塵の量を減らすことができるためです。
原材料と同様に、より粉塵が発生しない加工方法がないか探してみましょう。
粉塵が溜まりにくい構造にする
建物内に粉塵が溜まらない構造にするのも有効です。
これは工場や倉庫の建設前にできる対策です。
粉塵が拡散される理由として、建物内に溜まった粉塵が人がそばを通ったりすることで再び舞い上がるというものがあります。
粉塵は壁と床の境目や、窓枠に溜まります。
そこで、壁と床の境目を丸くして堆積しにくく、掃除しやすい構造にしたり、窓枠に傾斜をつけて粉塵が溜まりにくいようにしたりすると、拡散を防ぐことができます。
粉塵が発生するエリアを固める
粉塵が発生する工程を1つのエリアに固めて、可能であれば発生しないエリアとの間に仕切りを用意しましょう。
すると、粉塵が拡散される範囲を最小限に留めることができます。
掃除がしやすいというメリットもあります。
工場や倉庫が稼働し始めてからレイアウトを変更するのは大変な作業なので、建設前の段階で配置を考えるのが理想的です。
粉塵が出る設備にカバーをする
機械の粉塵が発生する箇所にカバー、フィルター、蓋を付けると拡散を防止できます。
また、その機械自体を覆い、密閉するという方法もあります。
新しくカバーや蓋を用意するだけなので、安価且つ、簡単に対策をすることができます。
機械の内部で粉塵が詰まってしまうことがないよう、付け方には気をつけましょう。
粉塵防止剤を噴射する
工場や倉庫内で粉塵防止剤を噴射すると、拡散を防ぐことができます。
これは粉塵と結合することで飛散を防いでくれるものです。
本格的な噴射機がなくても、一般家庭で使われるようなジョウロで撒けるタイプのものもあります。
粉塵防止剤は工事現場や建物の建設現場などでも用いられています。
ミストを噴射する
専用の防止剤だけでなく、水も使えます。
ミスト状にして噴射すると、舞うのを抑えてくれます。
噴射機は様々な種類があります。
扇風機タイプを使えば、粉塵対策と夏の暑さ対策を同時に行うことができます。
作業場所が高温になりやすい工場や倉庫にはぴったりです。
また、移動式のものを使えば、日によって作業場所が違う場合や、粉塵が出る機械が複数個あるという場合でも対応できるので非常に便利です。
工場や倉庫の状況に合うものを選びましょう。
集塵機で粉塵を取り除く
集塵機で粉塵を吸引して取り除くという方法もあります。
集塵機は粉塵を吸い込み、排気することで、工場内に飛散するのを防ぎます。
ただし、集塵機を設置していても、上手く機能していないケースもあります。
そこで、適切に集塵できるように考えて設置することが欠かせません。
例えば、機械の粉塵が出る部分と集塵機を直接繋げると、工場や倉庫内に少しも粉塵が出ることなく排出されます。
また、建物内で発生する粉塵の量を計算し、見合った性能の集塵機を設置するのも1つの方法です。
換気する
換気して建物内に新鮮な空気を入れると、粉塵の濃度を薄めることができます。
濃度が薄まれば体に与える影響を減らせます。
そこで、工場や倉庫内の空気を入れ替えられる換気システムを構築しておきましょう。
ただし、発生する粉塵の量があまりに多い場合は、外に排出するとトラブルに繋がる恐れがあります。
そこで、他の方法と併用しながら対策するのが望ましいです。
工場の換気方法についてはこちらの記事で詳しくまとめているので参考にしてくださいね。
製造を無人化する
粉塵を吸い込まないようにするには製造を無人化する方法があります。
例えば、製造は全て機械が行うように自動化したり、遠隔で作業ができる仕組みを整えたりすると、従業員が粉塵を吸うことがなくなります。
システムを構築するのにコストはかかりますが、粉塵対策になるだけでなく、生産効率が上がるメリットもあります。
自動化や遠隔化を進められそうな工程があれば実現する方法を考えてみましょう。
粉塵の吸入を防げる保護具を身につける
粉塵が発生する作業にどうしても人間が当たらなければいけない場合は保護具を身につけましょう。
マスクやフェイスシールドは直接粉塵を吸うのを防いでくれます。
また、粉塵を付着させないことも大事なので、防護服や専用のゴーグルも着用しましょう。
粉塵対策を完璧にするためにはこうした保護具を正しく使うことが大切です。
例えば、ゴーグルと頭の間に隙間があれば粉塵がゴーグル内に入ってしまいます。
頭や目の周りにしっかりフィットするようにつけましょう。
粉塵をモニタリングする
粉塵対策を行った後はきちんと効果が出ているか確かめると安心です。
確かめるには空気中の粉塵の濃度を監視できる機械を使いましょう。
機械の種類によってはスマホやパソコンと連携することで濃度が高くなったときにすぐに気づくことができます。
対策をしたつもりでも実はできていなかったり、集塵機が故障して上手く稼働しなかったりと、トラブルが起こる可能性はゼロではないからこそ、モニタリングできる機械を活用したいですね。
レーザーを当てて粉塵の発生源を調べる
どこからか粉塵が漏れているが、その場所が分からないということは珍しくありません。
発生箇所が分からなければなかなか有効な対策を取ることが難しいので、本格的に粉塵対策をするなら、どこから粉塵が発生しているか特定する必要があります。
特定する方法はいくつかあります。
例えば、製造に使っている機械に専用のレーザーを当てると粉塵が出ている場所を可視化することができます。
一目瞭然なので、時間をかけずに特定できるのがメリットです。
工場・倉庫が粉塵対策をすべき理由2つ
この章では工場や倉庫が粉塵対策に力を入れるべき理由をご紹介します。
1 | 健康問題を引き起こす |
2 | 製品の品質が落ちる |
健康問題を引き起こす
粉塵が発生することで起こる深刻な問題といえば健康被害が出ることです。
粉塵を長い間吸い込むと、「じん肺」という病気を引き起こすことがあります。
じん肺は息切れ、咳、ひどい場合は呼吸困難といった症状を伴います。
さらに気管支炎などの合併症を引き起こすリスクが高まります。
じん肺は現在のところ治療法がなく、肺の状態を元に戻すこともできないため、従業員の健康を守るためにも企業側が対策をすることが大切です。
製品の品質が落ちる
飛散した粉塵が製品に付着すると品質が下がってしまいます。
クレームに発展することもあるかもしれません。
顧客に安心して利用してもらい、企業の信頼を落とさないためにも粉塵対策を行いましょう。
まとめ
粉塵は健康問題を引き起こしたり、製品の品質低下を招いたりするため、空気中に飛散しないように対策を練ることが大切です。
ぜひ今回ご紹介した対策を実践してみてくださいね。