この記事では次の内容をまとめています。
- 位置情報を取得するビーコンとは
- ビーコンで生産性を上げる方法
- 工場が位置情報を活用するメリット
生産性を上げたい、位置情報を活用できていないと感じている企業が知っておくべきことを全てまとめました。
位置情報を取得するビーコンとは
Bluetoothによる無線通信で情報の発信を行うものです。
数百メートルほど距離が離れていても通信が行えます。
工場では従業員や物につけて位置情報を取得し、生産性アップに役立てることができます。
他にも位置情報を活用できるツールにはGPS、Wi-fi、PDR、IMESなどがあります。
GPSは人工衛星からの電波により、地球全体の位置情報を把握できるものです。
ビーコンがGPSよりも優れている点は以下の通りです。
- 安価に使える
- 位置情報がより正確
- 地下でも情報を取得できる
工場がビーコンによる位置情報で生産性を上げる方法4つ
この章では工場がビーコンを活用して生産性を上げる方法をご紹介します。
1 | 人や物の場所を位置情報で確認する |
2 | 従業員の動線を把握する |
3 | 各エリアの滞在時間を調べる |
4 | 工数管理の簡略化 |
人や物の場所を位置情報で確認する
ビーコンを従業員や物につけて位置情報を取得すると生産性アップのカギになります。
まず、従業員につけると、誰がどこにいるのかをすぐに把握できます。
すると、誰かに話しかけたいときにすぐに見つかり、探す手間を省けます。
また、従業員が常に位置情報を見られているという意識から、仕事に集中して取り組む効果も期待できます。
また、荷物や道具も同様に、何がどこにあるのかすぐに分かります。
工場は広く、1つの物を見つけるのに時間がかかることも珍しくありません。
例えば、指示書は工場の様々な現場を移動するものですが、ビーコンをつけていれば見失うことがありません。
従業員の動線を把握する
ビーコンで従業員が工場内でどのように動いたかも知ることができます。
そのため、移動にどれくらい時間がかかっているか、動線の無駄がないかといったことを分析することができます。
工場にとって動線は非常に大事です。
無駄な動線があると移動に手間がかかり、従業員が不満を持つきっかけになります。
また、何度も通るところだからこそ、理想の動線にすれば、長い目で見ると移動時間を大幅に削減することができます。
各エリアの滞在時間を調べる
ビーコンは同じ工程内でも、どこで作業をしているかを細かく知ることができます。
そのため、メインの作業から離れている時間がどれくらいあるかも把握できます。
例えば、製造ラインの仕事の担当者がビーコンをつけたとき、メインの現場であるラインの近くにいる時間と、そこから離れている時間をそれぞれ記録できます。
離れている時間が多いときは、必要な物を探すのに時間がかかっていたりして、他に無駄な時間が発生している証拠です。
各エリアの滞在時間の記録から、より生産性を上げるヒントを導き出しましょう。
工数管理の簡略化
工場が生産性をアップするには工数管理の徹底が欠かせません。
工数とは1つの作業が終わるまでに必要な人数と時間のことです。
作業時間を記録するには紙、エクセル、バーコードなど様々な方法があります。
ビーコンでも工数集計は可能で、他のツールとは違い、勤務時間を記録する際に他の従業員の記録が終わるまで待つ必要がなく、労働時間を削減できます。
また、以下のようなメリットもあります。
- 記録を忘れる心配がない
- 数字を間違えて入力することがない
工場がビーコンによる位置情報を活用するメリット7つ
この章では位置情報の取得にビーコンを使うメリットをご紹介します。
1 | 同時に複数のデータが得られる |
2 | データが蓄積される |
3 | 進捗をリアルタイムで把握できる |
4 | 導入が簡単 |
5 | 従業員に指示を出しやすい |
6 | 危険区域への立ち入りを防げる |
7 | 非常時に従業員の安全を確保できる |
同時に複数のデータが得られる
ビーコンは同時に複数の従業員の位置情報のデータを得られるというメリットがあります。
作業にかかっている時間を調べるのによくストップウォッチが使われます。
この方法は作業開始時と終了時にボタンを押す手間がありますし、集計の際に別の媒体に記録しなければいけません。
一方で、ビーコンならただ身につけているだけで作業時間を把握できます。
しかも複数人同時に記録を取れるのでとても効率的です。
データが蓄積される
記録したデータはどんどん蓄積されます。
製造現場における様々なデータが見える化することで、状況の分析や課題の把握が容易になります。
また、課題の改善のための施策を行ったあとは、過去のデータと新しいデータを比較することで効果を測定できます。
進捗をリアルタイムで把握できる
一連の製造の流れを同じメンバーで行う場合、位置情報からどのプロセスを行っているかを推測することができ、進捗をリアルタイムで知ることができます。
また、それぞれの製造に担当者がいる場合でも指示書にビーコンをつければ進捗が分かります。
導入が簡単
導入には大掛かりな工事は必要ありません。
そのため、簡単に始められ、さらには安価で導入できるというメリットもあります。
工事によって操業を止めることもないので、経営者にとっては大きなメリットです。
従業員に指示を出しやすい
人の居場所が分かるため従業員に指示が出しやすいのも魅力です。
例えば、従業員が居る場所を見て、必要なタイミングで指示を出すことができます。
また、指定した場所と違うところに行ってしまっていた場合、すぐに訂正することができます。
危険区域への立ち入りを防げる
工場内に危険なエリアがある企業もあるでしょう。
その場合は、危険エリアに入った際に警告が鳴るように設定することもできます。
ビーコンは従業員の命を守るのにも使えるのです。
非常時に従業員の安全を確保できる
地震発生時や火災が起きた際など、非常時にも役立ちます。
例えば、火事が起きた際は従業員が全員無事に避難しているかを確認する必要があります。
その際に、ビーコンがあればリアルタイムで誰がどこにいるのかを把握でき、安否をすぐに知ることができます。
ただし、非常事態の対応はビーコンだけに頼るのではなく、日頃から避難訓練を行うなど、万一の際にそれぞれが自分で身を守れるように普段から対策を講じておくことが大切です。
工場がビーコンを導入する際の注意点4つ
この章では工場がビーコンを導入する際に知っておくべき注意点をまとめました。
1 | 距離が離れすぎてはいけない |
2 | まずは小さな規模で導入する |
3 | ビーコンが最適かどうか確かめる |
4 | 監視されているようで不快に思う場合も |
距離が離れすぎてはいけない
ビーコンが無線で情報のやり取りができるのは数百メールが目安です。
そのため、あまりにも遠く離れてしまうと位置情報を取得できません。
そのため、工場の規模によってはビーコンではないツールの方が合う場合もあります。
まずは小さな規模で導入する
導入はまずは小さな規模で始めるのがおすすめです。
なぜなら、いざ導入してみると現場に合わなかったり、思わぬ欠点が見つかったりすることがあるからです。
そこで、まずは小さく始めて、問題がなければ全体で取り入れるという流れにするのが理想的です。
ビーコンは安価で始められるとはいえ、もちろん導入にコストはかかるので、無駄がないように段階的に導入しましょう。
ビーコンが最適かどうか確かめる
位置情報を知るツールはいろいろあります。
その中でもビーコンがベストな選択かどうかは慎重に検討する必要があります。
例えば、ビーコンはGPSよりも細かく場所を把握することができます。
しかし、それぞれの製造現場がかなり近いと、ビーコンの精度ではどちらの工程をしているのかよく分からないという問題も考えられます。
工場の性質によって、どのツールが適しているかは異なるので、よく検討しましょう。
監視されているようで不快に思う場合も
ビーコンを装着することで、従業員が上司に常に監視されているように感じてしまうというデメリットもあります。
特に後ろめたいことはしていなくても、位置情報を把握されることに不快感を示す人はいます。
そこで、位置情報を取得する理由や、そのデータをどう活用するかといったことを丁寧に説明し、理解してもらいましょう。
まとめ
ビーコンは無線で情報のやり取りができるもので、数百メートルほどの距離であれば位置情報を取得することができます。
工場では人や物に取り付けることで生産性を上げるために必要なデータを集めることができます。
ただし、デメリットもあるので、導入する際は慎重に検討しましょう。