この記事では次の内容をまとめています。
・雨水利用とは
・工場や倉庫が雨水利用をする方法
・工場や倉庫の雨水の用途例
雨水を活用したいと考えている工場や倉庫の経営者が知っておくべきことを全てまとめました。
雨水利用とは
雨水利用とは降った雨を貯めて再利用することで、例えば、植物の水やりやトイレの洗浄水といった使い道があります。
雨水はそのまま使うこともできますが、用途によってはろ過や水質の調整が必要です。
日本は時期にもよりますが雨が降る日は少なくないので、上手く活用すれば水道代の削減や環境対策になります。
雨水利用を行うにはコストがかかるため、得られるメリットとかかるコストを比較してから導入する必要があります。
工場・倉庫が雨水利用をする方法2つ
この章では工場や倉庫が雨水利用をする具体的な方法をご紹介します。
①貯水タンクに水を貯める |
②雨水利用システムを導入する |
貯水タンクに水を貯める
まず、一番シンプルな方法が貯水槽に水を貯めることです。
水質にあまりこだわらない用途に向いています。
貯水タンクはホームセンターなどで売られており、すぐに導入できるのがメリットです。
タンクを屋上に設置する場合は法律で定められた建物の高さ制限を超えてしまわないように注意が必要です。
雨水利用システムを導入する
雨水利用のためのシステムで、再利用するまでに水中のゴミの除去や水質調整を行います。
タンク、フィルター、ポンプ、制御盤と様々なパーツで構成され、貯水タンクに比べると規模の大きな設備です。
導入コストは高いものの、貯水タンクに比べると幅広い用途で雨水を活用できるのがメリットです。
雨水利用システムを導入するには専門の業者に依頼する必要があります。
工場・倉庫での雨水の用途例6つ
この章では工場・倉庫での雨水の活用方法をご紹介します。
①植物の水やり |
②トイレ |
③冷却水 |
④車の洗浄 |
⑤打ち水 |
⑥非常時用 |
植物の水やり
敷地内の植物の水やりに使えます。
この用途では貯めた雨水をそのまま使用することができます。
気温が高く、晴れが続く時期には特に重宝するでしょう。
トイレ
トイレの洗浄水としても使用できます。
このとき、葉っぱや枝のような最低限のゴミは除去する必要があります。
冷却水
工場の場合、冷却水としての使い道があります。
冷却水を使用する機会があるなら、用途の1つに入れるのがおすすめです。
車の洗浄
社用車の洗浄にも使えます。
車が多い企業では水の使用量をかなり節約できます。
打ち水
夏場に道路や屋根に散水する使い道です。
屋根を打ち水で冷やせば、建物内の気温が上がりにくくなり、光熱費削減の効果も期待できます。
非常時用
災害時に水道が使えなくなったとき、雨水があれば非常に役立ちます。
例えば、トイレの洗浄水として使ったり、体についた汚れを落としたりといった用途で使えます。
反対に、飲み水やお風呂用の水には適しません。
非常時には水質に応じて適切に使い分ける必要があります。
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工場・倉庫が雨水利用をするメリット4つ
この章では工場や倉庫が雨水を活用するメリットをご紹介します。
①水道代を削減できる |
②環境対策になる |
③企業のアピールポイントになる |
④非常時でも水を使用できる |
水道代を削減できる
大きなメリットはやはり水道代を削減できることです。
雨水は無料で手に入る水資源。
それを活用すれば水道の使用量が減り、コスト面で大きなメリットがあります。
特に、製造の過程で冷却水を使用したり、従業員が多くてトイレの使用回数が多かったりと水の使用頻度が高い工場や倉庫には雨水利用はおすすめです。
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環境対策になる
雨水を利用することで、限りがある水資源の無駄を省くことができます。
また、水道の利用量が減れば、綺麗な水を企業に届けるまでに水道施設で消費するエネルギーの削減にも繋がります。
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企業のアピールポイントになる
雨水利用を通して環境に配慮した企業であることをアピールすることができます。
近年、環境に配慮している企業を評価する動きがあり、雨水利用が取引先や投資家からの印象を良くするきっかけになるかもしれません。
非常時でも水を使用できる
先ほども触れましたが、雨水利用の仕組みがあれば、地震や台風などの災害時に水道が止まっても水を利用することができます。
例えば、大きな地震が起こると、トイレを使用後に流すことができず、衛生環境が悪化するのはよくある話です。
こんなとき、雨水があれば洗浄水の代わりになり、非常に役立ちます。
工場・倉庫が雨水利用をするデメリット5つ
この章では工場や倉庫が雨水利用するデメリットや注意点をご紹介します。
①用途に制限がある |
②設備の用意にコストがかかる |
③スペースが必要 |
④定期的に手入れが必要 |
⑤雨量の影響を受ける |
用途に制限がある
雨水を再利用するとき、用途に制限があります。
用途によって適した水質があるからです。
例えば、水やりや打ち水には貯めた雨水をそのまま使用しても問題ありません。
一方で、飲料水や食品の製造に使用する水は水質の良さが求められるため、雨水の利用は適していません。
設備の用意にコストがかかる
雨水を利用するには初期投資が必要です。
特に雨水利用システムを導入する場合、システム自体に費用がかかるのはもちろん、配管工事にもお金がかかります。
安く済ませたいなら貯水タンクがおすすめですが、雨水をそのまま利用することになるため、用途が限られるのはデメリットです。
スペースが必要
雨水利用をするためには設備を置くスペースが必要です。
雨水利用システムは用途や利用する雨水の量によってはかなり大規模な設備になることもあります。
ちなみに、貯水タンクはあまり場所は取らないので導入しやすいです。
ただし、屋上に置く場合は強風による転落を防ぐためにしっかり固定する必要があります。
定期的に手入れが必要
雨水を活用するための設備は定期的にメンテナンスが必要です。
なぜなら、雨水を貯める中で設備は汚れていくからです。
例えば、雨水利用システムはフィルターがついており、定期的に取り替えや掃除を行わなければ水質が悪化する恐れがあります。
もちろん、その他の設備も定期的に手入れすることが求められます。
雨量の影響を受ける
雨水の利用は天候に大きく影響を受けます。
雨の日が少なければ、せっかくシステムを導入したにも関わらず、利用する雨水がなくてあまり意味がなかったということになりかねません。
そのため、降雨量が少ない地域では特に雨水利用の導入には慎重にならなくてはいけません。
雨水利用を成功させるポイント4つ
この章では雨水利用を成功させるためにすべきことをご紹介します。
①雨水の用途を決める |
②建設時に導入する |
③定期的にメンテナンスする |
④必要な届出をする |
雨水の用途を決める
まず、雨水を何の用途で使うかを決めましょう。
なぜなら、用途によって導入すべき設備が変わるからです。
例えば、打ち水や車両の洗浄用に使いたいという場合は貯水タンクでも問題ありません。
一方で、災害時でも対応できるように水質の高い水を用意したいという場合は適切に雨水を処理できるシステムを用意する必要があります。
工場や倉庫ではどんなときに水を必要とするかを改めてリストアップしてみましょう。
建設時に導入する
これから工場や倉庫を建てる場合、建設と同時に雨水利用システムを導入するのがおすすめです。
前述の通り、雨水利用システムを導入する場合はある程度の大きさのスペースが必要で、建設後に導入しようとしても、スペースの都合上、導入できない可能性があるからです。
雨水を活用したいと考えているなら建設のヒアリング時に担当者に伝えましょう。
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定期的にメンテナンスする
適切な水質を維持するために、貯水タンクや雨水利用システムは定期的に点検や手入れを行いましょう。
雨水利用システムは業者が推奨する頻度でメンテナンスをしましょう。
また、自社で貯水タンクを用意する場合は、メンテナンスをする頻度を決めて、その通りに実行できるようにスケジュールに入れておきましょう。
必要な届出をする
雨水の活用方法によっては自治体に届出が必要です。
例えば、トイレの水として使用し、下水道に排水する場合は届出が必要です。
まとめ
無料で手に入る雨水を工場や倉庫内で再利用すれば水道の使用量が減り、コスト削減になります。
雨水利用は水を使う機会が多い企業に特におすすめです。
ただし、降雨量が少ない地域には向かない、導入やメンテナンスにコストがかかるといった注意点があります。
そのため、上手く活用できそうかどうかを導入前によく検討しましょう。