この記事では次の内容をまとめています。
・システム建築とは?
・システム建築で環境対策ができる理由
・環境対策に取り組むべき理由
環境対策に力を入れたいと考えている工場・倉庫の担当者の方が知っておくべきことを全てまとめました。
工場・倉庫建設に向いているシステム建築とは?
システム建築では柱、梁、外壁、屋根などの建築部材を規格化しており、さらには建設プロセスも徹底的にシステム化されています。
在来工法に比べて高品質・低コスト・短工期の建設をすることができるのが特徴です。
- 大空間を作れる
- 増設が可能
- 天井高の調整がある程度可能
といったメリットがあるため、工場や倉庫を建てる際に選ばれることが多いです。
システム建築での工場・倉庫建設が環境対策になる理由8つ
この章では工場や倉庫を建てる際にシステム建築を選ぶと環境対策ができる理由をご紹介します。
①合理的な構造を採用している |
②部材を工場で生産している |
③外観のデザインがシンプル |
④工期が短い |
⑤建物の寿命が長い |
⑥高断熱の屋根・外壁システムがある |
⑦様々な種類のアクセサリーがある |
⑧太陽光パネルを設置できる |
合理的な構造を採用している
システム建築では建物の構造を徹底的に合理化しているため、使われる部材の数は最小限に抑えられています。
その結果、
- 建材の無駄を省くことができる
- 建材の総量が軽くなることで輸送時の環境への負担が減る
- 解体が容易になる
といったメリットが生まれます。
部材を工場で生産している
システム建築の部材は標準化されているため、工場で生産することができます。
つまり、無駄のない生産が可能で、資源の無駄を省くことができ、環境に優しいと言えます。
ちなみに、従来の建築方法である「在来工法」の場合、建物によって使用する部材の種類、大きさ、形が異なるため、システム建築のように安定的に工場で生産することは難しいです。
外観のデザインがシンプル
システム建築の特徴の1つにデザイン性が低いというものがあります。
システム建築で作られる工場や倉庫の外観はシンプルなものがとても多いです。
これは一見、デメリットに見えますが、実は環境対策の面ではメリットになります。
なぜなら、こだわり抜いたデザインの外観よりも、シンプルな外観の方が使用する部材の量が少なく済むからです。

工期が短い
システム建築による建設は工期が短いです。
具体的には、在来工法で120日かかる建設が90日ほどで済みます。
工期が短いとその分、建設工事で使用する重機や、資材を運ぶ運搬車両の稼働が減るため、CO2の排出量やエネルギー消費量を抑えられます。
ちなみに工期が短いと、人件費や機材のレンタル料が少なくなり、コストダウンに繋がるというメリットもあります。

建物の寿命が長い
システム建築で建てた建物の寿命は30年以上と長持ちです。
そのため、建て替えの頻度が少なくて済み、次のような面で環境対策になります。
- 建材の消費量が減る
- 解体時に発生する廃棄物の量が減る
- 建材の製造・運搬に伴うエネルギー消費量が減る
- 解体時や建設時に使用する重機のエネルギー消費量が減る
高断熱の屋根・外壁システムがある
システム建築ではメーカーごとに独自の屋根システムや外壁システムが用意されています。
その中には高断熱のものもあり、こうしたシステムを採用することで、断熱性の高い建物が完成します。
断熱性が高いと夏は暑くなりすぎず、冬は冷えにくくなり、さらには空調の稼働効率が高いため、空調にかかるエネルギー消費量が減ります。
日本は年間を通して気温の差が激しいため、断熱性の高い建物にするメリットはとても大きいです。

様々な種類のアクセサリーがある
アクセサリーとは建物に付属する設備や部品のことで、例えば庇、ベンチレーター、サッシなど様々なものがあります。
アクセサリーの選び方次第で環境に優しい工場や倉庫になります。
例えば、自動で開閉するシャッターをつければ、外気の侵入を最小限にし、室温を安定させることができます。
また、自然光が室内に入りやすい窓をつければ照明をつける時間が短くなります。

太陽光パネルを設置できる
システム建築で建てた建物には太陽光パネルを設置することができます。
特に工場や倉庫の屋根は平らなことが多く、パネルを置くのに適した環境です。
太陽光発電ではクリーンなエネルギーを使用するので、環境対策にはぴったりです。
効果を最大限発揮するには光を集めやすいよう、設置する角度や方角に配慮する必要があります。

工場や倉庫が環境対策に取り組むべき理由3つ
この章では工場や倉庫が建設の際に環境対策に取り組むべき理由をご紹介します。
①社会への責任があるから |
②企業の価値が上がる |
③建設のコストパフォーマンスが上がる |
社会への責任があるから
工場や倉庫は稼働するのに大量のエネルギーを必要とします。
つまり、地球環境に与える影響が大きく、社会に対する責任は重いと言えます。
環境対策といえば、使用電力を削減したり、ゴミを減らしたりといったものが浮かびやすいですが、実は地球に優しい工法を選ぶことでも貢献できます。
特に工場や倉庫の建設は大規模なプロジェクトなので、環境対策の効果も大きくなります。
企業の価値が上がる
近年、環境対策に力を入れていることが企業のブランディングに繋がる傾向があります。
環境を守るための施策を行うことで、消費者、取引先、投資家からの評価が高くなり、企業価値が高まるのです。
また、環境に配慮した対策を早くからしておけば、環境規制が強化されても対応できるため、投資家から「安定した経営が見込める」と判断されるきっかけになります。

建設のコストパフォーマンスが上がる
工場や倉庫が新しい建物を建てる際に環境に配慮すると、コストパフォーマンスの面でメリットが生まれることも。
例えば、システム建築での建設を選べば、先ほどご説明したように様々な点で環境対策になる上に、在来工法と比べて建設コストを20~40%ほど削減できます。

システム建築での建設後にできる工場・倉庫の環境対策6つ
この章では工場や倉庫が建設後でもできる環境対策のやり方をご紹介します。
①LED照明を使う |
②蓄電池システムを導入する |
③屋上緑化を取り入れる |
④廃棄物を適切に処理する |
⑤雨水を利用する |
⑥節水できる設備を取り入れる |
LED照明を使う
LEDの照明は消費電力が少なく、CO2の排出量の削減に繋がります。
また、長寿命という特徴もあり、電球の交換頻度が少なくなるため、ゴミを減らせるというメリットもあります。
ただし、工場や倉庫の照明は高い位置にあり、交換が大変なので、できれば建設時から導入するのが望ましいです。
蓄電池システムを導入する
蓄電池システムとは名前から分かるように、電力を貯めておけるシステムのこと。
太陽光発電と合わせて利用すれば、太陽光で作った電力を貯めておけるため、クリーンエネルギーの使用量を増やすことができます。
ちなみに、蓄電池システムは
- 電気代を削減できる
- 停電時にも電気を使える
といったメリットもあります。

屋上緑化を取り入れる
屋上緑化とは屋上で植物を育てること。
屋上が緑に覆われていると、太陽光が建物に直接当たらなくなるため、断熱効果を発揮し、屋内が快適な温度になります。
また、建物が直接紫外線を浴びたり、風雨に晒されたりするのを防ぐので、建物の劣化のスピードが遅くなり、メンテナンスや修繕の頻度も低くなります。

廃棄物を適切に処理する
ゴミを適切な方法で処理することは環境対策になります。
工場は廃棄物の処理を適切に行わなかったことで大きな社会問題となった例も多く、特に配慮する必要があります。
ちなみに、廃棄物の量を減らすことも環境対策の1つです。
こちらの記事では工場がゴミの処理にかかる費用を削減する方法をまとめていますのでぜひ参考にしてください。

雨水を利用する
雨水は無料で手に入る資源。
水道から出る水の代わりに活用すれば水資源を守ることに繋がります。
詳しい活用方法はこちらの記事でまとめていますよ。

節水できる設備を取り入れる
水資源を守る方法として、節水できる設備を取り入れるというものもあります。
例えば、蛇口に節水アダプターをつけると、普段と同じように使いつつ水の使用量を減らせます。
まとめ
システム建築は構造を徹底的に合理化しているため、使用する部材の量が少ないです。
そのため、工法にシステム建築を選ぶだけで環境対策になります。
また、工期が短いのでトラックや建設機械の稼働時間も短く、エネルギー消費量を減らせるなど、環境対策になるポイントは他にもたくさんあります。
社会的責任を果たすため環境対策に力を入れたいという場合は工場や倉庫建設の際にぜひシステム建築を選択肢の1つに入れてくださいね。