この記事では次の内容をまとめています。
- 産業用蓄電池とは
- 産業用蓄電池のメリット
- 産業用蓄電池のデメリット
産業用蓄電池を導入しようか迷っている企業の担当者が知っておくべきことを全てまとめました。
産業用蓄電池とは
一般住宅以外に設置する蓄電システムのことを指します。
工場や倉庫に限らず、スーパー、商業施設、オフィスビル、公共施設などでも使用されます。
災害が多く、ライフラインが断絶することが少なくない日本において需要が高く、産業用蓄電池を導入する企業は増えています。
家庭用蓄電池との大きな違いは容量で、家庭用は10kWh程度ですが、産業用は100kWhを超えるものもあります。
工場・倉庫が産業用蓄電池を導入するメリット6つ
この章では工場や倉庫にとっての産業用蓄電池のメリットをご紹介します。
1 | 災害時にも電力を利用できる |
2 | 電気料金を節約できる |
3 | 計画停電の影響を受けない |
4 | 環境対策になる |
5 | 地域社会に貢献できる |
6 | 企業価値が上がる |
災害時にも電力を利用できる
地震や台風で電力の供給が止まっても電力を利用できます。
停電しても蓄電池に貯まっている分を放電できるからです。
特に工場は製造の際に機械を動かすため、停電すると操業が停止し、大きな影響を受けます。
納期に間に合わなくなったり、在庫が不足したりと、売上は大打撃を受けます。
だからこそ産業用蓄電池があると、いざというときでも安心です。
電気料金を節約できる
産業用蓄電池には電気料金を削減できるというメリットもあります。
例えば、夜などの電気料金が安い時間帯に蓄電し、高い時間帯に放電するピークシフトというやり方を採用すると、普通に使う場合に比べて安く済みます。
また、ピークカットと言って、一番電力を使用する時間帯に蓄電池の電力を使い、最大使用電力を減らすという方法もあります。
計画停電の影響を受けない
電力会社が節電要請を出したり、計画停電に踏み切ったりしたとき、電力を多く使用する工場や倉庫は大きな影響を受けます。
社内に蓄電システムがあればこうした状況でも普段と変わらずに稼働することができます。
計画停電は災害発生時だけでなく、夏場に電力の需要が大きくなることで発表されることもあります。
いつ起こるか分からないからこそ、いつでも対応できる設備があると安心です。
環境対策になる
産業用蓄電池は太陽光発電と組み合わせて利用されることが多いです。
太陽光発電はただ使用するだけでもCO2の削減に繋がります。
その上、太陽光で作った電力を蓄電池に貯めておき、夜間や天気の悪い日などに使えば、CO2の発生量をさらに抑えることができ、環境対策になります。
脱炭素化やSDGsに大きく貢献できますね。
地域社会に貢献できる
災害時には避難場所となることで地域に貢献することができます。
普通、避難拠点といえば体育館や公民館などの公共施設ですが、蓄電システムによって電力を確保している大規模な工場や倉庫を活用することもできます。
こうした場面で貢献することで、近隣住民との関係性が良くなります。
災害時に避難場所として解放する際の手順をあらかじめ決めておくと、いざというときに焦らないで良くなります。
企業価値が上がる
産業用蓄電池の導入は企業価値の向上に繋がります。
なぜなら、CSR(企業の社会的責任)を果たすからです。
例えば、
- 災害時に操業が止まらない
- 災害時に避難場所として開放する
- CO2の削減
このような点が評価されるポイントと言えます。
投資家の中には環境対策ができているか、地域社会に貢献しているかといった点を投資先を選ぶ基準の1つとしている人も少なくなく、産業用蓄電池は思わぬ大きな効果を生み出すこともあります。
工場・倉庫が産業用蓄電池を導入するデメリット3つ
この章では工場や倉庫が産業用蓄電池を使うデメリットをご紹介します。
1 | 高額のコストがかかる |
2 | 補助金制度が不十分 |
3 | 設置条件がある |
高額のコストがかかる
産業用蓄電池のデメリットといえば導入に多額のコストがかかる点です。
導入には本体価格はもちろんのこと、設置工事にも費用がかかります。
ただし、先ほどもご説明したように、産業用蓄電池を導入すると、電気代を節約できたり、災害時にも稼働できて売上が下がることを防げたりといったメリットがあります。
導入の際には導入コストに見合うだけの価値があるか慎重に判断しましょう。
補助金制度が不十分
今のところ、産業用蓄電池を設置することに対する補助金はほとんどないようです。
ただし、エネルギー消費量を抑える建物に対する補助金など、産業用蓄電池を導入することで間接的に補助金を得られることはあるようです。
国だけでなく、地方自治体もこうした補助金を出しているため、工場がある地域の助成金について一度調べてみましょう。
設置条件がある
産業用蓄電池にはいくつか設置条件があります。例えば、次のようなものです。
- 氷点下にならない環境
- 大きな機器を置ける
- 機器の重さに耐えられる地面
- 高温多湿でない
- 直射日光が当たらない
- 塩害の心配がない
こうした基準をクリアできなければ、産業用蓄電池を導入したいと考えていても実現できません。
工場・倉庫が産業用蓄電池を活用するポイント3つ
この章では工場や倉庫が産業用蓄電池をより活用するためのポイントをご紹介します。
1 | FEMSとの連携 |
2 | 太陽光発電との連携 |
3 | 業者は慎重に選ぶ |
FEMSとの連携
FEMSとは“Factory Energy Management System”の略で、「工場のエネルギー管理システム」という意味です。
生産設備、空調、配電設備などのエネルギー管理をし、稼働状況を見える化したり、制御したりします。
産業用蓄電池とFEMSを組み合わせることでピークシフトなどを行い、工場内のエネルギーの最適化を実現することができます。
太陽光発電との連携
太陽光発電と組み合わせると、クリーンなエネルギーで発電した電力を貯めることができ、より多くのメリットをもたらします。
詳しくは次の章でご紹介します。
業者は慎重に選ぶ
産業用蓄電池を扱う業者は多くあります。
どの業者に依頼するかは慎重に考えましょう。
業者選びで失敗しないためには工場や倉庫への導入実績があるところを選ぶのがおすすめです。
工場や倉庫の状況に詳しければ、満足のいく対応をしてもらえる可能性が高いですし、より企業の状況に合った提案をしてもらえます。
また、価格だけで決めないことも大切です。諸々の費用を全て含めた見積書を複数の会社からもらって決めることで、料金面での失敗を防げます。
産業用蓄電池と太陽光発電を組み合わせるメリット3つ
この章では産業用蓄電池と太陽光発電を組み合わせるメリットをご紹介します。
1 | 売電量が増える |
2 | 売電制限の影響を受けない |
3 | 夜間にも稼働できる |
売電量が増える
太陽光発電では発電した電力を売ることができます。
産業用蓄電池と組み合わせて使うと、電力を貯めておけるため、売電量を増やせます。
売電制限の影響を受けない
電力会社が出力制限をすると、売電ができなくなってしまい、ロスが発生することがあります。
しかし、産業用蓄電池があれば、出力制限の間は貯めておき、制限が解除されたら放電するということが可能なので無駄が発生しなくなります。
夜間にも稼働できる
太陽光発電では太陽の光がない夜間は発電することができないため、電力会社から電気を購入します。
しかし、産業用蓄電池があれば、昼間に蓄電したものを使えるので完全な自家発電ができます。
産業用蓄電池と太陽光発電を組み合わせればコスト面でのメリットがとても大きいです。
産業用蓄電池と太陽光発電を組み合わせるデメリット2つ
この章では産業用蓄電池と太陽光発電を組み合わせることで生じるデメリットをご紹介します。
1 | 接続ができないことがある |
2 | さらにコストの負担が増える |
接続ができないことがある
既に太陽光発電の設備がある場合、産業用蓄電池との接続をしなければいけません。
大抵の場合、蓄電池メーカーは既存の太陽光発電の設備との互換性を考えて作られており、問題なく接続できます。
しかし、全ての蓄電池がそうとは限らないため、必ずしも接続できるとは言えないのがデメリットです。
さらにコストの負担が増える
太陽光発電の導入には多額の費用がかかります。
産業用蓄電池も導入しようとすればさらにコストがかかり、負担が大きくなってしまいます。
まとめ
産業用蓄電池は電力を貯めておけるため、災害時に停電しても電力を供給し続けることができます。
また、電気代削減も実現します。
ただし、導入には多額のコストがかかるため、価格に見合うメリットをもたらしてくれるかどうかを検討することが大切です。