新型コロナウイルス、ウクライナ情勢など、世の中では生活を変えてしまうほどの事態が続いています。一見「もう関係ないのでは?」と思われがちですが、まだまだ私たちの生活に影響がありそうです。
そんな中でも、様々な物の値段が高騰しています。食べ物だけでなく光熱費料金も軒並み上がっているため、明細書を見るのが怖いという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
これらは、私たちの生活だけに影響しているのではなく、工場を稼働させることにも大きな影響を与えています。特に光熱費については使用料金が上がることで経費が増えてしまい、存続にも影響を与えています。
今回は、光熱費の中でも電気使用料について考えてみます。ただ、料金が上がることだけが問題ではなく、CO2削減など環境への配慮が企業義務になりつつあるため、試行錯誤されている経営者様もいらっしゃるはずです。
方法はいろいろありますが「自家消費型太陽光発電」のメリット、デメリットをご紹介します。
自家消費型太陽光発電とは
工場に導入した太陽光発電システムで作った電気を、工場内で使用することを自家消費型太陽光発電と言います。
自家発電の方法としては、自宅の屋根や工場の屋根はもちろん、敷地内の土地を有効活用して、パネルなど発電設備を設置します。太陽光パネルにて作られた電気は、工場内の電気設備へと供給できるように整備されているので、企業側で何をするということはありません。
簡単に言えば、畑で作った野菜を自分自身で食べるのと、何ら仕組みは変わりありません。自給自足での電気仕組みです。
電気(エネルギー)使用の問題点
電気の使用について、工場で問題となっていることは3つあります。これら3つの問題によって、電気(エネルギー)について見直しが進められています。
電気料金の値上がり
ウクライナ情勢により、様々なものが値上がりしましたが、電気料金もその一つです。目に見えてわかる急激な値上がりに、工場、スーパー、企業とどこも焦りを見せています。部分的に節電をしている店舗をよく見かけます。工場内も見ることはできませんが、節電対策がされているはずです。
さらに値上がりを考えているという情報もあるので、非常に深刻な問題となります。
CO2削減へ
環境への配慮、SDGsへの取り組み、企業での努力義務が問われるようになりました。極端な言い方をすれば「環境問題に取り組む=優良企業」というイメージさえあります。
CO2削減は、地球温暖化の原因といわれる「温室効果ガス」の中で、大きな割合をしていることから、呼びかけられています。
自社での電気の自給自足は、その役割を担っているともいえます。
非常用電源として
あらゆる災害に備えて、自家発電を非常用電源として活用できるようにすることも、工場側で考えていかなくてはいけません。
緊急非常事態時に人間は無力ですが、電源が確保できていたら生存率を上げるだけでなく、人々の不安な心にも寄り添うことができます。
工場が避難場所となることはありませんが、緊急時に対応できるだけの設備を備えておくことも課題となります。
問題点解決に自家消費型太陽光発電が役立つ
3つの問題点を解決するには、自家消費型太陽光発電を導入することがベストだともいえます。現在、多くの企業が工場への導入を考え始めています。
設置に対して、どうしても損得で考えがちです。もちろん、企業の経費ですし、大規模な設置となります時間を浪費して終わりなんてことも考えてしまいます。
設置について悩んでいるなら、目先のメリットとデメリットを追うだけでなく、この先のメリットを見た方がより良い形で導入することができます。
工場への自家消費型太陽光を導入するメリット
それでは、実際に自家消費型太陽光発電を工場に導入することで、どんなメリットが期待できるのかをご紹介していきます。
電気使用料金を削減できる
ある程度の節電などで電気使用料金を減らすことはできますが、大きな結果を得ることは難しいです。そもそも節電では、電力会社から電気を供給してもらっている状況に変わりはありません。
そこで、自家消費型太陽光発電を導入するとどう違うのか?
上記でも述べたように、電気の供給自体を減らすことができるので、必然的に電気使用料金を削減することができます。
実際に金額にしてどれくらいの違いがあるのでしょうか?これは導入する設備や規模、地形や気候によって違いが出るので、ひとえに「〇〇円安くなります」と断言はできません。
しかし、導入している事例を見てみると、年間に最低でも数百万円は削減されています。工場の規模にもよるので、さらには数億円の削除に成功したという事例もあるようです。
CO2を削減できる
企業での環境に対する取り組みが急激に高まったのは「2050年カーボンニュートラル宣言」だといわれています。
再生可能エネルギーとして太陽光発電の電気は注目を集めています。今後、CO2の排出には増税や法規制が勘がられているので、早くから取り組めることはいいことです。
工場への自家消費型太陽光を導入するデメリット
導入することでのメリットはありますが、デメリットに関しても把握しておくことが重要です。
どんなところで、導入することを躊躇するのかをご紹介します。
導入費用が高い
太陽光発電の設置を迷う人は、どこに迷うかといえば、やはり初期費用です。
運用を始めた頃は電力会社でも高額で買い取ってくれたとも言いますが、現状は設置する工場が多いため電力会社も余ってしまうことから、買取金額が下がっているともいわれます。
設置後の回収が見込めないと初期費用するにも迷いが生じてしまいます。
こちらも工場の規模など条件によりますが、初期費用として数百万円〜数千万円は必要だとされています。稼働期間は30年以上といわれています。長く活用できることで導入することはいいとしても、費用の回収に時間がかかるのは、工場側としては迷うってしまいます。
諸経費が発生する
太陽光パネルは実質30年以上は使えるといわれますが、何もしないままというわけにはいきません。他の設備と同様に定期的なメンテナンスが必要となります。
業者選びが難しい
急激に増えていることで、業者にも優劣が生まれています。技術やノウハウをしっかり確立している業者に依頼をしないと、十分に稼働させることもできませんし、無駄な費用が発生する場合があります。
工場となれば、一般家庭とは違うので業者をしっかりと見比べて選ぶことができますが、人材の出入りや有資格者がいるのかなど、面倒であっても確認をすることをオススメします。
屋根や外壁塗装の詐欺のような業者がいるということも忘れないでください。
導入モデルで検討して決める
自家消費型太陽光発電の導入には、様々なモデルケースがあります。
・自社所有モデル
・オンサイトPPA
・自己託送
・オフサイとPPA
主に、4つのモデルケースがあります。自社で作る電気、他社で作られる電気などを活用する方法があります。
初期費用など、工場だから設置できるというわけでもありませんから、自社工場にあったケースを考えてみるのも、積極的な導入につながります。
ウクライナ情勢が原因とされる電気使用料金の値上げは、さらに上がるともいわれています。一時的に負担が増えるのは厳しい状況ではあります。けれど、将来的に長い目でみると遅かれ早かれ、導入は前向き考えるべきかもしれません。