知っておくべき、工場や倉庫の消防対策!設備編

知っておくべき、工場や倉庫の消防対策!設備編1

火災はいつ、どんな場所で起こるかわかりません。工場や倉庫においても例外ではありません。
2017年2月、埼玉県入間市の事務用品通販大手「アスクル」の倉庫で発生した大規模な火災が発生したこと記憶している人は多いのではないでしょうか。2月16日の午前9時頃に火災が発覚し、一向に火の手が収まる気配はなく、2日、3日…と燃え続け、ようやく12日後の2月28日に鎮火に至りました。幸いにも周囲には火が燃え移るような建物はなく、被害は倉庫内の物品のみに収まりましたが、東京ドーム1個分にあたる約4万5000平方メートルが消失し、その損失は101億円にも上ったといいます。
このように大規模な火災が頻繁に起こるわけではありませんが、安全だと思っている建物でも、実際には様々な火災や災害が起こる可能性があります。対策が不十分であったが為に、避難が遅れたり消火が遅れたりということも実際に起こっています。そうならないためにも、災害が起こる前に対策を取っておくことがとても重要です。
工場や倉庫の建物、またそこで働く人々の安全を守るために必要な消防対策について、設備編と保険編の2回に分けて紹介します。それでは今回は設備編として、消防の設備についてみていきましょう。

工場・倉庫火災の危険性と消防設備の種類

工場や倉庫での火災は一般的な建物と特徴が違うため、より危険性が高くなります。主な特徴として
・建物内に可燃物を大量に収容している場合が多いこと。
・一般的な建物よりも出入り口や開口部が少ないこと。
・建物の規模に比べ人員が少ない場合があること。
この特徴から「火災の発見が遅れる」「火災による停電で室内が暗闇になる」「煙が充満する」「熱がこもりフラッシュオーバーやバックドラフトが起こりやすい」などの危険性があります。これに対処するために必要になるのが「消防設備」です。

「消防設備」には大きく分けて3つの種類があります。
・火災を見つけ知らせる為の「警報設備」
・火災から逃げる為の「避難設備」
・火を抑制し消す為の「消火設備」
次にそれぞれの設備について詳しくみていきましょう。

「警報設備」とは

「警報設備」とは火災を自動的に報知する(知らせる)設備です。工場や倉庫では、延べ床面積が500㎡を越える場合に設置義務が発生します。

報知設備としては、
・火災時に火災を熱や煙によって検知し、建物の中にいる人々に警報する「自動火災報知設備」
・押しボタン式で非常時に警報を鳴らす「非常警報設備」
などがあります。

「避難設備」とは

「避難設備」とは建物の構造上、避難経路が絶たれる箇所がある場合にその場所からの避難を助けるための設備です。
・上下階で移動が困難な場合は「避難はしご」
・地上階まで瞬時に移動する為に筒状の袋の内部を滑り降りる「救助袋」
・火災で停電した時に避難方向を指示する「誘導灯」
・避難通路を照らす「非常用照明器具」
などがあります。
火災時に内部が暗闇になることが多い工場や倉庫で火災起こった場合の避難では、「誘導灯」と「非常用照明器具」が不可欠となります。昼間の停電で暗闇となるかどうかは、一度確認しておきましょう。

「消火設備」とは

「消火設備」とは文字どおり火災が起こったさい消火するための設備です。
屋内消火のために
・初期消火に用いるための「屋内消火栓設備」や「屋外消火栓設備」
・火災時に散水することで初期消火を行う「スプリンクラー設備」
などがあります。

また屋外からの消火や延焼を防ぐために
・放水能力の高い「屋外消火栓設備」
があります。これは隣接する工場や倉庫がある場合には検討する必要があります

工場や倉庫では「屋内消火栓設備」と「スプリンクラー設備」、「屋外消火栓設備」の3つ、それにプラスして工場別に該当設備が必要になります。以下で異なる機能を持つ「消火設備」についてみていきましょう。

屋内消火栓設備

屋内消火栓設備は初期消火を目的としたものです。箱型の設備の中にホースが入っており、人の手で消火作業を行う設備です。非常警報設備が一体となっているものが多いです。
屋内消火栓設備には主に「1号消火栓」と「2号消火栓」があります。
・「1号消火栓」は、ホースを全て引き出して使用する設備で、2人以上で訓練が必要とされています。
・「2号消火栓」は、「1号消火栓」よりも放水量を少なくし、1人でも操作できる設備となっています。

そして、工場や倉庫においては、放水性能が劣る「2号消火栓」は設置できないことになっているのでご注意ください。設置義務は規模によって決まります。

屋外消火栓設備

屋外消火栓設備は主に1、2階で発生した火災の消火に使用し、延焼を防ぐことを目的としています。「地上式消火栓」と「地下式消火栓」の2種類があります。
工場や倉庫では、一度火災が起こると大規模火災となることが想定されるので、隣接する建物等への延焼を防ぐ目的として屋外消火栓設備を設置することを検討する必要があります。

スプリンクラー設備

スプリンクラー設備は火災を検知し、自動で消火を行う設備です。
この設備は使用するヘッドの種類や配管内の充水等によって分別されていますが、主に使用されるのは「閉鎖型スプリンクラーヘッド」を用いた設備でしょう。平常時は閉鎖された出入口が温度によって開放し、配管内の水を放水する仕組みのものです。
また、工場や倉庫の規模では設置義務があることがほとんどですので確認が必要です。

泡消火設備

泡消火設備は燃焼部を泡で覆うことによる窒息作用と、泡に含まれる水分で消火する設備です。この設備は可燃性液体類などの消火に有効です。

水噴霧消火設備

水噴霧消火設備は水を噴霧状に放出して消火する設備です。スプリンクラー設備と異なる点は、消火だけでなく、火災の抑制や延焼防止などが行える点です。可燃性液体類などの消火にも適しています。

ガス系消火設備

ガス系消火設備は不活性ガスやハロゲン化物消火剤を用いて消火する設備です。水などでは二次災害が起こる電気設備室や、ボイラー室および指定可燃物の貯蔵部分などの特殊な場所に使用されるものです。窒息系の消火設備なので、設置には注意が必要です。

粉末消火設備

粉末消火設備は粉末消火剤を放射し、抑制作用で消火する設備です。火災によって粉末消火剤の種類を使い分けます。

消防設備の設置義務と届け出

ここまで消防設備についてみてきましたが、これらの設備は法律によって設置の義務が課せられています。主に規模による設置義務があるほか、数年毎に設備の点検を行い消防長又は消防署長に届け出・報告を行う義務があります。

設置義務

各消防設備の設置義務は、主に建物の構造と延べ床面積によって決まります。
工場や倉庫の「屋内消火栓設備」の設置義務は、木造の場合は700㎡、耐火構造では1400㎡、内装制限のある耐火構造では2100㎡をそれぞれ越える場合は対象となります。また、既に記載しましたが、工場・倉庫に設置義務が課せられる場合には「1号消火栓」が必要となります。
「自動火災報知設備」については主に規模で設置義務が課せられ、工場や倉庫では500㎡を越える場合に設置が必要となります。
倉庫では、「スプリンクラー設備」の設置義務が課せられる場合があります。天井高10mを超える場合で、構造と規模が屋内消火栓設備と同じであれば該当する可能性があります。

届け出・報告

消防設備関係は定期的に点検を行い届け出・報告する義務があります。
工場や倉庫では非特定防火対象物という扱いになる場合が多く、3年に1回、点検を行った結果を消防長または消防署長へ提出する必要があります。
他に、機器点検が6ヶ月に1回、総合点検が1年に1回必要です。これは、報告する必要はありません。
ちなみに、点検報告を怠ると点検報告義務違反で30万円以下の罰金又は拘留が課せられます(消防法44 条7 号の3、45 条3 号)ので、注意が必要です。

まとめ

ここまで、消防設備についてみてきました、ご理解いただけましたでしょうか?消防設備は火災時に人命を助ける役割の重要な設備です。工場や倉庫が一般的な建物とは特徴が異なることから、今一度見直していただけると幸いです。
また、その上で、火災が起きたときには、とっさに判断し行動しなければならないことから日頃の消火訓練も見直すようにしましょう。実際の消火栓設備を用いた消火訓練や通報訓練の必要性を消防庁も勧めています。訓練を定期的に行い、万が一のときはどのように行動し、どうやって安全を確保するのか、日頃からシミュレーションしておくことによって、いざというとき慌てずに対処することが可能になるのです。
今回は消火対策、設備編としてみてきましたが、次回はもうひとつの備え、保険編をお届けします。

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