HACCP対応の食品工場を作るための5つのポイントと必要な7原則12手順を解説

HACCP対応の食品工場を作るための5つのポイントと必要な7原則12手順を解説

食品工場に関わる方なら一度は「HACCP」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

HACCPとは世界基準の食品衛生管理の手法のことです。

日本では1990年代からHACCP基準を満たした工場にすることが推奨されていましたが、2020年6月に大きな変化が起こりました。

原則すべての食品等事業者がHACCPに対応しなくてはいけなくなったのです。

これまでHACCPを守るかどうかは任意だったのが、義務に変わりました。

猶予が2020年6月から1年間あるものの、HACCPを導入するには7原則12手順という複雑な手順をこなさなくてはいけないため、早め早めの準備が必要です。

特にこれから新しく食品工場を建設する場合は、事前にHACCPについて詳しく知っておくことで建設後の設備投資を最小限にすることができ、導入費用を節約することができます。

そこで今回はHACCPの導入に必要な7原則12手順や、HACCP対応の工場にするためのポイントをご紹介していきます。

これからHACCPを導入しようと考えている方や食品工場の建設を控えているという方はぜひ参考にしてください。

HACCPとは

HACCPとは” Hazard Analysis and Critical Control Point” の略で、国連機関である食品規格委員会から発表されているものです。

食品を扱う事業者が食中毒菌汚染や異物混入等といった生産過程の中で起こりうるトラブルの原因をあらかじめ分析・予測して、原材料の入荷から製品の出荷までの全ての工程の中で、そのトラブルを防ぐために特に重要な工程において衛生管理を徹底し、製品の安全性を確保するというものです。

元は1960年代に宇宙食の安全性を確保するために作られたもので、そこからこの手法が広まっていき、現在では国連がガイドラインを示す世界的な食品衛生管理の基準となっています。

日本におけるHACCP

日本では1995年の食品衛生法の改正によってHACCPの考え方を取り入れた「総合衛生管理製造過程の承認制度」がスタートしました。

HACCPで提示されている内容とは違う部分もあるため、日本版HACCPとも言えるものでした。

しかし、これに対して「必ず施設や設備を整備しなければいけない」、「輸出食品に限る問題である」などの本来の内容とは異なる誤解を持つ事業者が多く、さらに任意だったこともあり、十分に普及はされませんでした。

そんな中、2018年の6月に改正食品衛生法案が可決され、2020年6月までに「原則全ての食品等事業者はHACCPに沿った衛生管理に取組むこと」が決められました。

予定通り、2020年6月から改正食品衛生法が施行され、HACCP基準の衛生管理が制度化されました。猶予は1年です。

以前の日本版HACCPとは異なり、任意ではなく義務化されているので、全ての食品に関わる事業者が守らなくてはいけなくなりました。

HACCP導入に必要な「7原則12手順」

食品関係の事業者がHACCPを導入する際には決められた7原則12手順を実施しなくてはいけません。

そこでこの「7原則12手順」について簡単に各内容をご説明しましょう。

手順1     HACCPのチーム編成

HACCPの導入は工場や組織全体で行うものです。

そのため、まずはHACCPに取り組むチーム編成が必要です。

HACCPは全ての生産工程に注目しながら製品の安全性を脅かす危害要因を取り除くための対策を練るものなので、調達や工務など各工程の情報を集めなければいけません。

そこで各部門の担当者を集めてチームを作ります。

これから説明していきますがHACCPの導入は複雑で手間がかかるため、外部から専門家を招くのも選択の1つです。

手順2     製品説明書の作成

次に製品の安全管理における特徴を示した製品説明書を作ります。

どんな原材料や添加物が使われているか、どんな特性があるかといった内容をまとめることで、生産過程の危害要因を分析する際の参考になります。

手順3     意図する用途及び対象となる消費者の確認

意図する用途とは加熱して食べるのか、それともそのまま食べるのかという使用方法のことです。

また、対象となる商品者とは主にどんな人が製品を食べるのかということで、病気になっている人など体の弱い人向けの食品を製造している場合は、より衛生に気をつける理由となります。

手順4     製造工程一覧図の作成

原材料を仕入れるところから出荷するまでの製造の全行程の一覧を作成します。

全体を把握することで特にどの工程に危害要因が発生する可能性があるかを分析することができます。

手順5     製造工程一覧図の現場確認

手順4で作った製造工程一覧図に間違いがないかどうか確かめるため、実際に現場で人や物の動きをチェックします。

もし相違点があればその都度修正していきます。

手順6・原則1     危害要因分析の実施

手順1から5までは手順のみでしたが、ここからは各手順に原則が加わります。

手順6〜12(原則1〜7)はHACCPを守る上で特に重要なプロセスです。

まずは工程ごとに食中毒菌、化学物質、危険異物といった危害の要因となるものを挙げていきます。

手順7・原則2     重要管理点の決定

手順6で挙げたような危害要因を除去、もしくは低減するための加熱殺菌、金属探知といった重要な工程を決めます。

これを重要管理点と呼びます。

手順8・原則3     管理基準の設定

手順7で決めた重要管理点が適切に管理されているかを判断するための基準を設定します。

管理基準には中心温度、速度、時間などがあります。

手順9・原則4     モニタリング方法の設定

重要管理点が適切に管理されているかを確認するためのモニタリング方法を決めます。

言い換えれば管理基準の測定方法を決めるということで、例えば管理基準が中心温度なら中心温度計での測定方法、時間なら時計を使っての測定方法などになります。

手順10・原則5 改善措置の設定

モニタリングをした結果、管理基準から逸脱していた場合に行う措置を決めます。

措置には廃棄や再加熱といった製品の取り扱い方や、機械の修理などが挙げられます。

手順11・原則6 検証方法の設定

HACCPに沿ってきちんと管理が行われているかを確認するための検証方法を設定します。

記録や検査などが方法として挙げられます。

手順12・原則7 記録と保存方法の設定

HACCPを守るために行った検証を記録し、さらにそれを保存する方法や期間を設定します。

万が一製造過程で問題が発生した場合はその記録からどの工程で問題が起きたのかを確認したり、管理状況の把握もでき、さらには原因追及にも繋がります。

徹底した衛生管理をしよう。
HACCP対応の工場にするためのポイント5つ

HACCPの基準を守り、問題のない製品を生産するためにはあらゆる場面で衛生管理を徹底しなければいけません。

そのためにソフト面とハード面の両方で改善が求められることもあるでしょう。

そこで最後にHACCPに対応した工場にするために押さえるべきポイントをまとめました。

これから工場を新しく建設する場合はこのポイントを知っていれば建設後の設備投資に余計な費用をかけなくて済みますから、食品工場の建設を控えている事業者も知っておきましょう。

工場の立地

工場がどんな場所に位置しているのかを知ることは衛生管理にとても役立ちます。

なぜなら周辺の環境や施設によって安全性を脅かすトラブルが発生しやすくなることがあるからです。

例えば周りにレストランなどの飲食店が多ければネズミやゴキブリが発生しやすく、工場内にも侵入する恐れがあります。

また、煙や灰を排出するような施設が周りにあり、土地の高低差や風向きによってこちらに飛んでくることがある場合も注意が必要です。

このような周辺環境から起因する衛生面の問題を把握し、相応の対策をしましょう。

作業スペースの入り口の導線

食品の製造を行う作業スペースは特に衛生管理を徹底しなくてはいけません。

そのため、外から異物を持ち込む要因となる入り口は特に安全性を確保するための対策が必要です。

例えば靴の裏からゴミを持ち込まないように靴を履き替える、服についた埃や髪の毛を落とすためにエアーシャワーを設置する、不衛生なトイレから直接入れないようにするといった対策が考えられます。

このように外部からの異物の侵入を防ぐためには導線作りが重要になり、どのように設備を配置するのか、入り口の構造はどうするのが適切かといったことを考えることが求められ、場合によってはレイアウトを変えなくてはいけないこともあります。

掃除をしやすい空間にする

衛生管理を徹底する基本といえば掃除です。

こまめに掃除をすることで異物混入を防ぐことができます。

床や壁の材質は汚れが取れやすいものにしたり、排水がスムーズになるような構造にしたり、天井の手入れがしやすいような構造にしたりと清掃がしやすい仕組みにしていれば清潔な状態を保ちやすくなります。

空調設備

食品工場は製品の品質を守るためにエアコンで温度管理をしていますよね。

エアコンは風を送るため、手入れが行き届いていないとホコリを出してしまう可能性があるので、衛生管理上気をつけなくてはいけません。

また換気設備も同様に注意が必要で、フィルターの設置などの対策をしなければ虫が工場内に侵入する原因となります。

その他の細かい設備

これまで挙げたポイント以外にも衛生対策のために注目すべきものがあります。

例えば食品工場内に菌を持ち込まないためには不必要にあちこち触れないことが大切です。

そこで水道は蛇口を回すタイプではなく、ペダルを踏んで水を出すものやセンサーに反応するものなど、多数の手が触れないような仕組みのものを導入すると良いでしょう。

また、ドアノブも同じような性質を持っているため、こちらもセンサーで自動で開閉するものを使うのが望ましいと言えます。

まとめ

2020年6月の改正食品衛生法により、「原則全ての食品等事業者はHACCPに沿った衛生管理に取組むこと」が決められました。

そのため食品工場はHACCPに対応することが求められています。

HACCP基準を満たすには決められた7原則12手順をこなす必要があります。

この原則と手順を守りつつ、衛生管理を徹底するためには工場内の設備や構造も必要があれば改善しなくてはいけません。

HACCP対応の食品工場にするためにはかなりの時間が必要なので早めに準備を開始しましょう。

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