この記事では次の内容をまとめています。
- ダブルトランザクション方式とは
- ダブルトランザクション方式を採用するメリット
- ダブルトランザクション方式の注意点
倉庫作業をもっと効率化したい、ダブルトランザクションが気になっているという人が知っておくべきことを全てまとめました。
ダブルトランザクション方式とは
倉庫内にピッキングエリアとストックエリアの2つを設け、倉庫作業を行う方式です。
固定ロケーションとフリーロケーションの両方の要素を持つ運用方法です。
ダブルトランザクションを導入すればピッキングも保管も効率的になります。
それぞれのエリアについて、特徴をご紹介します。
ストックエリア
大きなロットやケース単位で製品を保管します。ピッキングエリアの在庫が少なくなると、ストックエリアから補充します。
もちろん、ケース単位や大ロットでの注文が入れば、こちらからピッキングを行います。
作業頻度は低いので、通路幅が狭いのが特徴です。
ピッキングエリア
ピッキングを行うためのエリアです。
バラやケース単位など、ストックエリアよりも小さい荷姿で製品を管理します。
人が行き交う場所なので、通路幅を広く取るのが一般的です。
倉庫がダブルトランザクション方式で解決できる課題
ダブルトランザクションは倉庫が抱える様々な問題を解決することができます。
例えば、次のようなものです。
- ピッキングに時間がかかる
- 倉庫のスペースを上手く活用できていない
- 倉庫が狭くて効率的に保管できない
- 通路が狭く、従業員の移動がしにくい
こうした課題を抱えているなら、ぜひダブルトランザクションの導入を検討してみましょう。
倉庫がダブルトランザクション方式を採用するメリット3つ
この章ではダブルトランザクション方式で倉庫を運用するメリットをまとめました。
1 | ピッキングの移動距離が短くなる |
2 | ピッキングの作業効率が高い |
3 | 倉庫のスペースを活用できる |
ピッキングの移動距離が短くなる
ダブルトランザクション方式では保管する場所とピッキングする場所が分かれているので、ピッキングエリアの面積は小さくなります。
そのため、ピッキング時の移動距離は短くなります。すると、従業員にとっては疲れにくいというメリットがあります。
倉庫で働く人にとって、仕事の辛さやキツさは退職理由になることもあるので、離職を防げるという効果も期待できます。
ピッキングの作業効率が高い
ピッキング時の移動距離が短いことから、作業効率が高くなるというメリットも生まれます。
効率を高くすることは倉庫にとって永遠の課題です。
もし、今、作業効率が低いと感じているなら、ダブルトランザクションを採用し、レイアウトを変えることで解決に繋がるかもしれません。
効率がアップすれば、1日でできる作業量が増え、売上の増加も見込めます。
倉庫のスペースを活用できる
ダブルトランザクションでは空間を有効活用できます。
あとからも詳しくご説明しますが、ダブルトランザクションではストックエリアをピッキングエリアの上に配置するやり方があります。
これなら、それぞれのエリアを全く別のところに設ける場合に比べて、必要なスペースが小さくなります。
つまり、ダブルトランザクション方式はそれほど広くない倉庫でも採用でき、保管効率やピッキングの効率を高めることができるということです。
倉庫がダブルトランザクション方式を採用するときの注意点4つ
この章では倉庫がダブルトランザクションを採用するときに知っておくべき注意点をまとめました。
1 | 在庫を切らさない |
2 | ストックエリアからの補充の基準を決める |
3 | ピッキングエリアを狭くしすぎない |
4 | ダブルトランザクションが向いていない倉庫もある |
在庫を切らさない
ダブルトランザクションではピッキングエリアとストックエリアが分かれているので、在庫を切らさないように注意が必要です。
ピッキングエリアの在庫は随時ストックエリアから補充する仕組みになっています。
もし、ピッキング時に在庫が切れていたら、補充が完了するまで待たなくてはならず、場合によっては納期に遅れることも考えられます。
また、慌てて補充をしようとすることでミスが発生し、事故が起きることも考えられます。
ストックエリアからの補充の基準を決める
ピッキングエリアの在庫を切らさないためにできる対策の1つは補充するタイミングを決めることです。
補充するタイミングとしては次のようなものが考えられます。
- 出荷予測から在庫不足の発生が予想されるときに補充する
- 午前中に在庫補充の時間を設ける
在庫不足の可能性や出荷予測を知るには在庫管理システムがあると便利です。
在庫不足を避けるための自社での対策を考えてみましょう。
ピッキングエリアを狭くしすぎない
ピッキングエリアを狭くしすぎないようにすることが大切です。
ダブルトランザクションではストックエリアをピッキングエリアの上に設ければ面積が広くない倉庫でも導入できます。
だからといって、ピッキングエリアが狭すぎると、ピッキングする従業員の通行に支障が出て、作業を終えるのに時間がかかり、作業効率は悪くなってしまいます。
そこで、ピッキングエリアは移動がしやすいよう、通路を広く取れるようなレイアウトにしましょう。
ダブルトランザクションが向いていない倉庫もある
ダブルトランザクション方式は全ての倉庫におすすめできるわけではありません。
なぜかというと、場合によっては向かない倉庫もあるからです。例えば次のような倉庫です。
- 出荷頻度が低い
ピッキングの効率を高める方式なので、出荷数が少ないと効果は出にくい。
- 補充のための移動がしにくい
定期的にストックエリアからピッキングエリアに補充をするので、在庫を移動させにくいレイアウトと手間がかかる。
- ケースやロット単位での注文が多い
大ロットでの注文が多い場合、ピッキングエリアを別で設ける必要性が低いため。
ダブルトランザクションは小さい製品を扱う倉庫に向いている。
このような条件に当てはまっていないか、必ず導入前に確認しておきましょう。
ダブルトランザクション方式のステップ2つ
ダブルトランザクションに必要な2つのステップをご紹介します。
ステップ1 ストックエリアとピッキングエリアに分ける
倉庫の中に、保管を行うストックエリアとピッキングを行うピッキングエリアの2つのエリアを設けます。
エリアの設け方については次の章で詳しく解説します。
ステップ2 ストックエリアからピッキングエリアに補充する
ピッキングエリアの在庫が少なくなってきたら、ストックエリアから随時補充を行います。
先ほども触れましたが、ピッキングエリアの在庫がなくなると、ピッキング中に補充を行うことになり、作業効率が一気に落ちるので、余裕を持って補充を行うのがポイントです。
ダブルトランザクション方式のレイアウト方法2つ
ストックエリアとピッキングエリアの配置方法は主に2種類あります。
それぞれの特徴をご紹介していきます。
縦配置
ピッキングエリアの上にストックエリアを設けます。
縦に長い立体的なレイアウトなので、面積が狭い倉庫でも導入しやすいです。
縦配置では上の荷物を下ろすための設備やツールが必要です。
また、高いところに荷物を配置することで、在庫が落下したり、下の在庫を潰したりするリスクがあるため注意が必要です。
横配置
ピッキングエリアとストックエリアを別々の場所に配置するやり方です。
スペースに余裕のある倉庫に向いています。
ダブルトランザクション方式と固定ロケーションの違いとは
ダブルトランザクションは固定ロケーションと一見似ていますが、両者には違いがあります。
固定ロケーションでは在庫を決まった場所で保管し、ピッキングもその場所で行われます。
一方で、ダブルトランザクションは保管をする場所とピッキングをする場所が分かれています。
これが一番大きな違いです。
ピッキングエリアは固定ロケーションが採用され、ストックエリアはフリーロケーションで管理されることが多いです。
まとめ
ダブルトランザクションとは在庫の保管を行うストックエリアと、ピッキングを行うピッキングエリアを分けて倉庫を運用するものです。
保管効率もピッキングの作業効率も高めることができます。
ただし、ダブルトランザクション方式で効果が出るかどうかは倉庫の広さや扱っている製品の特徴によっても変わります。
そこで、自社の倉庫に向いているかどうかを見極めた上で取り入れるのがおすすめです。