工場にとって夏は天敵です。
工場は建物の性質上どうしても内部の気温が上がりやすく、夏の日差しが強い日には厳しい暑さになります。
夏は社員が大量の汗を流しながら仕事をしているという工場も多いでしょう。
夏は暑くなるのは普通のことですが、何も対策をしないままだといつか社員が体調を崩したり、暑さを理由に社員のモチベーションが落ちたりと色々なデメリットが生じるかもしれません。
全員が快適に作業をするためには暑さ対策は欠かせません。
しかし、暑さ対策には色々な種類があり、どの方法を選べばいいのか分からないという方もいるでしょう。
暑さ対策を成功させるには各方法の特徴やメリット・デメリットを知って工場に合ったものを取り入れることが大切です。
そこで今回は夏を快適に過ごせる工場・倉庫にするための方法6つと選ぶときのポイントを詳しくご紹介していきます。
工場や倉庫の暑さ対策を考えている方、社員が快適に過ごせる工場にしたいという方はぜひ参考にしてください。
生産効率を下げない。工場・倉庫が暑さ対策をするべき理由4つ
暑さ対策をしなければと思いつつ、なんだか導入が面倒そうに感じたり、お金がかかるからなんとなく避けてしまって出来ていないという方は多いと思います。
しかし、工場にとって暑さ対策をすることはとても大切なことです。そこでまずは工場や倉庫が暑さ対策をするべき理由を4つご紹介しましょう。
年々暑くなっているから
19世紀の終わり以降、日本の平均気温は100年で1.2℃の割合で上昇しています。
昔に比べると最近の夏はかなり暑くて過ごしにくくなったと感じている方も多いのではないでしょうか。
これからも地球温暖化の影響によってこの傾向は続くと考えられます。
つまり、これからもっと夏になると工場で過ごしにくくなるということです。
そこで早くから対策をすることでこれからの気温上昇にも耐えられるようにすることが重要です。
熱中症を防げる
暑さ対策をするべき理由はなんといっても熱中症を防ぐためです。
熱中症になってしまうと体に不具合が起こるだけでなく、最悪の場合は死に至ります。
大事な社員の健康を守るためにも経営者として暑さ対策をしなくてはいけません。
作業効率の低下を防げる
例え暑さで体調が悪くならなくても、社員にとっては暑いことがストレスになります。
汗を度々拭わなくてはいけなかったり、服が汗で濡れて不快な状態が続けばやる気も損なわれます。
ときにはその状況に対して何も対策をしてくれない経営者を恨むこともあるかもしれません。
その結果として作業に身が入らず作業効率が落ちてしまうことが考えられます。
これは当然工場にとって良くありませんよね。
反対に夏でも快適に過ごせる工場になれば社員が作業を集中して行うので生産効率が下がることを防げます。
製品の品質を守れる
工場で扱う資材や品質の中には周りの気温があまりに高くなると融解したり変形したりするものもあるかもしれません。
工場の気温を管理できるようになれば大切な製品を守ることにも繋がります。
製品がダメになってしまえば当然損害が発生するので暑さで変化が生じてしまいそうな製品を扱っているなら暑さ対策をしましょう。
断熱・遮熱をする。
夏を快適に過ごせる工場・倉庫にするための方法6つ
夏でも快適に過ごせる工場や倉庫にするための方法はたくさんあります。
そこで工場の暑さ対策の方法を6つご紹介し、それぞれ特徴をまとめていきましょう。
エアコンを設置する
夏の暑さ対策と聞いてまず思い浮かぶのがエアコンではないでしょうか。
暑い夏でもエアコンの効いた部屋では快適に過ごせますよね。
大きい工場の場合は普通の家やオフィスで使うものでは全体を冷やすことができないので大容量タイプが必要です。
また、天井が高い場合は吊り下げるタイプのエアコンを使うと効果的です。
便利なエアコンですが、大きな1台だけを利用しているともし壊れれば直るまで暑い環境の中で耐えなければいけなくなるというデメリットがあります。
屋根に断熱シートを覆う
工場の暑さ対策は建物の外からも出来ます。
遮熱効果があるシートで屋根を覆えば屋根が熱くなって工場内の気温が上昇するのを防げます。また凸凹した折板屋根の上からシートを覆うことで間に風が通るようになり、熱気を滞留させず流せるようになります。
今ある建物に上からシートを被せるだけなので簡単に導入できますし、エアコンなどの機械のように故障するリスクがなくある程度長い期間使えるのがメリットです。
屋根をスプリンクラーで冷やす
屋根が熱くなりすぎないように、屋根の上にスプリンクラーを設置して水を撒くことで直接冷やすという方法もあります。
スプリンクラー以外にタンクやポンプなども必要なので、設置するのに大掛かりな作業が必要なのではないかと思う方もいると思いますが、意外と取り付けは簡単で導入費用もあまりかかりません。
天井に撒く水のために水道代がかかりますが、月々数千円程度だそうで、快適に作業できることを考えれば決して惜しくはない出費ですよね。
シーリングファンを設置する
シーリングファンとは天井につける大きな扇風機のことです。
エアコンに比べれば安価に導入できます。
エアコンのように室内を冷やすというよりは空気を循環させることで快適な環境を作り出します。
建物の構造によっては設置が難しかったり、工場で扱う製品の内容によってはシーリングファンは適さないこともあるので導入する際には十分検討が必要です。
工場内でミストを撒く
夏場に街中を歩いているとミストが噴射されていることがたまにありますよね。
直接ミストを浴びると一気に涼しくなります。
あのミストを工場内に設置することで暑さ対策をすることができます。
製品が濡れてしまうことを懸念する方もいると思いますが、意外と濡れないので工場の中でも使用することができます。
また冬には加湿のために稼働させることも可能です。
電気代もあまりかからないので夏場の電気使用量を抑えることにも繋がります。
スポットクーラーを設置する
スポットクーラーは大きなホースのようなものから冷たい空気が排出されるクーラーです。
下部にはキャスターがついているので自由に動かすことができます。
そのため電源プラグを挿すだけですぐに使えます。
導入に手間がかからないのがメリットですね。
ただし、冷たい空気を出す過程でタンクに水が溜まるので排水処理が必要だったり、ある一部分だけしか冷やさないので工場全体を快適にすることはできないというデメリットがあります。
導入のしやすさ、導入費用・・・
工場の暑さ対策を選ぶときのポイント5つ
エアコンや断熱シートなど暑さ対策には色々な方法がありますが、どれが最適なのか分からずに迷う方もいるかもしれません。
そこで工場の暑さ対策を選ぶときの参考になるよう、選ぶときに確認すべきポイントをまとめました。
導入のしやすさ
暑さ対策を選ぶにあたって導入のしやすさは大事なポイントです。
大型のエアコンやシーリングファンなどを後から設置するとき、場合によっては工場での作業を一旦ストップしなくてはいけなくなるかもしれません。
一方で屋根に貼り付けるだけの断熱シートやスポットクーラーなどは工場の生産を止めることなく導入でき、工場の売上や生産効率に影響を与えません。
導入コスト
コストも当然重要なポイントの1つです。
どの方法が合っているかは会社の経営状況によっても異なります。
あまり暑さ対策にお金をかけられないのであれば安価で導入できるものを選ばなくてはいけません。
ただし、単に最初にかかる費用だけでなく、長期的なメリットも考えた上で決断することも大切です。
例えば大型で天井から吊るすタイプのエアコンは初期費用はかかるもののそれ以降は快適な環境を確保できるようになるので、導入費用はかかっても導入する価値はあります。
光熱費
経営者にとって月々の光熱費も気になるポイントだと思います。
エアコンは工場や倉庫全体を冷やせるのでとても便利ですが、大きな空間で稼働しているため、当然電気代はかなり高くなるでしょう。
一方でスポットクーラーやミストを撒く場合はエアコンよりは月々の電気代を抑えられます。
工場を運営する上で外せない固定費だからこそ安く済む方法を考えたいですよね。
冬でも役に立つか
暑さ対策の方法を考えるにあたって冬でも役に立つかどうかも判断の基準になるでしょう。
エアコンや断熱シートは冬も工場内を暖かくするために機能してくれますし、ミストは加湿するのに役立ちます。
一度導入すれば夏も冬も活躍してくれれば効率的ですし、費用もかからないので良いですよね。
併用したときの効果
暑さ対策の方法は1つだけでなく2つ以上取り入れることで光熱費を抑えられることもあります。
例えば断熱シートを貼った上でエアコンを設置すれば工場の温度があまり上がらないのでその分エアコンの設定温度を下げることになり、電気代を抑えられます。
また屋根にスプリンクラーをつけたときも同様の効果が出るでしょう。
このように暑さ対策を考えるときはいくつか方法を組み合わせることでより効果的に使えないか考えてみましょう。
まとめ
工場は建物の性質上、夏に暑くなりやすく、社員は過酷な環境の中で仕事をしなくてはいけません。
暑い中作業をしていると熱中症のリスクがあったり、生産効率が起きたりとデメリットがありますから、工場の経営者は暑さ対策について考える必要があります。
エアコン、断熱シート、スプリンクラーと色々な方法があるので、工場に合った方法を選びましょう。
大きいエアコンなどの機械は後から導入すると生産をストップしなければいけない場合もあるので、これから工場を建てる場合は建設を始める前にどのような方法を取り入れるか考えておくのが望ましいです。