この記事では次の内容をまとめています。
・システム建築と在来工法のハイブリッド型の工法とは?
・ハイブリッド型の工法のメリット
・ハイブリッド型の工法のデメリット
建設コストを抑えたいが、ある程度のデザイン性も欲しいという方が知っておくべきことをまとめました。
システム建築とは?
特徴
システム建築は部材を標準化し、設計や施工といった建設プロセスをシステム化した工法で、高品質・低コスト・短工期で建物を建てられるのが特徴です。
構造を徹底的に合理化しており、規格化していることから、デザインの自由度は低く、どの建物も同じようなシンプルな見た目になります。
大空間の建物や、平屋の建物が得意です。
用途
工場、倉庫・物流センター、事務所、店舗、運動施設など。
基本的に商業用の建物に使われることが多く、あまりデザイン性にこだわらない場合に向いています。
在来工法とは?
特徴
日本で昔から使われている工法で、柱と梁を用いた構造になっており、オーダーメイドで建設を行うのが特徴です。
依頼主のニーズに合わせて理想的な建物を作れるのが大きなメリット。
一方で、次のようなデメリットがあります。
- 設計に時間がかかる
- 依頼ごとに使用する部材や施工の進め方が変わるため工期が長い
- 工期が長い分、重機のレンタル料や人件費がかさんで建設コストが高くなる
用途
住宅、店舗など。
デザイン性を重視したい場合や、理想通りの建物を建てたい場合に向いています。
システム建築と在来工法のハイブリッド型の工法とは?
システム建築と在来工法の両方を用いて建物を建てることもできます。
いわばハイブリッドの工法にすることで、お互いの弱点を補い、「良いとこどり」の建設ができます。
例えば、基本的にはシステム建築で建てるものの、デザイン性を出したい部分だけ在来工法を用いれば、建設費を抑えつつ、理想のデザインを取り入れることができます。
システム建築だけ、在来工法だけの建設では満足のいく建設ができなさそうなときは、両方用いるハイブリッド型の工法を選ぶことも検討してみましょう。
システム建築と在来工法のハイブリッド型の工法のメリット4つ
この章ではシステム建築と在来工法のハイブリッド型の工法を採用するメリットをご紹介します。
①ニーズに応えやすい |
②デザイン性のある外観を実現できる |
③在来工法で建てるよりも建設費が安く済む |
④在来工法で建てるよりも工期が短い |
ニーズに応えやすい
システム建築と在来工法を両方取り入れると、より幅広いニーズに応えられるようになります。
なぜなら、2つの工法はそれぞれ異なるメリット・デメリットを持つからです。
もし、システム建築では建てられないと言われた場合でも、在来工法を建物の一部に取り入れることで実現可能になることもあります。
一度、建設会社に相談したけれど断られたという方も諦めずに在来工法とシステム建築のハイブリッド型の工法も検討してみてください。
デザイン性のある外観を実現できる
ハイブリッド型の工法なら、システム建築を採用しつつ、デザイン性の高い外観の建物を建てることが出来ます。
システム建築の弱点の1つがデザインの自由度の低さ。
外観をおしゃれなデザインにしたいという場合、システム建築ではニーズを完璧に叶えられないこともあります。
そんなとき、外観だけ在来工法で造ることで問題が解決します。
ちなみに、工場や倉庫はシンプルな外観を採用する企業が多いため、おしゃれな外観にすることで
- 他社との差別化になる
- 取引先からの印象が良くなる
- 従業員の仕事のモチベーションが上がる
といったメリットがあります。
在来工法で建てるよりも建設費が安く済む
システム建築と在来工法のハイブリッド型の工法は、全て在来工法で建てる場合に比べて建設コストが安くなります。
要望を叶えられる建設がしたいけれど、全て在来工法で作ろうとすると予算オーバーしてしまう・・・という場合は、システム建築で造っても問題ない部分にシステム建築を採用することでコストダウンを図りましょう。
在来工法で建てるよりも工期が短い
全て在来工法で建てる場合に比べて工期が短くなるのもメリットです。
在来工法はシステム建築のように規格化された工法ではないため、設計は1から進めることになり、時間がかかります。
また、使用する部材も建物によって異なるため、1から準備することになります。
このようにどの工程でも時間がかかるため、全体の工期も長くなりがち。
一方で、システム建築はコンピューターでサッと設計が出来ますし、部材は工場で生産するため、建設はサクサク進みます。
システム建築と在来工法のハイブリッド型の工法のデメリット3つ
この章ではシステム建築と在来工法のハイブリッド型の工法を取り入れるデメリットをご紹介します。
①システム建築で建てる場合に比べてコストがかかる |
②システム建築で建てる場合に比べて工期が長くなる |
③それでもニーズに対応しきれないことも |
システム建築で建てる場合に比べてコストがかかる
システム建築だけで建てる場合に比べると建設コストは増えてしまいます。
もし、建設コストを最小限に抑えたいという場合はハイブリッド型ではなく、完全にシステム建築で建てるのがおすすめです。
システム建築で建てる場合に比べて工期が長くなる
工期は全てシステム建築で建てる場合に比べて長くなります。
時間に余裕がある場合は問題ありませんが、
- 早く新しい建物がほしい
- 少しでも早く稼働させて収益性を上げたい
という場合にはシステム建築のみで建てる方が合っています。
それでもニーズに対応しきれないことも
システム建築と在来工法のハイブリッド型は幅広いニーズに対応することが出来ますが、それでも全てのニーズに対応しきれない場合もあります。
例えば、デザイン性の高い建物にしたいとき、ハイブリッド型でなく全て在来工法でなければ理想通りに出来ないことも。
また、一部にシステム建築を取り入れることでコストを抑えようとしても、どうしても予算オーバーしてしまうというケースもあるでしょう。
システム建築と在来工法のハイブリッド型の工法を採用するときの注意点5つ
この章ではシステム建築と在来工法のハイブリッド型の工法を選ぶときに注意すべきポイントをご紹介します。
①システム建築と在来工法の施工実績が多い建設会社を選ぶ |
②担当者と建物のイメージを擦り合わせる |
③見積もりと最終的なコストをよく確認する |
④改築や増築を見据えて設計する |
⑤メンテナンスについて確認する |
システム建築と在来工法の施工実績が多い建設会社を選ぶ
システム建築の施工実績も在来工法の施工実績も多い建設会社を選びましょう。
なぜなら、両方のノウハウに精通していると安心して依頼できるからです。
欲を言えば、ハイブリッド型の工法を用いた建物の施工実績があるとより安心です。
企業のサイトから建設実績を確認してみましょう。
担当者と建物のイメージを擦り合わせる
打ち合わせの際にどのような建物にしたいのかを担当者に伝え、イメージの擦り合わせをしましょう。
ニーズを正しく理解してもらうことで「ここは在来工法にした方がいい」「システム建築でも対応できる」と的確なアドバイスをもらえます。
見積もりと最終的なコストをよく確認する
見積もりはよく確認しましょう。
特に、基本的にシステム建築を用いるものの、一部だけ在来工法を取り入れる場合、全てシステム建築で建てる場合に比べて高くなるため、予算オーバーしていないかよく見ておきましょう。
万が一、予算を超えていた場合、部材のランクを変更したりすることで調整することも可能なので、費用を抑えたい場合は遠慮せずに担当者に伝えましょう。
改築や増築を見据えて設計する
ハイブリッド型の工法は異なる2つの工法を用いているため、構造は少し複雑です。
そのため、もしも将来、面積を増やしたり、リフォームする可能性がある場合は、改築や増築が可能な設計にしておきましょう。
メンテナンスについて確認する
異なる工法が混在しているため、将来的なメンテナンスや修繕の際には場所によって部材の入手難易度が変わり、施工にかかる時間にも差が出ます。
このように、メンテナンスが少し複雑になるのはデメリットです。
まとめ
在来工法とシステム建築の両方を用いて建設する「ハイブリッド型」の工法は、2つの異なる工法を使うことで、お互いの「良いとこどり」が出来ます。
そのため、システム建築だけ、在来工法だけではニーズを叶えられなかったという方にもおすすめです。
気になる方はハイブリッド型の建設に対応している建設会社に問い合わせをして、建物への要望を伝えましょう。