この記事では次の内容をまとめています。
- ジャストインタイム物流の特徴
- ジャストインタイム物流のメリット
- ジャストインタイム物流の問題点
ジャストインタイム物流の導入を検討している、物流をもっと効率化したいという方が知っておくべき内容を全てまとめました。
ジャストインタイム物流とは
ジャストインタイムとは「ちょうど良い時に」という意味で、ジャストインタイム物流は「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ配送する」というものです。
元々は「トヨタ生産方式」と呼ばれる生産管理に使われていたシステムを物流に取り入れたのがこのジャストインタイム物流です。
配送量の最適化を目指すため、定時配送、多頻度小口配送などが取り入れられます。
ジャストインタイム物流で得られるメリット5つ
この章ではジャストインタイム物流を導入することで得られるメリットをご紹介します。
1 | 適切な在庫量になる |
2 | 倉庫にスペースが生まれる |
3 | 在庫管理コストを減らせる |
4 | 作業効率が上がる |
5 | 顧客満足度が上がる |
適切な在庫量になる
ジャストインタイム物流では必要なものが必要な量で輸送されるため、在庫を適正量に保つことができます。
すると、今までの過剰在庫がなくなるため、在庫管理の手間を省くことができます。
具体的には、入庫作業、仕分け、棚卸しなどが最小限で済むようになります。
ジャストインタイム物流は在庫が必要量よりも多くなってしまいがちな倉庫に向いている方式です。
倉庫にスペースが生まれる
在庫量が適正になることで倉庫にスペースができるというメリットもあります。
スペースが小さくなればそれだけ保管にかけるコストが小さくなります。
削減できた在庫量が多ければ、より小さい倉庫に移転することも可能になるかもしれません。
また、入庫作業やピッキングの際の移動距離が短くなり、作業時間が短くなるのはもちろんのこと、従業員の体力の負担を減らすこともできます。
スペースがなくなってきている、保管コストを下げたいという倉庫にとってはかなり魅力的ですね。
在庫管理コストを減らせる
ジャストインタイム物流を採用すると、在庫管理コストを減らすことができます。
まず、先ほども触れたように、倉庫のスペースが小さくなることで、保管コストが減ります。
また、在庫量が適正になることで、今まで過剰在庫にかけていた管理費がなくなります。
在庫が多すぎて商品の賞味期限や使用期限が過ぎてしまい、廃棄なり、コストが無駄になるということも避けられます。
さらには、在庫管理の手間が省けると作業時間が減るので人件費も削減できます。
このようにコスト面でのメリットが多いです。
作業効率が上がる
必要なタイミングで配送するためには各工程がスムーズに進むようにしなくてはいけません。
そのために色々と工夫することで物流の効率化が進みます。
作業内容を見直していると、今までは当たり前だったけれど、改めて考えると無駄があったと判明することは珍しくありません。
こうした問題点を見つけ、改善していくことで、どんどん作業効率が上がっていきます。
顧客満足度が上がる
ジャストインタイム物流は顧客満足度の向上を助けます。
なぜなら、在庫を適正に保つことで、顧客が欲しいものをすぐに届けることができるからです。
また、「少量だけ欲しい」というニーズにも応えることができます。
こうしたサービスを提供し続けていると、満足していただける上に企業への信頼性も増すでしょう。
ジャストインタイム物流を導入すればサービス内容で他社と差別化することにも繋がります。
ジャストインタイム物流の問題点4つ
この章ではジャストインタイム物流で発生しやすい問題点をまとめました。
1 | 緊急時に在庫がなくなりやすい |
2 | 輸送コストが上がる |
3 | ドライバーの待ち時間が発生 |
4 | ドライバー・トラック不足 |
緊急時に在庫がなくなりやすい
ジャストインタイム物流では在庫の量を最低限に保ちます。
在庫管理のコスト面では非常にメリットがありますが、一方で、在庫切れを起こしやすいというデメリットがあります。
例えば、災害などで物流が止まった場合、入荷がなくなるので、在庫がすぐに尽きてしまいます。
また、急にいつもよりかなり多い量の発注があった際も対応が難しいです。
在庫切れを起こすと、取引先にも影響を与えます。
在庫量を適正化する際はこうした面があることを覚えておかなくてはいけません。
輸送コストが上がる
「必要な時に、必要な量を」という物流では多頻度小口配送が取り入れられます。
すると、トラックの積載率は下がり、発送頻度は高くなります。
このとき、人件費やトラックの燃料代が増えるため、配送コストが上がるという問題が生じます。
ジャストインタイム物流は顧客の「必要な時に欲しい」というニーズに応えて、サービスの差別化を図れますが、顧客の声に合わせて発送頻度を上げる分、輸送コストは上がります。
在庫コストは下がるものの、配送コストが上がることを知っておきましょう。
ドライバーの待ち時間が発生
ジャストインタイム物流ではドライバーの待機時間が増えるというデメリットもあります。
なぜなら、指定の時間での納品を守るために、ドライバーは倉庫や取引先に早く到着するからです。
これはドライバーの長時間労働に繋がりますし、燃料も無駄にしてしまいます。
ドライバー・トラック不足
多頻度小口配送、待機時間が長いといった要因からドライバーやトラックが不足するという問題が起きます。
ただでさえ人手不足が問題となっている物流業界でこれは大きな痛手ですよね。
この問題が深刻になれば、「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ配送する」というジャストインタイム物流の原則が守れなくなってしまいます。
ジャストインタイム物流の成果を最大にするポイント4つ
この章ではジャストインタイム物流の成果を最大限にするために必要なことをまとめました。
1 | クロスドック拠点を設ける |
2 | 共同配送 |
3 | ミルクラン方式 |
4 | 配車管理システム |
クロスドック拠点を設ける
クロスドックとは複数の仕入先からの荷物を入荷した後で、倉庫へ保管せずにそのまま仕分けして出荷する、いわゆる「積み替え」のことです。
荷受け場(ドック)から出荷場(ドック)へ荷物が移動していくことからこうした名前が付けられたと言われています。
この拠点を持つことで、ジャストインタイム物流の課題であった配送コストを削減することができます。
さらに、入出庫作業などの在庫管理の手間が省けたり、倉庫のスペースを小さくできたりするメリットもあります。
共同配送
複数の企業や事業所が荷物を持ち寄って、同じ地域の荷物を集めて1つのトラックやコンテナに積み込んで、共同で配送することです。
通常、各企業は自社の荷物だけを運ぶところを共同で配送することによってトラックの積載率を上げることができます。
小口多頻度配送が求められる時代に合っている配送方法と言えます。
他にも
- ドライバーの負担軽減
- 人手不足の解消
- 二酸化炭素の削減
といったメリットがあります。
ミルクラン方式
普通は商品を発注したら、荷物が届くのを待ちますが、この方式では購入者が各配送元まで決められたルートで商品を取りに行きます。共同配送の1種です。
牛乳メーカーが酪農家を巡回して生乳を集めていた様子に似ているため、この名前がついたと言われています。
納品量がトラック1台分より少ない場合に使われることが多く、積載率を上げ、配送コストを削減することができます。
また、荷物が一気に届くので、検品作業を一度に済ませることができるというメリットもあります。
配車管理システム
ジャストインタイム物流はドライバーの待ち時間が増えたり、人手不足を引き起こしたりするのが課題です。
こうした課題を解決するのが配車管理システムです。
車両の選定や配送ルートを最適化するため、配送業務の効率を上げることができます。
近年はAIによる高精度なシステムもあり、配車業務を自動化することができるようになっています。
毎日行う業務だからこそ、こうしたシステムを活用していきたいですね。
まとめ
ジャストインタイム物流とは「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ配送する」というものです。
かつては大量の荷物を一気に配送することが多かったですが、最近では少しの量を多頻度で配送するニーズが高まっており、ジャストインタイム物流はそうしたニーズに応えることができます。
デメリットも考慮に入れつつ、採用することで企業にメリットはあるか慎重に検討しましょう。