大規模な建設となる工場や倉庫では、一度の建設に多額のお金がかかります。
一見、当たり前のようにも感じますが、できる限り費用をかけずに建てたいと関係者なら思うはずです。
では、費用をかけないためにできることはないのでしょうか?
資材・作業・人件費などをよく見ると、コストダウンできる所が隠れています。
今回は、コストダウンできるポイントやコツをご紹介します。
コストダウンできるポイントは4つ
工場や倉庫の建設でコストダウンできるポイントは4つあります。
- 土地・土間
- 資材
- 人件費
- 工程管理
どれも建設する際には重要な部分です。本当に重要なものだけを残していくことで、工場や倉庫を建設する意義も再確認できます。
土地・土間のコストダウンについて
工場や倉庫を建設するには必ず目的があり、物流・製造など条件に合わせて土地を探していきます。
この土地探しの段階から、コストダウンすることができます。
敷地が狭いと、資材運搬に費用がかかる
敷地が狭いことで資材運搬に使用する車の乗り入れが困難となります。
工場や倉庫の建設では使用する鉄骨など資材が大きいので、大型車の乗り入れは避けられません。そんな時に敷地が狭いことで現場に資材が搬入することができなければ、別の車を用意するなど余分な費用が発生します。
また、資材の運搬だけでなく建設後に、工場や倉庫が稼働を始めてからも同じような問題が起こる可能性があります。
形の整った建物が建てられる
建物は正方形のように形が整っている方が費用が安くなります。形が凸凹していると作業が増えてしまいます。鉄骨・外壁や断熱においても同じなので、形の整った建物が建てられる土地を見つけてください。
土間の厚み・素材を分ける
工場や倉庫の床を水平に保ち、建物が崩れないように支えているのが土間です。
広い建物の中で土間にかかる負担は一定ではありません。
- 製造ラインなど機械を設置する場所
- 搬入出で車輌が通る場所
- 軽作業や事務所となる場所
使用目的によって重量のある機械が設置されるなら、支えるために土間は厚くなります。逆に人が作業する場所であれば、土間を浅くすることも可能です。
計画の段階で稼働後の状態を考え、土間の厚さや素材を使用目的によって変えることで、コストダウンをすることができます。
資材のコストダウンについて
計画・設計時に、耐久性・耐震性に加え環境や風土に合わせて資材を選んでいきます。
資材をコストダウンさせることは、劣化が早かったり、災害に耐えれないのでは?と不安に思うかも・・・。でも、そんな心配なく資材をコストダウさせる方法があります。
鉄骨を均等に配置する
骨組みとなる鉄骨の配置を均等にすることで、コストダウンとなります。
鉄骨の配置が、狭い・広いなど一定ではない間隔で組み立てられると、建屋のバランスが悪くなります。そして、その不安定さを補強するためには梁の強度を上げるなど別の部分で費用がかかります。
工場や倉庫の出入り口・搬入出の開口部などを考慮して、配置していきましょう。
資材は規格サイズを使用する
規格サイズの資材を使用するためには、以下のことに注意してください。
- 特注品(オーダー)を避ける
- 天井・壁・床など、同じ材質の物を揃える
規格外の資材を使用すれば、材料費以外にも関わる業者(職人)も増えてしまうので、工場や倉庫の特性に合わせて統一した資材を使用してコストダウンしてください。
また、規格サイズの資材を使用することで、部品調達も容易にすることができるのは、大きなメリットです。
屋根・外壁について
工場や倉庫の目的によっては、環境の厳しい場所に建設することもあります。
- 海風による塩害(錆び)
- 大雨による土砂崩れ
こうした風土や気候による災害は避けられません。
建物の耐震とともに、屋根や外壁には十分な対策が必要です。計画の段階で情報を集めて対応してください。
電気・空調の最適化
工場や倉庫では、電気・空調を適切な場所に配置して、効率よく稼働させることが必要です。
そして、必要な電力を抑えることは、省エネ対策となりコストダウンにもなります。
特に電力を消費するのは、3つあります。
- 機械
- 照明
- 空調
製造をメインとする工場であれば、機械の稼働に電力は欠かせません。
工場での生産計画に合わせて必要となる機械の数と配置を明確にして、電力を抑えます。
工場や倉庫では、窓や出入り口の位置や数が限られています。
ほこりによる機械の故障を恐れたり、適切な温度と環境の中で品物を保管するからです。
それでも真っ暗な中で作業することはできませんから、照明として必要な電力も確認しておきましょう。
空調は、機械の熱エネルギー発生や作業員の労働環境を整えるために不可欠です。
工場や倉庫の特性と規模、屋根や壁に熱のこもりやすい素材を使用していないか?空調を配置する位置を工夫することで、コストダウンできます。
コストダウン・環境エネルギーと、電気と空調の最適化はメリットも大きいですね。
人件費について
大規模な建築工事ですから、関わる業者も多く人件費もかかります。
これを当たり前と思ってしまわず、確認してください。
実際に作業をするのは、誰なのか
住宅メーカーや工務店は、家を建てる契約をしても、実際には下請け業者が建築工事をしています。
これにより、発生するのがマージンです。下請けさらには孫請けと呼ばれるように、作業に関わる業者が多いほどマージンも増えていきます。
工事を依頼する側としては無駄なお金にしか思えません。
工場や倉庫の建設でも同様なことがあります。
マージンについては、工事費の一部として含まれるケースも多いので気づけないこともあります。
提示された金額が高額だと感じる時には、業者側に確認することも考えておきましょう。
工程管理について
建築工事が予定通りに進めていけるように、工程管理は必要です。
工程期間に終えられることもコストダウンとなります。
大規模な建築工事なので、工程期間には十分なゆとりを設けていますが、天候により作業ができないことで計画通りにいかないことも考えられます。
作業効率を考える
建築手順は以下のようになります。
- 基礎工事
↓ - 鉄骨の組み立て
↓ - 屋根・壁・床作り
↓ - 内装
↓ - 仕上げ
この一つひとつに作業効率を上げられる方法があります。
鉄骨は奥から手前に作業していく
建築場所の広さによりますが、鉄骨を組み上げていく時には奥から手前へと作業していきます。
これを段取りよく行うためには、現場に搬入されせる鉄骨の順番も決めなくていけません。
鉄骨は別の場所で作り、現場では組み立てるだけです。
足場の設置・運搬車の手配・飛び職人の作業期間など無駄がないように決めてください。
コンクリートの固まる日数
鉄骨を組み立てたあと、その柱の周りを補強するようにコンクリートで固めます。
また、床や壁でも同様にコンクリートを必要とする作業があります。
コンクリートを流す作業は時間との勝負です。
完成させたい形になる前に固まり始めても、作業のやり直しができないのです。
また、作業を終えた後もすぐに固まるわけではありません。使用するコンクリートの質にもよりますが、完全に固まるのには日数を要します。
必要となる場所とタイミングを合わせて、作業スケジュールを考えましょう。
まとめ
いかがでしたか?
工場や倉庫の建設費のコストダウンについて、ご紹介しました。
コストダウンは、無駄な部分を減らして今と10年後にも必要となるものだけを残していきます。
提示金額を値引きすることとは違います。
価値や必要なことは、十分に理解できています。コストダウンを実施してより良い工場や倉庫を建設していきましょう。