どんな建物でも、「建てたい!」と思ってすぐに着手できることはありません。
土地の確保・建物の目的・官庁への申請など事前に調査しておくことから、どのような工程で工事を進めていくのか?考えて用意しておくことは、山のようにあります。
工場や倉庫といった大規模な建物となれば、現地の情報や確認する法令はさらに増えていきます。
今回は、そんな設立手順について調べてみました。
設立手順は、大きく3つに分けられている
設立のために何から始めたらいいのか?まずは流れを整理してみましょう。
設立手順は、行う内容によって大きく3つに分けることができます。
計画・建築工事・竣工
この3つに分けて考えることで、設立手順はとても理解しやすくなります。
それぞれの内容について、さらに細く確認していきましょう!
計画
計画とは、工場や倉庫を建てる目的から始まり、土地の確保・現地の情報・インフラなどといった建築工事に入ってからのトラブルがないように調整をしていきます。
建設の目的・予算
工場や倉庫は、企業の目的によって設立されます。
まずは、企業内での目的を明確にして、プロジェクトのメンバーなどを決めておくことが必要です。
核となるメンバーが決まった後は、今後の計画を立てます。
- 予算について
- 完成予定
- 土地の取得
使用できる予算内で目的に合った工場や倉庫を設立しなくてはいけません。そして、稼働させるタイミングに合わせるためにも工程の計画も必要です。
土地の取得
具体的に目的が決まったら、次は計画に合う土地を探して取得することから始まります。
条件としては、以下のようなことがあげられます。
- どのような目的のために、どこに設立するのか?
- 建物の広さや高さを確保するために必要となる土地の広さ
運輸や一時的に保管する倉庫であれば、海や鉄道など運搬に適した土地が良いですし、製造するものが温度や風土に左右されるような場合は、土地にも最善の注意が必要となります。
他にも汚染や排水・電力などインフラの整備の面からも土地を考慮することが必要です。
実際に現場に行き、環境や周辺の状況の確認は避けられません。
周辺の住民への理解
工場や倉庫の設立となれば、広範囲で土地が必要となるので住み慣れた土地にも変化が生じます。
雇用促進や町の活性化など利点もありますが、環境汚染や治安など不安となる要素もあります。
土地の確保や、その後の工事など、トラブルを避けるためにも周辺の住民の方々へ説明をして、配慮することは、企業側の責任でもあります。
建物のレイアウト
レイアウトは、工場や倉庫を実用的に活用するために欠かせません。
工場の場合
- 物流の動線・配置
- 製造ラインの動線・機械の配置
倉庫の場合
- 倉庫内の温度・湿度の調整
- 物流の動線・配置
共通して必要なこと
- インフラの整備
- 遮断・電力など環境に適していること
法律や条例による申請と許可
さまざまな問題をクリアしても法律や条例を無視することはできません。
専門的な知識が必要となるので、専門家にも相談しておきましょう。
- 都市計画法・・・土地の属性や人が健康に生活ができるように、土地や地域に制限が定められています
- 建築基準法・・・取得した土地に対して建物の高さや建ぺい率などが定められています
- 工場立地法・・・生産面積と緑地面積を整備すること義務付けられています
この他にも基準とする法律や条例はあり、それぞれに該当するものには申請と許可を得る必要があります。
建築工事
工場や倉庫など、大規模な建築工事で大事なことは、3つあります。
- 品質管理
- 工程管理
- コスト管理
工場や倉庫の稼働開始まで、すでに企業側で決められたスケジュールがあります。そのために、工程期間に遅れを生じさせるわけにはいきません。
さらに、建設業と呼ばれ、建築工事に関わる業者は28種類あります。それぞれの役割を効率よく行うためにも工程の流れを決め、把握しておく必要もあります。
そして、どんな厳しい予算であっても、完成後に壊れたり手抜き工事の発覚があってはいけません。
材料のコストを抑えること、効率よく作業することも大切なことです。
建築工事の現場では、現場監督がこの3つのバランスを取りながら建築工事を進めていきます。
建築工事の流れ
建築工事は、以下のように進められていきます。
基礎・鉄骨を組み立てる
↓
柱・壁・床を作る
↓
建物を仕上げる
それぞれに行われていること確認していきましょう。
基礎・鉄骨を組み立てる
建物が傾いてしまわないように、土台作りから始めます。
土を平らにして、地中に杭を打ち込んだりするなど、その土地や環境に合わせて行われます。
基礎工事が終わると、鉄骨の組み立てです。
鉄骨が搬入され、順序よく組み上がっていきます。
そして、安全に作業ができるように、足場作りを行います。
・主な建設業種・・・飛び職人・杭打やクレーンのオペレーター
柱・壁・床を作る
鉄骨の補強、コンクリートの強度を高めるために、鉄筋を組んでいきます。
鉄筋が組まれると、コンクリートで柱・壁・床が作られていきます。
組まれた鉄筋の周りにパネルを貼り、コンクリートを流して固めていきます。使用するコンクリートによって固まるまでに要する時間も違います。
・主な建設業種・・・鉄筋工・型枠工
建物を仕上げる
建物が仕上がると、次は外壁や内装へと工事は移行していきます。
工場や倉庫では、住宅やビルほど外壁への大きなこだわりはありませんが、景観を損ねたり周辺の住民に不快感を与えないようにしましょう。
電気の配線、水道の配管など、むき出しのままでは見栄えも悪く、事故を引き起こす原因にもなります。
きちんと整えておきましょう。
・主な建設業種・・・左官・電気工・配管工
こうした建築工事の流れを経て工場や倉庫は完成していきます。
竣工
ここにたどり着くまでに、さまざまなことがあり乗り越えてきました。
現場での苦労が報われるまで、あと一歩です!
工場や倉庫が完成したからといって、そのまま企業に引き渡すことはできません。
最初に、現場スタッフや工事を請け負った建設会社によって検査を行います。
どんなに完璧に作業を行っていても、人の目が変われば気づくこともあります。まずは、こうした社内での検査をクリアるすことが大切です。
次に、竣工検査を行います。
ここに立ち会うのは、施工会社・工事監理者・施主です。
最初の設計図面の通りであることはもちろん、建物にキズはないか設備は整っているのかなど検査していきます。
どちらの検査でも指摘を受け、不具合が見つかれば、確認・直しを行った後に再度、検査を受ける必要があります。
また、建物によっては、特定行政庁や第三者機関による「完了検査」を受ける必要があります。
これは、建設基準法に基づいて建築確認を工事完了から4日以内に、建築主事(審査確認・検査する公務員)または指定確認検査機構に届け出て、建物の敷地・構造・設備が法律に適合しているのかを確認する検査です。
これを受けないと違法建築とされます。
引き渡し
ここまでの検査を全てクリアできたら、いよいよ引き渡しです。
竣工引渡書類を発注者に渡します。書類はとても多く、引渡書・確認申請書副本など検査を受け適合していることを証明する書類から、各種取扱説明書などがあります。
丁寧に説明をして、鍵など全てを引き渡すことで完了です。
まとめ
いかがですか?
工場や倉庫などを設立するまでには、事前準備から建築工事そして竣工とさまざまな手順を経ていることがわかりますね。
どの段階でも細部まで決めることが多く、法律や条例に関することなど専門性が非常に高いことも特徴です。
また、工場や倉庫も建物を完成させるだけでなく、今後のメンテナスやアフターフォローなどもあり関わりは続いていきます。
トラブルなく、良い関係の中で設立できることも大切なことですね。