どんなことでも基礎を覚えることが大事です。基本を知っているからアレンジをしたり、応用が効いたものを作ることができ、人々からも高評価を得ることができます。
例えば、工場の建設においても同じようことが言えます。
日本で工場を建設するためには、必ず3つの法律を知っておく必要があり、必要に応じて書類を作成して申請する義務があります。
しかし、これらも理解するまでには時間がかかりますし、分からないままに進めていたら重大な事故の原因になる可能性があります。
では、どうしたら、覚えることができるのでしょうか?
実は、その答えがは工場の建設の流れにあります。様々な工程を知ることで、その都度必要となる法律も自然と覚えることができるようになります。
今回は、工場の建設の流れから、欠かせない法律の3つについて解説していきます。
工場建設に欠かせない3つの法律
まずは、工場建設に欠かせない法律を3つご紹介します。
建物に建設において、費用だけでなく土地の活用法や建物の用途など様々な角度から、法律に違反していないかを確認する必要があります。
なぜ、これほどまでに法律を重要視するかといえば、違法建築がのちにもたらす事故を減らすためにです。違反を知っていながら建設を進めることは最も人命を軽んじている行為ですが、それ以上に知識不足から違反していることに気づいていない方が、怖いのです。
そして、建設に費やすお金や建材、労働などを全てを無駄にしてしまうことがないように、法律について知っておく必要があるのです。
建築基準法
工場だけでなく、日本で建設される全ての建物の基準が定められています。
建物の安全性はもちろん、居住性や安心して活用できるように決められています。
特に、日本は地震大国と呼ばれるために耐震、免震については非常に厳しい規定があります。大規模な地震が発生するたびに改定を繰り返しているので「以前から知っている」という気持ちでいると、後で違っていたことに気づくケースもあるので、工場の建設を考える度に建築基準法を確認するように心がけてください。
都市計画法
東京や地方で主要都市と呼ばれる地域では、常に開発が進められています。例えば、名古屋ではリニア中央新幹線の開通に合わせて駅周辺の土地及び地下街の整備が行われているため、急激に街の景色が変わりつつあります。
しかし、これらも思い立って行われるわけでなく、計画的な市街地開発によるものです。つまり、現状だけを見て「工場の建設ができる」と思っても、将来的に開発が予定されていないかを確認する必要があります。
こうした、建設できる土地とできない土地が分かるのが「都市計画法」なのです。
工場の場合に建設が可能となるのは「市街化区域の工業地」と定義されている土地になります。さらに詳しく見ていくと3つの区域に分けられます。
・工業専用地域・・・危険性が高い工場の建設ができる
・工業地域・・・どんな工場でも建設できる
・準工業地域・・・危険性の低い工場の建設ができる
安全面から、人が住むことができなかったり、学校や病院の建設ができない地域もあれば、規制が厳しくない工業地域においては大型店舗なども建設されることがあります。
工場立地法
近年の工場には、必ず求められることとして、周辺地域の環境を壊さないことが求められます。人々の生活、環境への配慮などを欠く工場は建設ができないのです。たとえ、経済効果や雇用を増やすことを目的にしていても、工場立地法にて決められている基準を満たす必要があります。
工場立地法に定められるのは、主に3つです。
・生産施設面積率・・・製造機械が設置されるエリア
・緑地率・・・木や芝生のエリア
・環境施設面積率・・・太陽光発電、運動できるエリア
建設予定地の中に、工場を建設するだけでは規制に違反してしまいます。土地全体から建物とそれ以外のエリアについてバランスをとっていくことが必要です。
工場建設の流れを覚える
建設の流れとは、工場建設を考える段階から施主様に引き渡すまでの行程をいいます。建設する建物によって若干の違いはあっても、ほとんどのものが同じ流れによって建物を建設しています。
今回は、工場の建設の流れをご紹介します。
建築計画を立てる
建築計画において、工場を建設する理由や用途、必要な設備について話し合いを進めていきます。
一番最初に決めるべきことは、工場を必要とする理由です。お金が余っているから工場を建てますという企業はほとんどありません。必ず建設する理由があります。
事業拡大による工場の増加、生産行程を既存の工場から分離するため、他にもいろんな理由があると思います。それらを施主様から聞き、建設業者において建設する工場の規模や必要となる土地などを提案していきます。
提案と改善を繰り返しながら、目的が達成できる工場の建築計画を作成します。
事前調査を行う
建築計画ができたら、事前調査に入ります。ここでは主に建設予定地の安全性と環境への影響を調査します。先ほど紹介した建築基準法に加えて、消防法や環境法からも土地の確認をしていきます。
そして、近年最も注意するべきことは、近隣住民への説明と理解です。工場の建設というだけで「公害だ」、「今まで通りの生活できなくなる」というイメージが必ず先行してしまいます。こうした負のイメージを払拭すること、そして安全で環境に配慮した工場であることを伝え続ける義務があります。
事前調査の段階でお互いの関係を良好な状態にしておかないと、建設に入ってからもトラブルになる可能性があります。
工場建築確認申請をする
事前調査が終わったら、次は建築申請を行います。申請するのは、工場の建設予定地の都道府県または市町村になります。
事前に業者側で調査した結果と申請の内容に問題がないかを、第三者の機関にて確認するための調査になります。主に、建物の構造や土地についてとなります。
この申請については書類の確認から現地での調査から結果を出すため、非常に時間がかかります。ここで必要となる日数を建築計画のスケジュールにも入れておくと、待つ間のストレスを軽減することができます。
建設開始
建築確認申請が問題なく終われば、人員や機材、建材の確保が進められ、いよいよ建設開始となります。現場監督による施工管理、安全管理の元、速やかに進められていきます。近年では建材の確保に時間がかかるケースもあるので、少しでも安全に施工管理通り進めていく厳しい時があることも覚えておきましょう。
工事完了と完成後の検査
現場での工事が全て終われば工場が完成します。ここからは様々な検査や調査が繰り返し行われます。
まずは、現場を管理した建設会社です。従業員で建物が計画通りに建設されているのか、作業の不備や不始末がないかを確認します。社内で見つかれば、それだけ早く対応することができます。
そのあとは、行政や専門機関による検査となります。第三者の目で見ることで気づけることもあります。
引き渡し
全ての検査を終えて、工場の使用許可が受理されたら、いよいよ施主様に引き渡しとなります。
もちろん、施主様にも建物の確認をしてもらいます。
引き渡し後は、アフターフォローをしていきながら、建物の管理をしていくこととなります。
3つの法律が必要となる工程とは
建設の流れを知ることで、先にご紹介した3つの法律が必要となる場面が少しずつ見えてきたのではないでしょうか?
ここでは、3つの法律が最も必要だと思われる行程をご紹介します。
建築基準法は建築計画に確認する
全ての建物の基準となる建築基準法は、建築計画の段階から欠かせません。冒頭でもお話したように、基本がなければアレンジすることはできません。そのため、工場の建設の際にも思いついたアイディアを確認しながら考えていく時に重要な法律となります。
都市計画法は事前調査で用途地域を確認する
工場建設を決めても建設予定地がなかなか決まらないというケースもありますが、都市計画法を知らなければ工場を建設できません。
まずは、明確となった工場建設に合う土地探しからのスタートになります。土地を見つけては都市計画法で探す、土地の条件を確認するという作業が必要絵おなります。
工場立地法は建築申請に確認する
工場立地法に基づいて建築する工場が決まります。多少なり妥協する点はあるかもしれませんが、末長く工場を稼働させるためにも必要なことです。
環境に適した工場であることを知ってもらうため、そして調査してもらうために建築申請の時が最も必要なります。
許可を受けた内容で工場を建設する
今回は、工場建設に欠かせない3つの法律と必要となる流れをご紹介しました。
法律と聞けば難しく考えてしまいがちですが、建設する流れを知ることでその用途を理解することができるので、きちんと活かすことができます。
そして何より、違法建築でない許可を受けた工場を建設することができます。きちんと内容を確認しながら、長く稼働できる工場を建設してください。