鉄骨が現場に届くまでの3つの作業について

東京オリンピックへ向けて、メイン会場となる「新国立競技場」をはじめ関連施設など、民間の宿泊施設やビルと、首都圏では建築ラッシュが続いています。
さらには、相次ぐ災害により大規模な建物ばかりでなく、住宅やアパートやマンションなど建築も急がれる状況です。

そんな建築を支えるのは、現場で働く建設会社の職員や専門の職人だけではありません。
基礎から仕上げに至るまでの材料を準備したり、輸送する業種があります。
大規模な建築物となれば、鉄骨など資材は大きくなります。どこからどのようにして建設現場まで届けられるのか?

今回は、鉄骨など鋼材がどこで作られ、運ばれるのかをご紹介します。

建築で必要な鉄骨

建物の骨組みとなる部分に鉄骨が使用されるものを、鉄骨造といいます。
主に、柱や梁となる部分のことを指しています。

鉄骨といっても、形や用途は一つではなく多種多様にあります。
一般的に「鋼材」と呼ばれ、鋼板・形鋼・鋼管・棒鋼・線材などがあります。これらは、形や断面形状により用途があります。

例えば、鉄骨造の柱や梁となる「H形鋼」があります。これは、断面形状がアルファベットの「H」の形をしており、柱や梁のをボトルや溶接によって接合を行います。
また、鋼材の厚さによって、重量鉄骨・軽量鉄骨と分けられ、鉄骨造の構造において使用方法が異なります。

鉄骨はその見た目通り、重厚で木材より強度が高く耐震性にも優れています。建物を支える構造としても適していますが、その他にも、鉄筋コンクリートよりも軽いから、高層マンションの建設にも適していますし、スパンを広く取れるので間取りも広く取ることができます。

構造図から始まる鉄骨

住宅から工場や倉庫といった大規模な建物まで、幅広く使用される鉄骨ですがどのようにして形や接合などが決められるのでしょうか?

まず、最初は、設計図の一つである「構造図」から始まります。この構造図を作成するのは、1,2級建築士や鉄骨製作管理技術者が担当しています。
構造図には、建設する建物の情報が記載されており、鉄骨に関する情報も含まれています。

  • 接合部の詳細(ボトルや溶接)
  • 使用する鋼材の形状

構造図に記載されている情報は、鋼材だけでなく建物の基準となる情報が多く含まれています。
この情報を把握して、鉄骨の製作へと進めていきます。

鉄骨を発注して保管する

構造図にて、鋼材の情報を把握できたら、次は鉄骨を加工していきます。

まずは、材料となる鋼材を発注します。
形鋼・ボトルなどに加え、鉄骨のサビ止め用の塗料も準備されます。
加工前には、必ず構造図にある鋼材と入荷された鋼材に相違がないかを確認していきます。サイズや材質にほんの少しでも違いがあれば、今後の作業に影響してくることを全員が認識しているので、大切な作業になります。

また、保管時の注意としては、サビと鋼材の変形です。
雨など水に濡れると鉄骨は錆びてしまいます。さらに、同じ鋼材同士を重ねて保管するとその重さで変形しています。
加工作業に入る前も十分に注意しましょう。

鉄骨を加工する

建物の建設に使用される鉄骨は、そのほとんどを鉄骨工場において加工を行います。建設現場では設計図通りにつなぎ、組み立てていくだけまでに仕上げます。

一次加工

最初に行う加工は4つあります。

孔あけ
接合する部分に孔あけをします。大きさや孔パターンは用途により違います。

切断
決められている長さに鉄骨を切断します。

開先加工
接合の強度を高めるために、接合部分をV字に加工します。

けがき
加工の目安となる線を引きます。
精度誤差のないように、機械を正しい方法で扱い作業を進めていきます。

組立て

柱や梁の接合部分となる仕口やガセットプレートを溶接して組立てます。
まずは、細部を繋ぐ部分の溶接作業を行います。これを「部分組立て」といいます。
これができると、いよいよ現場に運べる最終的な形へと仕上げていきます。これを「大組立て」といいます。

この作業では、それぞれの部品が一つの形なっていきます。無駄な動きが多いと事故やケガにつながるので、効率よく作業ができるように、作業順に部品を用意して溶接していきます。

溶接

ここまでの溶接とは違い、建物強度を保つために行われる溶接です。
先の工程の溶接が仮溶接としたら、こちらが本溶接です。

一言に溶接で鋼材をつなぐといっても、鋼材の種類によって溶接材料が違います。さらには、溶接する技術者の技量によっても違いがあります。
要の作業になってくるので、技術者の責任はとても大きいですね。

塗装(サビ止め)

鉄骨は金属なので、どうしても錆びて劣化する恐れがあります。
そのサビを防ぐために、サビ止めの塗装を行います。

その方法は、鉄骨の表面に皮膜となる塗料を塗り、サビの原因となる水から鉄骨を守ります。
また、今回は骨組みとなる鉄骨を紹介していますが、建物を建設する地域や風土によってもサビが心配されるので、現地への事前調査が必要となります。

サビ止め塗料の規格としては3種類ありますが、目的に合わせて使い分けています。

ここまでの作業が鉄骨工場での作業となります。
輸送前には、現場でイレギュラーな溶接や塗装をすることがないように最終検査を行います。

鉄骨を輸送する

いよいよ建設現場に鉄骨が輸送されます。
日本における鉄骨の輸送方法として考えられるのは、2つあります。

  • 車両による輸送
  • 船舶を使い中継地点を経由して輸送

非常に重く、大きいものばかりなので、輸送に使用できる乗り物も限られています。

輸送には細かく計画を立てる必要がありますが、まず、心配されるのが道路や橋です。
通常、私たちが自家用車で道路を走る程度ではなんの支障もありませんが、トラック・トレーラーといった大型車に鉄骨を載せて輸送するので、道路側への負担は大きくくぼみや穴があいてしまうことが考えられます。さらに橋の場合は、重量に耐えられるのか?同時に他の車と一緒に走行することができるのか?
課題はつきません。

そのために、走行する道路を考え、事前に通行の許可を申請する必要があります。
ほとんどの場合が、交通量の少ない夜間で、前後には「先導者」を走らせて警告するようにライトを点灯させています。

また、輸送する際には鉄骨にキズをつけないように、玉掛けワイヤーを使用したり、塗装が剥がれるようなことがあれば、再塗装をするなど、注意が必要です。

工程に合わせて輸送する

建設現場もスペースが限られているので、鉄骨工場で鉄骨ができてもすぐに輸送できませんし、保管場所にも十分な配慮が必要です。

そのためには、まず現場の進行状況を把握しておきます。
最初に決めた施工管理にてスケジュールは決められていますが、天候等による作業の順延は避けられません。鉄骨を輸送する日も変更となります。
輸送には許可申請が必要ですから、できる限り予定通りにいきたいものです。

安全な状況で鉄骨が輸送できるように、現場の工程を確認しましょう。
そして、天候にも配慮をして現場へ輸送する日を決定しましょう。

現場で取り付け

届けられた鉄骨は、建方を確認して工程に合わせて取り付けていきます。
大規模な建築物である場合は、高所へと吊り上げる作業が必要となります。その際には、玉掛けワイヤーや親綱をはるなど、安全を最優先した作業を行います。

非常に危険な作業なので、玉掛けワイヤーも有資格者ですし、高所では鉄骨鳶と呼ばれる専門の職人が作業を行います。

まとめ

鉄骨が建設現場で取り付けられるまで、いくつもの作業があり、支える業種がいることが分かりました。

現場では工程が予定通り進むことを望んでいます。もちろん納期もありますが、なにより心にゆとりがないと安全に作業を進めていくことができません。事故やケガのない現場で終えることが一番です。

そのために、建設現場以外にも支えてくれる業者がいることは、心強いですね。

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