重量鉄骨で工場・倉庫を建てるメリット・デメリット

重量鉄骨で工場・倉庫を建てるメリット・デメリット

この記事では次の内容をまとめています。

・重量鉄骨とは

・重量鉄骨のメリット

・重量鉄骨のデメリット

重量鉄骨で工場や倉庫を建てるかどうか悩んでいる方が知っておくべき内容を全てまとめました。

目次

工場・倉庫によく使われる重量鉄骨とは

重量鉄骨造とは厚さ6mm以上の鋼鉄を使った構造のことです。

6mm未満の鋼鉄を使うものは軽量鉄骨造と呼ばれ、その名の通り、部材は重量鉄骨の方が重いです。

工場や倉庫だけでなく、3階以上のマンションやビルといった大型の建物に使われることが多いです。

これは重量鉄骨造に強度が高いというメリットがあるためです。

強度があると必要な鉄骨の数が少なくなるので、すっきりした構造を作ることができます。

重量鉄骨で工場・倉庫を建てるメリット7つ

この章では重量鉄骨造のメリットをご紹介します。

1 強度が高い
2 耐震性が高い
3 大空間を作れる
4 構造の自由度が高い
5 軽量鉄骨造よりも耐火性に優れている
6 軽量鉄骨造よりも防音性が高い
7 品質が一定

強度が高い

重量鉄骨造の大きなメリットは強度が高いことです。

元々、鉄骨造は強度があるのがメリットですが、分厚い重量鉄骨造は軽量鉄骨造よりもさらに強度が高いです。

国税庁が定めた減価償却できる年数である「耐用年数」では、鉄骨造の年数は以下のように定められています。

・金属造のもの(4mmを超えるもの)・・・31年

・金属造のもの(3mmを超え、4mm以下のもの)・・・24年

・金属造のもの(3mm以下のもの)・・・17年

重量鉄骨造は6mm以上なので、31年です。

あくまでこれは目安の一つであり、適切にメンテナンスをしていればもっと長い期間、安心して使うことができます。

耐震性が高い

重量鉄骨造は耐震性が高いのもメリットです。

分厚い鋼鉄を使って建てられているので、地震が起きてもしっかり建物を守ります。

特に、工場や倉庫は建物内に原材料、機械、製品と大量の大事な物を保管しているため、建物が崩れてしまうと被害がとても大きくなります。

だからこそ、耐震性が高いと心強いです。

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大空間を作れる

柱や梁などの構造がしっかりしているため、重量鉄骨造は柱と柱の間隔を広く空けることができます。

そのため、開放感のある大空間を作ることができます。

工場にとっては大きな機械を導入しやすく、さらには導線の自由度が高くなるため、生産効率を高められるというメリットがあります。

また、倉庫では作業効率が高まるレイアウトを実現できます。

構造の自由度が高い

構造の自由度が高いことから、大空間に限らず、全体的に理想のレイアウトにすることができます。

事務所や休憩室といった欲しい部屋の種類や、作業場の大きさなど、どんな工場にしたいかを決めて、打ち合わせの際に建設会社の担当者に伝えましょう。

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軽量鉄骨造よりも耐火性に優れている

重量鉄骨は軽量鉄骨よりも耐火性に優れています。

ただし、鉄骨造自体はそれほど耐火性があるわけではありません。

温度が高くなるにつれて鉄骨は柔らかくなってしまうからです。

ただし、耐火被覆と言って、部材を耐熱性の高い素材で覆えば耐火性の低さを補うことができます。

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軽量鉄骨造よりも防音性が高い

鉄骨が厚く、壁も厚いため、重量鉄骨造は軽量鉄骨造よりも遮音性が高いです。

建物の防音性は壁に断熱材を入れるなど、様々な条件によって変化します。

防音性が高いと、建物内の音が漏れにくくなり、近隣トラブルを防ぐことができます。

また、製造現場の音が聞こえにくくなることで、休憩中の従業員がゆっくり休めるというメリットもあります。

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品質が一定

重量鉄骨造の部材は工場で生産されます。そのため、部材の質は一定です。

また、工場である程度組み立てられた上で現場に運ばれます。

そのため、現場で行われる作業は最低限で、職人のスキルに建物の出来が左右されにくいです。

こうした理由から、鉄骨造は品質が一定というメリットがあります。

重量鉄骨で工場・倉庫を建てるデメリット6つ

この章では重量鉄骨で工場・倉庫を建てるデメリットをご紹介します。

1 建設コストが高い
2 地盤を選ぶ
3 工期が長くなることも
4 節税効果が小さい
5 断熱性が低い
6 錆が発生しやすい

建設コストが高い

重量鉄骨は建築コストが高くなりやすいです。次のような理由があります。

・部材が厚く、その分コストが高い

・部材が重い分、運搬の費用が高くなる

・地盤改良工事に費用がかかる

・基礎工事に費用がかかる

建設費をコストダウンできる4つのポイント|工場・倉庫編

地盤を選ぶ

重量鉄骨造の建物は土地を選びます。

なぜなら、重量鉄骨造の建物は部材が重い分、建物全体も重いからです。

丈夫な土地でなければ重さに耐えられません。

そのため、地盤の状態によっては改良工事が必要で、大掛かりな工事になることもあります。

建物自体の費用以外に、こうした面で費用がかかることがあることを覚えておきましょう。

工場建設の土地探しの3つの方法と考慮すべき3つのポイントとは?

工期が長くなることも

先ほどからご紹介しているように、重量鉄骨造は基礎工事や地盤改良工事に手間がかかることがあります。

この工事の規模によって工期が長くなることがあります。

工場建設や倉庫建設の工期は建物の規模やその他の条件によって変わるので、ネットに書かれている工期は目安と思っておきましょう。

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節税効果が小さい

重量鉄骨造は節税面でのメリットが少ないです。

これは冒頭でも紹介したように、重量鉄骨造の法定耐用年数が長いためです。

同じ建設コストなら、法定耐用年数が短い方が減価償却で節税効果が高くなります。

鉄骨造の工場・倉庫の法定耐用年数は次の通りです。

・金属造のもの(4mmを超えるもの)・・・31年

・金属造のもの(3mmを超え、4mm以下のもの)・・・24年

・金属造のもの(3mm以下のもの)・・・17年

重量鉄骨造の部材は6mm以上なので、一番長い31年です。

断熱性が低い

鉄骨造は断熱性が低いです。

つまり、外気の影響を受けやすいため、何も対策をしなければ働く環境が過酷になってしまいます。

そこで、建設時に外壁に断熱材を入れたり、屋根を断熱シートで覆ったりと、快適に働ける環境作りが欠かせません。

また、エアコンをつけたり、空調服を用意したりと、建物以外の面でも対策をしましょう。

工場・倉庫が断熱や遮熱をする方法やメリット・デメリットをご紹介

錆が発生しやすい

錆は鉄骨の天敵です。

鉄骨に錆が発生すると劣化して、鉄骨造の強みである耐久性が下がってしまい、安全を脅かします。

そこで、建設時に部材に錆対策を施すなど、対策をすることが欠かせません。

きちんと対策ができていれば、長い間、丈夫な状態を維持することができるので、建設会社に錆対策について確認しましょう。

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重量鉄骨造と軽量鉄骨造の違い

重量鉄骨造と軽量鉄骨造は同じ鉄骨造ですが、部材の厚さが異なります。

耐久性、耐火性、防音性、コストは重量鉄骨造の方が高いです。

重量鉄骨造の方がメリットが多いように思えるかもしれませんが、軽量鉄骨造には

・節税効果が高い

・コストを抑えられる

・土地の選択肢が広い

といったメリットがあります。

品質が安定している、部材が錆びやすい、通気性が低いといった点は両方に共通する性質です。

軽量鉄骨で工場・倉庫を建てるメリット・デメリット

重量鉄骨造と木造の違い

木造とはその名の通り、木材で造られる建物のことです。

木造は鉄骨造よりも建設コストを抑えられます。

また、断熱性の低い鉄骨造と違い、外気の影響を受けにくいです。

一方で、木造の方が劣る面もあります。

まず、木材は工場で大量生産される鋼鉄とは違って、品質にばらつきが出ます。

また、組み立てる際も職人の経験や知識によって出来が左右されます。

そのため、品質の安定感が鉄骨造ほどではありません。

また、木造はシロアリなどの害虫対策が必要です。

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重量鉄骨造と鉄筋コンクリート造の違い

鉄筋コンクリート造とはコンクリートと鉄筋を組み合わせた構造のことです。

具体的には、鉄筋で枠組みを作り、その周りにコンクリートを流し込んで造られます。

鉄筋コンクリート造は鉄筋とコンクリートがそれぞれ強みと弱みを補い合っており、重量鉄骨造よりも耐久性、耐震性、防音性が高いです。

また、コンクリートを使っていることから耐火性が鉄骨造よりも高く、災害に強い建物と言えます。

ただし、建設コストは木造や鉄骨造よりも高いです。

さらに、気密性がより高いため、結露やカビが発生しやすいのはデメリットと言えるでしょう。

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まとめ

重量鉄骨造は軽量鉄骨造よりも分厚い鋼鉄を使っているため、耐久性や耐震性が高いなど、様々なメリットがあります。

ただし、建設コストが高い、土地を選ぶなど、デメリットもあります。

工場や倉庫の構造には様々な種類があるので、それぞれのメリット・デメリットを知った上で、理想に合うものを選びましょう。

 

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