どんなに優秀な建設会社や職人でも、作業が思うように進められないことがあります。
ましてやは、施主側は素人なので、作業の進行具合は全く分かりません。
一体、どんな理由があって、工期が遅れてしまうのでしょうか?
今回は、建設現場で工期が遅れてしまう理由についてご紹介します。
工期の遅れは心身ともに辛い
どんな計画を立て作業を進めても、建設現場では天候など様々な理由で予定が変更されてしまいます。もちろん、そのように余裕を持って計画を立てていますが、それでも起きてしまう「工期の遅れ」があります。
工期が遅れてしまうと、ビルや工場などの場合は、完成後に機械や設備などの搬入がありますが、こちらの予定も遅れてしまいます。住宅であれば、仮住まいのマンションなどで契約延期といきませんから、こちらも困ってしまいます。
この状況を一番辛く感じるのは、現場監督です。近隣とのトラブルや品質のクレームなども対処をしていますが、工期遅れが最も心身ともに辛いはずです。
施主と会社の板挟み
先述したように、建物完成を待って次の予定を立てています。納期の日が近づいても完成が見えてこないと焦ってしまいます。
現場監督に強い言葉で責めてしまうこともあります。
会社として工期が遅れ、納期まで遅れることは、信用を無くしてしまいます。
これだけは避けたいことです。
そうなれば、まず現場監督に確認して、現状を回避できる手段を考えていきます。
どちらからも言われる板挟みの状況は、胃が痛いですね。
職人に残業・休日出勤を頼む
工期に合わせて、職人に仕事を依頼します。
骨組みから外壁、配線、内装と作業順に合わせて職人が現場に入ります。
建設現場に予定があるように、職人にも予定があります。ほとんどの職人の場合、現場を掛け持ちすることが多いため、急な変更に対応できないこともあります。1つの現場の遅れで、他の仕事までに迷惑をかけるわけにはいきません。
そのために、工期の遅れを取り戻すため、残業や休日出勤をお願いすることもあります。対応してもらえることはありがたいことですが、その分の人件費が加算でしまうので、予算を超えてしまいます。
自分自身が辛い
施主や会社からも工期の遅れを問われ、職人にも頭を下げてお願いする状況が続くと、やはり精神的に追い詰められます。落ち込んでしまいます。
職人が残業や休日出勤を引き受けてもらえた場合、現場としてはありがたいことですが、現場監督として自分自身も出勤をしなくてはいけません。
体を休めるタイミングを逃してしまいます。
工期の遅れの代償は非常に大きいですね。
工期が遅れる7つの理由
では、実際にどんなことが原因で工期は遅れるのでしょうか?
考えられる理由を探っていきましょう。
着工が遅れる
まず、予定されていた日程で、着工できないことがあります。スタートが遅れれば、もちろん完成というゴールも遅れてしまいます。
着工が遅れる理由も確認しておきましょう。
設計内容が決定しない
建設したい施主と依頼を受けた業者側とで、意見がまとまらないことがあります。
どちらも「良い建物を建てたい」という思いは一緒ですが、意見が一致しないということはあります。
話し合いが進められても施工図が完成しないことには、着工に至りません。
そのため、手配して確保していた職人をキャンセルすることにもなります。
職人の人員不足
現在、建設バブルと呼ばれ、建設ラッシュが続いています。そのため、職人はどこの現場でも引く手数多です。計画度取りに人員を確保するのはとても困難な状況です。
先述のように、確保していても予定を変更のためにキャンセルするというのは、業者側としては大きな痛手です。
いざという時のために、普段から職人さんとは情報交換をしたり、話をしてコミュニケーションが取れる関係を作っておきましょう。
計画変更による作業中断
着工後に意外とあるのが、「予定と違う」など施主側の意見です。
ご存知の通り、現場では施工図に合わせて作業を行います。また、定期的に施主側に報告をしているので、大きく違いが生じることはありません。
トラブルが起きやすい部分としては、内装工事です。
壁紙の色や設備の品質など、イメージと違うと言われるケースが多いようです。
話し合いによって、工事がすぐに再開されれば良いのですが、新たに材料を手配し直すとなれば作業は確実に中断してしまいますし、やり直しということになります。
思っている以上にダメージは大きいので、色見本や展示場に一緒に足を運ぶなど、施主側が分かるように話し合いを重ねていきましょう。
天候による作業中止
外での作業でどうしても避けられないのが、悪天候による作業中止です。
梅雨の時期、台風の時期に、そして雪国では冬も注意が必要です。特に、近年では、災害レベルの大雨や台風になることが多いため、天気予報だけでは不安な場合もあります。
この時期に工期が重なる場合には、事前に工期に余裕を持たせましょう
また、現場では毎日朝礼などを利用して、細かい天気の変化を情報として伝えていきましょう。現場での意識も変わります。
作業員の質について
作業を迅速に進めていくために、作業員一人ひとりの技術と心構えが重要です。
現場経験が少ない作業員ばかりが集まってしまうと、確認事項が増え、ベテラン作業員の到着を待ってからの作業となることがあります。
さらに、作業は違えど、同じ現場で作業するもの同士として、協力できない作業員がいた場合、現場の空気が乱れ、作業だけでなく事故にも繋がりかねません。
こうしたことがないように、作業員の質を下げないようにしていきましょう。
人員不足で仕方のない場合もありますが、そうした場合は、知らない業者に依頼するのではなく、知り合いの業者に相談するなど、身元も実績もしっかりした作業員を紹介してもらえるようにしてください。
事故による建設中止
工期が遅れる原因の中でも、最も避けたいのが現場でも事故です。
常に安全第一で作業を行なっていますが、事故が発生してしまいます。
現場での火災や建材の落下など、ニュースで見るような大きな事故だけが事故ではありません。作業中に怪我をしてしまったり、機械の誤作動、建材の破損なども事故となります。
こうなった場合、現場の安全が確認されるまでは立ち入ることもできません。また、警察などの現場検証が必要な場合は、さらに日数がかかります。
事故を起こしてしまうと、事故を起こしてしまった業者、事故のあった物件として見られます。双方に良いことはありません。
危険はどんな小さなことでも見逃さないことです。
工期が遅れた場合の対処法
どんなに注意しても、工期が遅れてしまった時には、その他処法を確認して、迅速に対応していきましょう。
遅れた理由を明確にする
まずは、遅れた理由を明確にしてください。
理由が明確にならなければ、次の対処ができません。そして、施主や会社にも説明しなければいけませんので、現場の状況を詳細に把握してください。
改善・再度計画を立て直す
理由が分かれば、すぐに改善するために対応してください。
職人を追加で依頼するのか、手配した建材が遅れているなら、迅速に納期してもらうことが必要です。
遅れている理由を改善できる状況が整ったら、再度計画の立て直してください。こちらも施主と会社に説明が必要です。
次の現場に活かす
なんとか、完成までにたどり着けたら、今回の経験を忘れないうちにまとめておきましょう。できれば、今回のことを会社で報告をして、社員同士が情報として共有してください。別の現場でも同じことがいつ起こるかわかりません。情報として知っていれば、事前に回避することもできます。
落ち度は隠したくなりますが、今後のためにも生きた情報を次の現場に活かしてください。
まとめ
いかがですか?
工期の遅れの理由を探ってみました。
現場監督となれば、全体の現場の把握、先の工程について確認するなど、常に考えることで頭がいっぱいです。
工期の遅れは胃に穴があきます。
こうしたこと全て、現場での日頃のコミュニケーション力がものをいいます。
大変な時ほど、人が助けてくれます。支えられます。
職人や作業員、全体で良い仕事ができるように、がんばってください。