大型物流倉庫は、システム建築に適した建物のひとつです。
しかし、システム建築を導入したとしても、実際に最新の技術・設備を導入して経済的なメリットを感じることができるのか?という疑問点があるかと思います。
ここではそんな大型物流倉庫におけるシステム建築のメリットと特徴についてご紹介していきます。
システム建築とは?
システム建築とは、すでに規格化された部材・建設工法を用いた建物のことで、配置などもあらかじめ決められており、在来工法よりも安く・短期間で建てることが可能な建築のことをいいます。
また、経済的でありながらも高い品質を提供してくれます。
プレハブ構造・モジュール構造の活用
システム建築は、プレハブ構造・モジュール構造の良さを活用することで、迅速な建設とコスト削減を実現します。
プレハブ構造・モジュール構造は同じ特徴のもので、通常であれば建築現場で行う建築部材の加工を建築現場で行うことなく、規格化した部材を事前に工場で生産・加工し、現場で建てる建築方法のことを指します。
どのような時にシステム建築を活用すべきか
具体的には以下のような希望がある場合はシステム建築を導入することで建物自体の需要が高まりやすいです。
・柱がない大規模な空間をつくりたい
・在来工法で建設すると竣工までに時間がかかりすぎてしまう
・在来工法よりも建築コストを下げたい
システム建築が適した建築物
「低価格」「大空間」「短工期」「高品質」のメリットをもつシステム建築。
大型物流倉庫以外にも、工期の短縮化・建設コストの圧縮といったメリットがあるため、納期・コスト削減が重視視される、大型店舗・工場や倉庫、スポーツ施設などにも適しているといえます。
そのほかにも物流倉庫やレジャー施設など、幅広い施設タイプにおいて需要があります。
近年の建築トレンド
近年の建築トレンドとして、環境保全に前向きな企業が増加傾向にあり、持続可能な建築への需要が高まってきています。
また同時に、スペースの最適化と拡張性が必要不可欠となってきており、上記で述べた環境保全の部分も含めると、将来的に運営コストの削減とともに環境への貢献が期待されています。
そのため、大型物流倉庫においてこれらの要件を満たすことのできるシステム建築は魅力が多いです。
実際にシステム建築が導入されている主な例
ここでは実際にシステム建築が導入されている主な建築物・使用例をご紹介していきます。
・物流業界 物流倉庫では、100mを超えるような大スパンのものも建設可能なシステム建築を活用し、柱のない大空間で作業をしやすい環境に改善されている例が多くあります。
・食品業界 加工前の大量の農作物の保管倉庫として利用される場合は、選別するための作業スペース・事務スペースが必要になってきます。低温保管から冷蔵・冷凍といった温度管理まで可能なシステム建築は多くの食品業界で重宝されています。
システム建築を導入する前に確認したいこと
導入前に、システム建築におけるメリットとデメリットについて詳しくご紹介していきます。
システム建築のメリット
システム建築では、建設する際に必要な部材がルール化されており、一連の流れがシステム化されていることが特徴をもちます。
そのため、大型物流倉庫を建てたい場合にも、見積もりが速やかに作成できる魅力があり、より工期を有効に使うことができます。
また、CADシステムを利用しながら、既存のデータを反映させることで適切な設計をご提案でき、迅速な設計・デザインが可能です。
また、将来的には併設・増設などを行いやすく設計されているため、徐々に倉庫の規模を拡大していきたいと考えているような、柔軟な対応も可能です。
システム建築のデメリット
メリットの部分で触れたとおり、一連の流れがシステム化されていることもあり、デザインの自由度があまりないというデメリットがあります。
低コストを重視しながらデザイン性も重視したい、という方にはあまり向いておらず、完全自由設計の建物として物件を活用したい場合には在来工法での建設を検討する必要があります。
また、設計変更が可能な範囲に制限がある場合があります。
たとえば、倉庫の一部だけを複数階層にする、変形地の形状に合わせて倉庫の形も不整形にしたいといったニーズに対しては、実現には非常に難易度が高く、システム建築には不向きな分野と考えられます。
システム建築と在来工法の比較
ここでは伝統的な建築工法と、システム建築とを比較してみます。
伝統的な建築工法の持つ特徴をお伝えし、システム建築の特徴についてもご紹介していきます。
伝統的な在来工法の特徴
鉄骨構造・コンクリート構造は、安定性と耐久性に優れています。
その反面、建設する際には時間と予算がかかってしまい、柔軟性に欠けるという問題点があります。
時間と予算は要してしまいますが、その代わり建設時の資材をオーダーメイドで作っていくため、完成した建物の自由度が高いという特徴があります。
システム建築と比較したときの在来工法のデメリット
システム建築と比較したとき、在来工法はコストが多くかかってしまうことがあります。
そのため、大型物流倉庫建設においては、事業開始の計画にコスト面で影響を与えてしまう可能性があります。
システム建築を活用する際のメリット4点
システム建築を利用し、大型物流倉庫を建設するメリットは、主に4つあります。
ここではその4つをひとつひとつご紹介していきます。
(1)事前に規格化された資材を利用することでコスト削減が可能に
システム建築は、事前に規格化されて製造された建設資材を使用することが多いです。
このより、本来建設現場で行われる加工作業が大幅に削減され、迅速な建設が可能となります。
このように迅速なプロセスにより、工期が短縮されることで、同時にコスト削減に直結します。
(2)高品質な材料を低コストで使用可能
システム建築の資材の製造は、工場での生産ラインで行われています。
そのため、品質管理が徹底されており、工場生産ならではの精密な仕上がりは、建物の耐久性に貢献し、また、デザインの一貫性にも貢献します。
在来工法の場合は悪天候のときや現場の管理状況によって品質が低下するという問題点がありました。
システム建築では、これらの問題点が軽減されることが魅力です。
(3)省エネ性を活用した環境への配慮
システム建築は、前述したように建材の生産から廃棄に至るまでのプロセスが、環境に優しい手法となっています。
そのため、工場での生産の際に、大量の廃材や不要な資材の発生を抑えることができ、現場でのエネルギー使用量も軽減され、省エネ性を向上させることができます。
これにより、環境への負荷も軽減されるだけでなく、エネルギーコストの削減にも貢献することができます。
(4)人件費の削減から建築費全体を低価格に出来る
システム建築では、工場での生産が主体となるため、建設する際に熟練した職人が必要とされるケースが少なくなるというメリットもあります。
まとめ
大型物流倉庫においては、システム建築がコストと品質の両方のバランスに優れており、適しています。
特に現代では企業間において環境保全に関心が高くなってきているため、システム建築の省エネ性の高さは、社会的な要請にも応えられる建築手法のひとつといえます。