倉庫は様々な用途に合わせて商品を保管しています。
商品の品質を保持しながら、必要となるタイミングで出荷されていきます。
扱う商品によって倉庫の大きさは異なりますが、建材としては鉄骨が使用されているのがほとんどです。
商品を大事に保管するためには適した建材です。
しかし、近年では家屋だけでなく倉庫の空き家も見受けられるようになりました。物流の拠点が変わったり、会社の倒産、移転などの場合にも倉庫が不要となります。
鉄骨の建物を放置しておくのは、劣化が進むにつれ危険な状態になります。いつ倒壊してもおかしくない状態です。
鉄骨倉庫の解体が進まない理由とはなんでしょうか?空き家として放置しておくことで、さらに別の問題を出てくるのはご存知でしょうか?
今回は、鉄骨倉庫の解体が進まない原因、解体の流れをご紹介します。また、新たな問題点についてもご紹介します。
倉庫も空き家対象になる
今、日本で問題になっていることの一つに「空き家」があります。過疎化などにより実家が空き家になるケースが増加しています。
こうした問題を解決するべく、2015年に制定されたのが空き家対策特別措置法です。この法案によって空き家への立入調査や税金の見直しなどが進められています。
空き家と聞くと、一戸建ての住居がイメージされます。しかし、実際のところは店舗や事務所・倉庫・事業所なども一定条件下において住居と同様に空き家としてみなストされています。
近隣への迷惑
空き家のまま放置されることは珍しくありません。解体にかかる費用が高いため空き家として維持する方が税金対策にもなります。
けれど、放置しておくことは近隣への迷惑になります。
・ゴミが投げ入れられる
・異臭がする
・トラブルに巻き込まれやすい
鉄骨倉庫となれば、大きくて敷地も広いことから勝手に人が住むつくことも考えらえます。
特定空家認定はリスクしかない
空き家対策特別措置法によって、特定空家認定をされると所有者にとってはリスクしかありません。
大きく変わってしまうのは。固定資産税、都市計画税の優遇から除外されます。これまで最大減税率6分の1となっていた優遇が受けられなくります。
解体費用が高くて維持していた意味がなくなってしまいます。
鉄骨倉庫が解体されない理由
空き家として問題になるなら、鉄骨倉庫も不要となった時点で解体をすればいいのにと思いませんか?解体がされないままに建物だけがなぜ残られるのでしょうか?
費用が高い
一番の理由は、解体費用が高いことです。木造の建物より鉄骨造の建物は解体に高額の費用が発生します。重機が必要になること、鉄骨の処理が面倒であること、どちらも木造よりかなり費用がかかります。
鉄骨の処理にも費用がかかる
鉄骨はお金になるといいますが、それは建物の保存状態によります。
確かに鉄は再利用ができるので、お金を受け取り解体の費用にすることもできます。
しかし、実際にお金になるのは状態のいい鉄骨だけです。長年に渡って雨風にさらされて劣化が進んでいたり、さらにはサビが発生している場合には、鉄骨として再利用する可能性はかなり低くなってしまいます。
倉庫が不要になった時点で解体を考えていたら、鉄骨の価値はあったかも知れないと後悔することもあります。
鉄骨倉庫の解体で大変なこと
空き家となった鉄骨倉庫を解体する大変さは、どこにあるのでしょうか?
実は、空き家ならではの大変さがあるのです。
解体以外の処理が多い
長年放置されたのは建物だけではありません。敷地内も放置された状態です。手入れがされていない敷地は、草木にとってはやりたい放題です。草木がよく茂っているので、それらを撤去しなければ鉄骨倉庫の解体はできません。
鉄骨のサビと劣化
鉄骨は長い間、強い日差しと雨に当たることで劣化が始り鉄骨がサビ始めるのです。鉄骨にサビができると少しずつ範囲を広げていくので、鉄骨の強度は下がっていきます。
さらにサビが進んでいくと、今度は鉄骨に穴が空いてしまいます。このまま放置していると、倉庫が突然崩れてきたり、外階段などは利用することができなくなります。
実際に解体作業に入る前には、鉄骨の状態を確認することも必要になります。
所有者との連絡が難しい
空き家となる鉄骨倉庫ですから、近くに所有者がいないことが考えられます。遠方の場合、連絡を取り合うのに時間がかかることがあります。
また、親族間で解体することに納得していない人がいる場合もあります。こうした場合は、勝手に解体を始めることはできないので、さらに時間がかかります。
なくなると思うと急に寂しさが溢れてきます。倉庫だから思いれはないかも知れませんが、放置された期間が長いことにも意味があるケースも存在します。
鉄骨倉庫の解体の流れ
それでは実際の解体の流れです。
鉄骨倉庫が建設された時期、状態にもよりますが、基本的な流れをご紹介します。
各種届出
産廃廃棄物の処理、運搬をするために必要な書類や運搬用のダンプなどを手配します。
アズベストを含む建物は、まだ多く存在するので処理に関する手続き、使用するものを用意するのも早い方がいいです。
不用品の運び出し・植栽の撤去・養生
鉄骨倉庫が空き家となった年月によりますが、解体前の作業があります。
・不用品の運び出し
・植栽及び草木の撤去
・ガス・水道・電気に関する確認
鉄骨倉庫は重機で解体していくので、シンプルに建物だけにする必要があります。
アスベスト含有外壁材の撤去
建設された時期、外壁の様子などからアスベストが疑われる時には、事前に検査を行なってください。
アスベストが検知されると、専用の処理袋などがあるので手順に沿って処理を行います。
少しでも疑われる時は、人体への悪影響があるので迅速に確認してください。
内装材の撤去
次に内装材を撤去します。鉄骨の柱、梁だけの状態にしたいので、以下のものを全て剥がしたり、壊していきます。
・壁紙
・床材
・畳
・壁
この内装材撤去の作業は、作業員による手作業です。バールなどを使用して分別解体をしていきます。
重機による解体
いよいよ解体現場に重機を入れます。搬入から作業、搬出まで、近隣に迷惑をかけないようにご連絡しておきましょう。
鉄骨倉庫の規模にもよりますが、2台は必要かなと予想されます。
基礎部分の解体
建物の解体が終わったら、支えてきた基礎部分の解体です。基礎を固めるためにコンクリートで固められているので、これを解体するには時間がかかります。
また、コンクリートを砕くドリルの音は周辺住民の方々には騒音となります。作業する時間はしっかり決めておきます。
整地
最後に整地です。建物はもちろんですが、敷地内にあるものを全て撤去させます。
土が見える状態にして、お客様に確認してもらいOKが出たら作業完了です。
まとめ
鉄骨倉庫の解体を通して、空き家問題や解体が進まない理由をご紹介しました。空き家としておく方がこれまでは税金対策となりました。数が増え続け、危険な状態になっても放置されたままがほとんどなので、国や行政の対策は加速していきます。すでに空き家に対する税金を見直した市町村もあります。
また、鉄骨の解体は大変です。解体費用は高いですから躊躇する人がいるのも頷けます。
鉄骨の劣化により問題が起こる前には解体できるような仕組みも必要ですね。
そして、最も大事なのは業者選びです。アスベストを含む建物がまだまだ多いですから、適切な処理がされるように信頼できる業者を選びましょう。