倉庫の経営状態を良くするためには作業効率を上げることが欠かせません。
効率良く作業が進むようになれば1日に出荷できる量が増えて売上を伸ばすことができます。
作業効率を良くするコツは色々ありますが、その中でも特に大切なのがレイアウトです。
倉庫では多くの製品を扱い、たくさんの人が動くため、何をどこに配置するかによって作業にかかる時間が大きく変わります。
例えば、ピッキングをするときにあちこち動かないといけない場合、その分時間がかかりますよね。
一方で、スムーズにピッキングが終わるような配置になっていれば、どんどんリストを片付けることができます。
倉庫のレイアウトは簡単に変えられるものではないため、レイアウトを作るときには作業効率を高められる配置を考え抜く必要があります。
そこで、今回は作業効率が高くなる倉庫のレイアウトの作り方をご紹介します。
いつも時間内に作業が終わらず困っている、これから倉庫を建設するので作業効率が高いレイアウトを最初から作っておきたいという方はぜひ参考にしてくださいね。
倉庫が作業効率が高いレイアウトを採用するメリット5つ
レイアウトの変更は大きなプロジェクトです。
レイアウトを変えている間は通常の作業ができないので売上も上がりません。
それだけに、レイアウトの必要性をあまり感じないという方もいるかもしれませんが、作業効率が高くなれば色々なメリットが生じます。
そこで、まず初めに手間をかけてでも倉庫のレイアウトを見直すべき理由をまとめました。
売上が上がる
作業効率が上がり、1回のピッキングにかける時間が短くなれば、1日に処理できるリストの数が増えます。
つまり、売上が上がるということです。
これは経営者にとって大きなメリットですよね。
倉庫のレイアウトを変えるとき、規模が大きければ大きいほど手間も時間もかかりますが、変更することによって売上が上がることを考えれば惜しくないのではないでしょうか。
人件費が下がる
1日に出荷できる量が増えると、従業員の数を減らす余裕が生まれるかもしれません。
人件費は会社にとって大きな支出なので、1人でも減らせば利益は大きくなります。
また、1日に必要な人手の数が変わらなくても、全体の残業が減れば支出は小さくなります。
納期に間に合う
作業効率が悪いとその日のうちに出荷すべきものが出荷できないというトラブルが起こる可能性があります。
締め切りが守れなければ取引先や顧客の信用を失うことになりかねません。
一方で、作業効率が良くなれば納期に余裕を持って作業をすることができます。
従業員のストレスが減る
倉庫のレイアウトが悪く、ピッキングの際にあちこち移動しなければいけないと、従業員のストレスが溜まります。
「もっとこういう配置にすればいいのに」、「作業する人のことを考えていない配置だ」といった不満はやがて会社に対する不信感に繋がるでしょう。
また、単純に無駄に移動が多いと従業員の疲れを引き起こします。
倉庫のレイアウトを考え抜くことは快適な労働環境を作ることにもなるのです。
新人でも作業しやすい
倉庫によっては新しく人を雇ったり、派遣を呼んだりする機会が多いところもあるでしょう。
新人が入ったときにはまずは付きっきりで教える必要があります。
このとき、一時的に人手が少なくなり、作業効率が下がってしまいます。
しかし、作業しやすい倉庫なら新人でも少し教えただけで一人で作業できるようになります。
新人の負担を減らすことにも繋がりますね。
作業効率の良い倉庫のレイアウトを作る4つのステップ
倉庫の作業効率を良くするためには適切な順番に沿ってレイアウトを考えていくことが大切です。
これから流れを4つのステップに分けてご紹介するので、やり方を覚えましょう。
ステップ1 全体の流れを把握する
倉庫のレイアウトを作るにあたってまずすべきことは全体の流れを把握することです。
なぜなら、一連の流れを無駄なく進められる動線を作ることで作業効率が高くなるからです。
入荷、入荷検品、保管、ピッキング、出荷検品、出荷がどの倉庫でも基本の流れなので、これらの作業がスムーズにできるレイアウトを作ることを頭に入れておきましょう。
ステップ2 製品の出荷頻度を分ける
次に、ピッキングする製品の出荷頻度を分けましょう。
このときに使えるのがABC分析という手法です。
ABC分析とは重視する指標を決め、優先度別に分けていくもので、今回の場合は次の3つのパターンに分けることができます。
Aパターン:出荷頻度が高く、作業効率を優先すべき。
Bパターン:出荷頻度が普通で、作業効率と保管効率の両方が求められる。
Cパターン:出荷頻度が低く、保管効率を優先すべき。
ステップ3 作業効率が良くなるレイアウトを決める
出荷頻度を分けたら、いよいよ倉庫全体のレイアウトを作りましょう。
倉庫のレイアウトには主に2つの種類があります。
まず1つはI字型です。
これは入荷から出荷までの作業スペースを一直線に並べるものです。
建物の端と端でそれぞれ入荷作業と出荷作業ができる場合に取り入れることができます。
I字型では中央の通路に近い方からAパターン、Bパターン、Cパターンというように製品を並べるとピッキングの効率が良くなります。
もう1つのレイアウトはU字型で、入荷と出荷を手前のスペース、保管場所を奥に置きます。
入荷、ピッキング、出荷という一連の流れの中で従業員はU字型に動くことになります。
U字型の場合、入荷・出荷スペースに近いところから順にAパターン、Bパターン、Cパターンと並べるとピッキングをする人の移動距離を短くすることができます。
ステップ4 保管場所に合わせてコードをつける
レイアウトができたら、製品別にコードをつけます。
このときに大事なのがレイアウトに沿ってつけることです。
せっかく作業効率が高くなるように配置したにも関わらず、コードをランダムにつけてしまうと、結局あちこちに移動しなければいけなくなり、意味がなくなります。
そこで、五十音順やカテゴリー別ではなく、レイアウトに合うようにコードをつけましょう。
作業効率の高い倉庫のレイアウトを作るポイント3つ
倉庫のレイアウトを作るときの大まかな流れは前述の通りですが、他にも作業効率を高くするポイントがいくつかあります。
最後に、倉庫の作業効率を高くしたいなら知っておきたいポイントをまとめました。
パレートの法則を使って分ける
「パレートの法則」をご存知ですか?
これは全体の2割の事象が8割の成果を生み出すという法則です。
レストランを例に挙げると、たくさんのメニューのうち、たった2割のメニューが全体の8割の売上を作っているということです。この法則はレストラン以外の色々な場面で当てはまります。
倉庫の場合は、2割の製品が出荷量の8割を占めていることになります。
そこで、ABC分析を行うときにはこのパレートの法則を意識し、8割の成果を生み出す2割の製品が何かをデータを見ながら導き出しましょう。
出荷頻度が低いものは保管効率を優先する
ABC分析のうち、Cパターンは出荷頻度が低く、保管効率を優先すべきものです。
Aパターンは回転が速いのでたくさん製品を保管しておく必要がありますが、Cパターンはあまり出荷されないため、在庫を多く抱える必要がありません。
在庫が少なければ保管スペースが小さくて済むため、Cパターンのエリアはたくさん製品を並べ、保管効率を高くしましょう。
繁忙期に備え、スペースに余裕を持つ
レイアウトを考えるときは繁忙期のことを想定しましょう。
オーダーがたくさん入る時期はそれに合わせて在庫を増やさなければいけないので、一時的に保管する場所を作らなければいけなくなるかもしれません。
また、入荷量も出荷量も増えるため、繁忙期のみ使う作業スペースを作る余裕を残しておけば、忙しくなってもスムーズに対応できます。
もし、対策が不十分だと、忙しい時期に対応すべき課題が増えてさらに大変になってしまうので、繁忙期に備えたレイアウトを考えましょう。
まとめ
倉庫の売上を上げるためには作業効率を上げることが欠かせません。
作業効率が上がれば人件費が下がったり、従業員にとって働きやすい環境になったりと色々なメリットがあります。
作業効率が高いレイアウトにするためには
ステップ1 全体の流れを把握する
ステップ2 製品の出荷頻度を分ける
ステップ3 作業効率が良くなるレイアウトを決める
ステップ4 保管場所に合わせてコードをつける
この流れで考えましょう。