東京オリンピック、新型コロナウイルスなど大きなきっかけを繰り返しながら、良い時も悪い時も体験してきた建設業界ですが、2022年は一体どんな一年になるのでしょうか?
まだまだ、新型コロナウイルスの影響は続きそうです。建設現場での感染対策はもちろんですが、一人一人の取り組みに注目されるところです。
東京オリンピックのような大きなイベントによって、好景気になるとはいえませんが大きな建設予定が再び動かしているようにも感じます。
建設業界の賑わいも重要なことですが、水面下で問題になっていることはいくつかあります。こちらに関しては、動きを見せているようには感じられませんが、期日的な猶予が迫っているものもあるので放置しておくわけにはいきません。
そこで今回は、2022年の初めに、改めて建設業界が取り組むべきこと、問題点について考えていきます。
決して他人事ではありませんし、自社に置き換えた時にきちんと準備ができているのか、今一度考えてみましょう。
人手不足を解消したい
長く問題視されている問題です。
依然として、他の業界と比べると建設業界で働く人間は少ないです。そして、着実に高齢化が続いているので、後継者問題にも悩まされるところです。
3K問題
建設業界のイメージを悪くしている「3K」です。
3Kとは「きつい・危険・汚い」です。高所での作業、肉体労働、外仕事で汚れやすいといったところから、3Kと言われるようになりました。
こうした労働は以前であれば当たり前のことでしたが、ITの進出によって厳しい環境で働くことが減少してきた現在において、建設業界のイメージは下がり続けています。
人手不足を解消するための取り組み
人手不足が続いていては、日本の建築は遅れていくばかりです。ここ数年は、駅近や地方都市において土地開発が続いています。これまでの駅ビルや耐久年数が過ぎたビルを解体しては、新しいビルが建設され、魅力的な駅や地方都市へと生まれ変わっています。
こうした動きを支える建設業界を変えていくために、国は「働き方改革」を掲げています。
2024年より働き方が変わる
働き方改革と聞けば少し懐かしいように感じますが、実は建設業界では猶予期間があり実質的には始まっていません。建設業界は2024年より働き方改革によって、週の労働時間、残業の上限が決められるため、現場の納期に合わせて残業をしたり、休日出勤をするということが容易くできなくなります。
すでに2年後に迫っています。そのために従業員を募集していく必要があります。そして、今から育成して、しっかり作業ができる人材を確保しておく必要があります。長いと感じるか、短いと感じるかはそれぞれですが、早く動きことは間違いないと考えられます。
外国人労働者
外国人労働者といっても、実際には雇用形態に違いがあるのはご存知でしょうか?
就労ピザを持ち直接雇用や派遣会社から派遣され働く人たちがいるのに対して、国が行う技能実習制度を利用して、日本で働き技術を学び、母国の発展に役立てる働き方をする技能実習生がいます。
前者は就労ビザを持って入れば誰でも働けますが、技能実習生は厳しい審査をクリアして認められた人だけが日本で働くことができます。
技能実習生は、非常に真面目な人が多く働く意欲が高いため、受け入れる企業側も毎年数人ずつ受け入れるようにしています。毎年受け入れいるのには理由があります。母国の発展が目的のため、数年しか働くことが許されていないのです。短くて3年、長くて5年というルールがこれまでありましたが、条件が見直され最大で10年働けるようになりました。
建設業界で働く人が急激に減らないのは、外国人労働者のおかげであります。しかし、一部の心がけの悪い人たちによってイメージが悪く、受け入れることに抵抗を感じる業者もいます。
そんな不安を感じる業者の人たちには、一度技能実習生について知ることをオススメします。
いくつか取り組んでいる団体があるので、直接聞くのもいいですし、知り合いの業者で利用されている方がいれば紹介していただくことも可能です。
お試し土日休みの現場
働き方改革と同じように、建設業界の働き方を見直すために、国が試験的に行なっているのが土日休みの建設現場です。
建設現場では、施工工程を決め納期までのスケジュールがありますが、天候や建材、重機の搬入遅れで予定通りにはいかないものです。そのため、必ずと言っていいほどそれぞれの工程で無理をすることになります。
こうした働き方、分かっていても辛いものですよね。働きやすさをアピールするために国が考えたのが土日休みの導入です。他の業界と同じ休み方を取り入れて現場が動くのか、就職希望者が増えるのか期待したいところです。
建設業界での新しい流れ
厳しい業界を変えていくための取り組みの中、嬉しい情報もあります。こうした流れも利用してさらに、建設業界を盛り上げていきたいところです。
建設業界で就職を希望する女子が増加
近年に注目を集めている「建設女子」。現場で男性に混じって働く女性が増加しています。重機を操ったり、現場監督として指揮したりと働き方は様々ですが、就職を希望する人が増えるのは喜ばしいことです。
しかし、これまで男性ばかりの職場であったため、女性が参入することで見直す点は多くあります。
簡単なところでいえば、トイレ・更衣室です。現場にもよりますが、やはり一緒というわけにはいきません。別々に用意する必要があります。男性だったらよかったことも、女性には無理なことも多くあります。
何より、職人気質の人も多いですから、女性の下で働くことに抵抗を感じるという人もいます。女性が参入してくることをよく思わないことは、それぞれの考え方ですが先に働いていたものとして、受け入れられるほどの器の人間でいてほしいと願います。
これからの建設業界にはこうした変化を受け入れることが重要になっていきます。
キャリアアップシステム
建設業界全体の取り組みを見てきましたが、個々の働き方も変わろうとしています。それが「建設キャリアアップシステム」です。資格、現場経験など情報を登録していきます。こうした情報の見える化によって、待遇の向上が期待され働いてみたいという人材が増えることにも期待が寄せられています。
すでに2019年4月より運用が開始されていますが、まだまだ全ての働き手が登録してあるかといえばそうではありません。
2024年4月には全ての人の登録を目標としているので、事業者も積極的に取り組んでいきたい仕組みです。
インボイス制度
2023年10月1日より、インボイス制度が導入されます。仕入れ勢の控除など見直され、実施されます。こちらの制度には働き方改革のような猶予期間はありませんので、他業界と一緒にスタートです。
お金に関することは苦手な人も多いはずです。税務署からのお知らせもすでに届いているはずです。説明会に参加するなど、理解しておかないと自分の働き方に大きく影響してきます。
見直しが必要な人には、早急に対応していくようにしましょう。
まとめ
業界における必要な取り組みについてまとめてみました。
日々目の前のことで精一杯の現場も多いと思います。しかし、そんな中でも変わっていかなければいけないことがあります。
日本の発展を支える建設業界がなくなってしまっては、日本の経済にも影響します。
この2022年にどのように取り組んでいくのか、改めて見直して自分だけでなく関わりのある人、企業と一緒に考えながらより良い建設業界にしてください。