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鉄骨造の建物を火災から守る5 つの耐火被覆について

建物を建設する際に気にすることは、建物の安全性についてです。
地震、大雨、台風、津波といった自然災害から建物を守るために耐震、耐久、耐水、様々なことを考えます。こうした努力によって、自然を相手に無傷で守ることはできなくても、建物を残すことができ修繕をしています。

しかし、自然災害と同じレベルで建物を失う怖さがあるのが人災と言われる火事です。火事の件数は年々減少傾向にあると言われますが、放火、タバコの火の不始末が原因とされる火事が多く発生しています。

火事から建物を守るために耐火性に優れた建物を建築する技術も進められています。何より鉄骨造と木造の建物のどちらが火に強いかという情報には、常に注目が集まります。

今回は、意外にも熱に弱いといわれる鉄骨造について、どのような対策がされているのかをご紹介します。

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出火から20分が勝負

建物の種類や地域性によっても異なりますが、出火後に消防車が到着して放水するまでに約20分かかります。耐火性は、この間に火が回らないようにすることが重要だともいえます。

実際に鉄骨造と木造とでは火の回り方に違いがります。この違いからも建物の耐火性を考えるヒントが得られます。

鉄骨造の火に対する強度について

鉄骨造は、建物の強度を上げるために鉄の梁と柱を使用しています。鉄が火にどれだけ強いのかというのがポイントです。

実は、鉄は火の温度が500度を超えると、強度が一気に落ちます。鉄は熱することで柔らかくなり変形してしまうのです。そのため、建物は形を維持することが難しくなるので倒壊する危険性が高まります。

木造の火に対する強度について

木造の場合には、よく燃えるイメージがあります。しかし、燃えていく速度は一定であり、鉄骨造のように一気に崩れ落ちるようなことはないとされています。

また、木の燃え方として内部が燃えるまでにも時間がかかりますが、燃えた部分が炭化することで、断熱材の役割をしてくれるとも言われているからです。

すぐに燃え始めたとしても、燃え切るまでには時間がかかることが分かります。

どうしたら鉄骨造の耐火性は強度が上がるのか?

鉄骨造が火に弱いことは分かりましたが、高層ビルの建築に鉄骨造は欠かせません。また、住宅に関しても設計に自由度高いと人気があります。

どのようにしたら、鉄骨造の耐火性を上げることができるのでしょうか?

実は、建築基準法によって、鉄骨造の耐火性についてルールが設けられています。一定の耐火被覆をすることで耐火構造として認められるのです。

耐火構造とは、建築物の部分の構造において一定基準の耐火性能がある構造のことをいいます。こちらの基準も建築基準法によって決められています。

高層ビル、住宅など、鉄骨造で建設される建築物の耐火性については十分に理解化された上で、安全に利用して、不安なく暮らせるように耐火被覆という技術が施されていることが分かります。

耐火被覆について

耐火被覆について詳しくご紹介します。
熱によって強度が下がってしまう鉄鉄骨造の鉄の場合、耐火性と断熱性に優れている材料を使用して鉄骨の部分に被覆することを「耐火被覆」といいます。

鉄骨造の梁や柱は鋼鉄が使用されているので、被覆するのも梁と柱がメインとなります。

特徴としては、火災時に高温となりあっという間に500度以上になりますが、耐火被覆は温度の上昇を防ぐことができるのです。

性能の区別

耐火被覆の使い分けは、構造の特記仕様書に記されています。主に、「◯◯に▼時間の耐火」といった部位と必要な性能が記されています。こうすることで、鉄骨造のどこに必要としているのかが、施工者側で把握することができます。

耐火被覆の種類

耐火被覆には様々な種類があります。一般的なものをご紹介します。

①耐火材吹付け
②耐火板張り
③耐火材巻付け
④ラス張りモルタル塗り
⑤耐火塗料

種類がある理由は、見た目の美しさや施工の違いによるとされています。もちろんこれも、どれを使用してもいいというわけにはいきません。国土交通省が認めた材料を使うことが義務付けられています。

個別に紹介します。

①耐火材吹付け

吹付け材に使われるのはロックウール粒状綿を主原料としたものです。セメントを硬化材として、専用の吹付け機で鉄骨などの下地に吹付けます。

施工費が安価であり、現場で直接吹きつけていきます。仕上がりとしては美しさに欠けるところもありますが、耐火性や断熱性に優れていることと、音を吸収してくれるのも特徴です。

②耐火板張り

繊維入りけい酸カルシウムの耐火被覆板は、表面の硬度が高いので、そのまま仕上げ下地用としても使えること、そして内装材を兼ねた被覆材として使用できるのも特徴です。下地、仕上げを同時に行うことができるので、工期を短縮することができるのもメリットです。

予め規格に合わせて製造されるので、品質の良さと見た目の美しさは保証済みです。

③耐火材巻付け

巻付け耐火材とはブランケット状の利点を生かし、鉄骨に巻き付けて固定ピンで溶接で止めるだけという簡単な作業できることが特徴です。

シートの厚さは1.5~3㎜、20~65㎜というように、耐火性能に合わせて使い分けています。
比較的に高価なものです。

④ラス張りモルタル塗り

ラスとは金網のことをいいます。施工方法によって、H鋼・□型の梁や柱に耐火被覆することが可能です。

施工性は多少落ちますが、様々な形状に対応できるのが特徴です。

⑤耐火塗料

他の耐火被覆材とは違い、鉄骨自体のフォルムを生かしたまま仕上げることができます。わずか数mm厚の塗膜が、火災時に20~30倍に発泡して鉄骨造の建物を守ることができます。

さらには、梁や柱など内側からだけじゃなくて、外側からも使用することができます。

耐火被覆のデメリット

規格、用途や費用、見た目の美しさなど耐火性能に合わせて選ぶことができますが、デメリットとなることもあります。

・吹付けは、粉塵が飛ぶ
・ラス張りモルタル塗りは、乾燥に伴うひび割れが発生しやすい

見えない部分ではありますが、仕上がりの美しさを追求すると、板張りが綺麗ですが費用は高くなります。巻き付けも同様なことがいえます。

工期はギリギリなケースが多いですから、時間がかかる耐火被覆の場合には、施工管理者にスケジュールの調整をお願いするようにしてください。

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まとめ

耐火被覆は、施工者側にとっては当たり前のことですが、施主側にとっては思いがけない出費になるはずです。建築基準法で決められているとはいえ、鉄骨造の建設には耐火被覆は不可欠だということを丁寧に説明をするようにしてください。

そして、耐火性能に合わせて使用するものの厚さが違うのも特徴です。それぞれの材質や特徴、比較などが伝えられると商談の場面でもうまくいくと思います。

今回は、鉄骨造の対価被覆についてご紹介しました。
重厚な鉄骨の梁や柱を見ていると、無敵な建物が建つような気分にもなります。しかし、実際には熱に弱いことが分かり、500度以上になると変形してしまい、倒壊する危険があります。

人間と同様に完璧なことはありません。だからこそ、建設中はもちろん完成後にも定期的なメンテナンスが必要なのです。

耐火被覆も、雨漏りによって水に濡れると耐火性能にも影響が出ます。こうした見えない部分にも目を向けていくことが大切だと理解してほしいです。

くれぐれも手を抜いたり、認定されていない素材を使用しないようにご注意ください。

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