工場には1年の中であまり注文がない時期もあれば、生産が集中する時期もあります。
その間の忙しくも暇でもない時期もあるでしょう。
このうち、繁忙期はスムーズに乗り切るための対策をする必要があります。
なぜなら、企業によっては閑散期に比べて何倍もの生産が必要になることもあり、他の時期とは作業の状況が大きく異なるからです。
繁忙期に入っても普段通りに作業をしていたら納期に間に合わず、取引先からの信頼を損ねることも考えられます。
例えば、閑散期と同じ人数で回していると、当然、繁忙期の生産量を捌くことはできないでしょう。
残業をしても限界があるはずです。
そこで、繁忙期には従業員を増やすといった対策が求められます。
もちろん、解決すべき問題は人手だけでなく、あらゆる面からアプローチする必要があります。
しかし、具体的にどのように対策すれば良いのか分からないという方もいるのではないでしょうか。
そこで、今回は工場が繁忙期を乗り越えるためにすべき対策をご紹介していきます。
繁忙期はいつも社員に長時間の残業をさせてしまっている、忙しくても余裕を持って製造できる仕組みを作っておきたいという方は必見ですよ。
工場の繁忙期に起こる問題4つ
工場が繁忙期を迎えると様々な問題が発生します。
これらを1つ1つ解決していかなければ納期が間に合わないなどのトラブルに発展する恐れもあります。
そこで、まず初めに繁忙期に起こりやすい問題を解説していきます。
人手不足
工場は注文が多く入る時期もあれば、少ない時期もあり、時期によって必要な人手の数が異なります。
そのため、繁忙期を迎えると人手が足りないという問題が生じます。
最初から繁忙期に合わせた人数を雇っておけば良いのではと思う方もいるかもしれません。
しかし、それでは閑散期に人手が余り、必要ない人件費が発生します。
そのため、ほとんどの企業では従業員は最低限の人数に抑えているはずです。
そこで、工場は繁忙期を迎える前に人手を増やしておく必要があります。
残業時間の増加
通常より増えた業務はいつもより長く働くことでこなすという方法もあります。
企業によっては残業すればなんとか捌けるという場合もあるでしょう。
しかし、労働時間は法律で定められていますから、この方法には限界があります。
あまりに残業が長くなれば法律に触れることも考えられます。
また、家庭の事情でどうしても残業はできないという人もいるため、最初から残業に頼ろうとするのは現実的ではありません。
一人一人の労働時間を長くしすぎずに繁忙期を乗り越える方法を考えなくてはいけません。
労働災害
繁忙期に労働時間が増えると社員に疲れが溜まります。
すると、集中力が途切れやすくなり、作業中に怪我をして労働災害になる恐れがあります。
また、急いで作業をしなければいけないというプレッシャーの中、本来しなければいけない手順を省いて作業をすることで事故に繋がることもあるかもしれません。
労働災害が発生すれば本人の身体が心配なのはもちろんのこと、ただでさえ忙しい時期にさらに対応すべきことが増えてしまいます。
機械を使う仕事だからこそ、忙しい時期でも社員には休息をしっかり取ってもらい、事故を防ぐことが大事です。
労働者の不満の増加
繁忙期は労働者の不満が溜まりやすい時期です。
働いても働いても仕事が終わらないため、焦る気持ちが続き、精神的に辛く感じる人もいるでしょう。
その上、残業が多くなれば、上司に対する不満がさらに増すのは想像に難くありません。
最悪の場合は離職に繋がることも考えられます。
工場で働いている以上、繁忙期に忙しくなるのは仕方がないことです。
それでもできるだけ快適に働けるよう、経営者側は対策をしておくことが求められます。
工場が繁忙期に備えてすべき対策7つ
人手不足に陥る、社員の不満が溜まりやすいなど、様々な問題が発生しやすい繁忙期。
だからこそ、シーズンが来る前に無理のない製造ができるように対策をしなくてはいけません。
これから工場が繁忙期のためにしておくべき対策をご紹介するので、ぜひできるものから実践していきましょう。
繁忙期の生産量を予測する
繁忙期対策をするためにはまず具体的にどれくらい忙しくなるのかを把握する必要があります。
閑散期に比べて生産量は何倍になるのか、その期間がどれくらい続くのかといったことが分かれば、人手をどれくらい増やせばいいかといった対策方法が分かります。
また、繁忙期の忙しさや時期は社員にも伝えましょう。
忙しさを理解すれば、シフトを積極的に入れてもらえるなど嬉しい反応があるかもしれません。
パートタイム従業員を雇う
人手不足による問題を解消するにはやはり人手を増やすのが手っ取り早いです。
パートさんを募集したり、派遣を利用したりして、繁忙期に対応できる人数を増やしましょう。
ただ人数を増やすだけでなく、戦力になるよう、しっかり教育するのがポイントです。
また、ただ募集をかけても魅力的な職場でなければ人は集まらないので、掃除を行き届かせたりと働きたくなる環境づくりをしておくことも重要です。
自動化を進める
自動化は繁忙期のあらゆる問題を解決します。
今まで人間がやっていた作業を機械に任せれば製造に必要な人手が減るので、人手不足の問題が解消します。
また、人間と違って何時間でも稼働し続けられるので、24時間動かして大量に生産することも可能です。
もちろん、機械の導入には多額の費用がかかりますが、生産量は増えますし、人件費もカットできるので、場合によってはすぐに投資した分を回収できるでしょう。
自動化できる業務がないか考えてみましょう。
メンテナンスを行き届かせる
繁忙期に最も避けたいトラブルといえば機械の故障ではないでしょうか。
たくさん製造しなければいけない時期に機械が止まってしまうのは大きな痛手です。
そこで、繁忙期を迎える前に一度機械のメンテナンスをしておくのが理想的です。
ネジが緩んでいれば締め直したり、老朽化が進んでいる部品は交換したりして万全の状態にしておけば、繁忙期に故障する可能性を低くすることができます。
従業員の作業能力を上げる
従業員の作業スピードが上がれば工場全体の生産能力はさらに上がります。
そこで、作業員一人一人に効率の良い作業方法を改めて浸透させましょう。
今までそれぞれのやり方で行なっていたのを、全員がベストな動きをするようになれば、1日でできる作業量が増えるはずです。
繁忙期に新しく入る従業員にも効率の良い作業方法を教えるようにし、新人を即戦力にすることを目指しましょう。
従業員が長く勤めたくなる環境を作る
忙しいシーズンを乗り切るためには一時的な人材の確保に力を入れるのも大切ですが、既に働いている従業員のケアも忘れてはいけません。
もし、日頃から不満が溜まっていれば、忙しくて精神的にきつい繁忙期を迎える前に離職を考えることもあり得ます。
仕事に慣れている人材を繁忙期前に失うのは避けたいですよね。
そこで、日頃から従業員が長く勤めたいと思うような環境づくりをしておきましょう。
繁忙期に起こりやすいトラブルについて周知する
ただでさえ忙しい時期にトラブルが発生し、そちらに時間を割かなくてはいけなくなるのは避けたいものです。
繁忙期にトラブルの発生を抑えるためには事前にどのような問題が起こりやすいのかを明確にし、社員に共有しましょう。
例えば、疲れて集中力が切れたときに事故が起こりやすい、仕事を早く済ませることを意識しすぎてミスが発生しやすくなるなどのトラブルが考えられます。
こうしたトラブルが想定されることを理解すれば注意深く作業に当たるようになるはずです。
まとめ
繁忙期は工場の売上を上げるとても大事な時期です。
そこで、受注を増やし、大量に生産できる準備をしておくことが大切です。
もし、今のまま何も対策をせず繁忙期を迎えれば、従業員に何時間もの残業を強いてしまったり、受注量を減らさなくてはいけなくなったりする恐れがあります。
一時的に人材を雇用する準備をしたり、自動化を進めたりして、スムーズに繁忙期に対応できる準備をしておきましょう。